アンケート結果発表。1位は海外国内それぞれ『熊と踊れ』ルースルンド&トゥンベリ、『真実の10メートル手前』米澤穂信。竹本健治のいろは歌暗号ミステリ『涙香迷宮』や、アクション活劇『リボルバー・リリー』長浦京、グリコ森永事件を利用された子どもの視点から描いた塩田武士『罪の声』あたり。
「賢い子供 [新訳]」ジョン・ウインダム/田口俊樹訳(Wise Child,John Wyndham,1962)
――誰にも教わらなくても蜘蛛が複雑な蜘蛛の巣を作ることができるように、獲得能力を親から伝達される種とそうでない種がいる。もし人間に処置を施して、同じようにできるなら……ドナルド・ソルウェイ博士の熱弁は妻のヘレンに遮られた。人体実験されるつもりはない――。
田口氏による「おやじの細腕新訳まくり」という新訳コーナーの新連載1回目。押したり引いたりの夫婦の会話によるSFふうの内容から、子どもをめぐる緊張感のある夫婦のせめぎ合いという、重い話と見せかけて、軽いオチが待っている力の入れ加減がよいです。
「ケイバー博士の発明」ロード・ダンセイニ/小林晋訳(The Invention of Dr. Caber,Load Dunsany,1940)
「書評など」
◆紹介されているポケミスが二作ともよさげ。マイケル・ロボサム『生か死か』は、出所一日前に脱獄したのはなぜ?という謎に惹かれます。ジョー・ネスボ『その雪と血を』は、ノルウェーの作家による、五〇年代ふうノワール小説。特に『その雪と血を』がよさそうです。
◆平凡社ライブラリー『病短編小説集』は気になっていたのですが、「作品は総じてレベルが低い」ということなので、買わずによかった。
「キッチン・ミス・マープル トークイベント 誌上再現」小山正×数藤康雄
「ノヴェライズ『逆転裁判 時間旅行者の逆転』連載開始記念」巧舟×円居挽 対談
次号から連載予定です。
「『ベスト・ストーリーズ』完結記念対談 《ニューヨーカー》誌とその作家たち」若島正×宮脇孝雄
「寝ても覚めてもミステリ尽くし――AIEP2016ミーティング@ウンナ/ドイツでの一部始終」松坂健
「ミステリ・ヴォイスUK(98)トウモロコシ・コーン・麦」松下祥子
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