『ミステリーゾーン』78「恐怖の治療法」「生への執念」「孤独との決別」
「恐怖の治療法」(The Hellgramite Method,1988.11.5,ep087)★☆☆☆☆
――アル中のマイリー・ジャドソンは、酒場にいる老人から酒について苦言を呈された。妻子からも呆れられたマイリーは、老人の治療を受けに行くことにした。治療が始まると、酒を飲んでも飲んでも酔えなくなってしまった。驚いて老人の許に行くと……
確かに『ミステリーゾーン』ではオリジナルシリーズのころから数々の社会問題を描いてきました。この作品もアルコール依存症の幻覚を、架空の「寄生虫」の恐怖を通して描いている――と言いたいところですが、「通して」というよりはそのまんまでした。
「生への執念」(Our Selena is Dying,1988.11.12,ep088)★☆☆☆☆
――ブライアン家の主であるセリーナは老齢で、死ぬのも近いとバレル医師は判断した。だが姪のダイアンはまだ大丈夫だと言う。実際セリーナの力は強く、遠方から呼ばれた姪のデボラは手を握られて痣が出来たほどだった。翌日、寝たきりだったセリーナが怖いほど元気になっていた。
前のエピソードにしてもこのエピソードにしても、見え透いた話をいかにして面白く見せるのかにまったく工夫が凝らされていないので、ただひたすらに退屈でした。セリーナによる最後の医学批判(?)もとってつけです。
「孤独との決別」(The Call,1988.11.19,ep089)★☆☆☆☆
――孤独な男性ノーマンは間違い電話をかけた相手の女性と話すのが唯一の楽しみになっていた。メリー・アンと名乗るその女性に会いたい一心で、ノーマンはオペレーターをたぶらかして電話番号から住所を聞き出す。だがそこにあるのは美術館だった。
孤独な男女、電話による交信、人でなしの恋……定番の要素を集めて薄めた作品です。
『ミステリーゾーン』79「神の声」「怒りの化身」「予知された未来」
「神の声」(The Trance,1988.11.26,ep090)★☆☆☆☆
――預言者として人気を博しているレオナルド・ランドウェルはイカサマ師だった。ところが、テレビ番組の打ち合わせ中、レオナルドの意思とは無関係に口が勝手に動き始める。
えっ……。神の声を称していたイカサマ師に本当に神の声が聞こえるようになってしまいました――ただそれだけの筋書をただそのまま映像にしただけでした。シリーズのなかでも一、二を争う凡作です。
「怒りの化身」(Acts of Terror,1988.12.3,ep091)★★☆☆☆
――ルイーズは夫のジャックから暴力を受けていた。ある日のこと、姉から届いた誕生日プレゼントのドーベルマンの置物を頬に抱き寄せながら、ルイーズが「許せない」とつぶやくと、車に乗っていたジャックの目の前にドーベルマンが現れた……。
これもDVという社会問題を描いています。ドーベルマンが実体化して夫を襲っておしまいなだけなら、旧来の作品と何ら変わりありませんが、そこから一歩進んで、虐げられていた者の「力の強さ」に繋げているところに、新シリーズなりの特色を感じます。
「予知された未来」(20/20 Vision,1988.12.10,ep092)★★☆☆☆
――小心者の銀行員ウォーレン・クリベンスは、数字に強いことを買われて出世したものの、顧客と直接かかわる部署には心がはずまない。眼鏡を落としたところを、同僚に踏まれて壊れてしまった。ところがその壊れた眼鏡をかけると、おかしなものが見えるようになった……。
オリジナルの第2シリーズ(ep052)「八時間の奇蹟」がもとになったエピソードで、人の心の声が聞こえる代わりに、この作品では壊れた眼鏡をかけると見えないものが見えるようになっています。これも「怒りの化身」同様に、単に不思議なだけでおしまい、というのではなく、主人公の心の変化にスポットが当てられていました。
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