『アフタヌーン』2016年9月号

「ラブレター」尾崎かおり
 ――生まれる前に空の上からママを見た。ママの赤ちゃんにして下さいって神様にお願いした。出産に立ち会ったのは勤務先のスナックのママだけだった。父(らしき人)は僕が大きくなる前に居なくなってしまった。

 「神様がうそをつく。」著者による読み切り。「神様がうそをつく。」も、人に対する視線が「優しい」というより「甘い」作品だったような記憶がありますが、この新作は、ネグレクトを子どもの視点(どころか魂の視点)で描くという、かなり大胆な設定が採用されています。きれいごとと言ってしまえばそれまでですが、こうした、一方的ではない視点、は大事にしたいです。
 

おおきく振りかぶって』132「4市大会 3」ひぐちアサ
 埼玉戦のつづき。沖の打席から。市原も大地も成長しています。

『ライフ2 ギバーテイカー』2「被害者家族」すえのぶけいこ
 過去に妹を殺された警官・倉澤が主人公の、『ライフ』の続編第2話。『ライフ』と直接のつながりはありません。県内で起こったスーパー強盗殺人、なにやら倉澤の事件とつながりがありそうです。

『あやつき』1「変化の件」寺田亜太朗
 ――高校生の月丘リョウが公園で手品の練習をしていると、UFO(?)が落ちてきて……居合わせた4人は妖怪と融合して命を取り留めたが、担当エリアのリーダー件《くだん》から、融合した部下の代わりに人助けをしてほしいと言われ……。

 四季賞出身者の新連載。「千里眼」「覚り」「怪力」「変化」という異なる力を持つ仲間(?)が力を合わせて――という感じの、王道にもなりそうですが、四人がほぼ他人だったり、それぞれが複雑な過去を持っていたり、単純な作品にはならなそうなので楽しみです。

げんしけん 二代目』126「ラ・カンパネラ(告白III)」木尾士目
 副題にあるとおり、春日部さんのはからいにより、斑目先輩→スーへの告白回です。そして次回が最終回。そういう流れのためのこれまでの告白イベントだったんですね。漫画ネタに興奮するササヤンと冷たくツッコム春日部さんのノリが楽しい。

『聖域コンシェルジュ』1「バスルームから愛をこめて」鈴木ミニラ
 ――ラブホテルでバイトをしている童貞オタクの充は、同僚の泉さんに片思いしていた。神界愛欲管理局のミルフィは、神のエネルギーの源のための「愛」を増やすため、そんな充の恋愛をサポートすることにした。

 四季賞出身者の新連載。雀の親子にツッコミをさせるセンスや、身動き取れなくなって一言目に「喰われる!?」という言葉のチョイスなど、かなり面白い。こういう本筋以外の細かいところもこれからも大事にしてくれるといいなあ。
 

ヴィンランド・サガ』130「バルト海戦役6」幸村誠
 トルフィン暗殺失敗に激怒するフローキ。孫のバルドルのことが可愛くてならない。シグルドは現在も奴隷の身。
 

「兄鬼爆弾」手石ロウ
 ――キヨはブルース・リーに憧れて髪型を真似していたのに、クラスメイトからは「ヘルメ(ット)」とあだ名されていじめられていた。学校だけでなく兄からも疎まれいじめられていた。兄貴にいじめっ子を「ボコれ」と言われ、そんな選択肢があることに初めて気づいたキヨは、夏休み中に体を鍛えようとする。

 2016年夏の四季賞大賞受賞作。濃い系のギャグ漫画。インパクトありすぎて濃すぎて強烈すぎて、面白いのかどうかもわからないくらい。いじめっ子のほうじゃなくて実は兄貴のほうがメインの敵なので逃げ場がありません。
 

『発症区』7「送り屋」いとまん
 暮井との取引により「送り屋」木常の居場所が割れ、本部と軍が中心になって殲滅に向かうことになった。暮井の情報だということに納得できない安田はひとりぶらぶらしていた。

  


防犯カメラ