『RDG レッドデータガール はじめてのお使い』荻原規子(角川文庫)★★★☆☆

 イマドキの子ではない、絶滅危惧種の女の子、でもいうような意味であるらしく、三つ編みに眼鏡の引っ込み思案な冴えない神社の娘・泉水子が主人公。

 それがあるとき、学校中のパソコンを壊してしまったうえに、父親と電話も何も通さずに会話してしまったことから、父の友人・相良が駆けつけ、息子の深行を泉水子の学校に転入させてしまう。相良と深行は山伏の家系であった。深行は冴えない泉水子を見て、こんなの「女神」ではないと毒づく。泉水子は東京にいるはずの母親に何とかしてもらおうと、修学旅行先で待ち合わせをするが……。

 何というか、ここまでだけなら、泉水子の得意体質を除けば(むしろそれを含めて)、初対面では反発し合うのがパターンのラブコメみたいなノリでした。

 雰囲気が変わるのは、東京に出てきた泉水子が、何かに怯え始めるところからです。直接的には何も起こっていません。が、何かに追いかけられ、何かが邪魔立てしようとしている、という泉水子の感覚を通した恐怖が、むんむんと息苦しく、重くのしかかります。

 やがて怪異は起こるものの、激しいバトルが起こるわけでもなく、飽くまで「引っ込み思案の女の子」という立ち位置のまま、ひとまず丸く収まります。

 世界遺産に認定された熊野古道、玉倉山にある玉倉神社。そこに住む泉水子は中学三年まで、麓の中学と家の往復だけの生活を送ってきた。しかし、高校進学は、幼なじみの深行とともに東京の鳳城学園へ入学するよう周囲に決められてしまう。互いに反発する二人だったが、修学旅行先の東京で、姫神と呼ばれる謎の存在が現れ、さらに恐ろしい事件が襲いかかる。一族には大きな秘密が――。現代ファンタジーの最高傑作、ついに文庫化。(カバーあらすじより)

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