『ずっとあなたを愛してる』(Il y a longtemps que je t'aime,2008,仏)★★★★☆

 フィリップ・クローデル監督。クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベルスタイン、ローラン・グレヴィルほか出演。

 テーブルで煙草を吸うジュリエット。コートをはためかせて急ぎ走るレア。ジュリエットの出所後、初めての再会だった。ジュリエットは仕事が決まるまでのあいだ、レアの家で過ごすことになっていた。だがレアの夫リュックは、娘二人プチ・リスとエメリアのことを考えると、気が気ではなかった。喫茶店で出会った男との久しぶりの情事、オリノコ川の魅力に取り憑かれた警官との定期的な面会、福祉職員からの仕事の紹介……だが最初の面接先の雇い主は、ジュリエットが息子殺しで服役していたことを知ると、門前払いを喰らわせた。そんななかレアの同僚教授ミシェルだけはうわべだけでなく親身になって。

 煙草を吸うジュリエットのアップとタイトルバックが交互に映し出されるオープニング、そこにレアが加わりますがまずは顔は見えずに翻されたコートだけが印象に残る、かっこよく魅力的な冒頭でした。

 はれものにさわるかのように扱う身内に対し、フォレ警部やミシェルらムードメーカーのような男性陣が印象的です。それにしてもフランスの男性さんはみなさん積極的です。カフェのナンパ男に、ミシェルに、プールのジュリアン。

 はれものとは書きましたが、まあ十五年ですからね、はれものにさわるというよりは、妹も何を話していいか本当にわからないんだと思います。

 タイトルは作中歌でも歌われていた「A la claire fontaine」より。歌詞は「Il y a longtemps que je t'aime/Jamais je ne t'oublierai」と続きます。

 試用期間中に就職先の院長に呼ばれて注意されたあと、もう一度院長に呼ばれて、その直後に場面が切り替わります。二度目ということは就職は駄目だったんだな……と思っていたら、家族でお菓子作りの場面が単なるお菓子作りではなく、就職祝いのお菓子作りだった――と判明する構成など、オープニングともども見ていて飽きない作品でした。

  


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