「ルーシィ、月、星、太陽」上田早夕里
――〈ブルームの冬〉後、生き延びたルーシィは冷たい海の中を泳いでいた(惹句より)
「ちょっといいね、ちいさな人間」ハーラン・エリスン/宮脇孝雄訳(How Interesting: a Tiny Man,Harlan Ellison,2010)
――私が創ったのは、誰もがちょっといいね、という小さな人間だった。(惹句より)
「エターナル・レガシー」宮内悠介
――コンピュータ囲碁の進化により自分の存在がわからなくなっていたぼくの前に、時代遅れの旧型マイクロプロセッサ「Z80」を名乗る男が現れた。
Z80の妖精というのが人を食ってます。存在価値はなくならない、そんな当たり前のことにも悩んでしまう人には、けれどこれくらいの荒療治が必要なのでしょう。
「最後のウサマ」ラヴィ・ティドハー/小川隆訳(The Last Osama,Lavie Tidhar,2011)
――馬を駆り、ひたすらにウサマを狩り続けるハンター。ウサマはすべて、破壊しなければならない(惹句より)
「ライカの亡霊」カール・シュレイダー/鳴庭真人訳(Laika's Ghost,Karl Schroeder,2010)
――同行者を伴い、カザフスタンを訪れた放射能のスペシャリスト。彼がそこで見たものとは(惹句より)
「精神構造相関性物理剛性」野崎まど
――三十年間、実直に蕎麦を作ってきた男が、岐路に立ってはじめて気づいた妻の異変とは――(袖惹句より)
アニメ『正解するカド』脚本を担当した野崎氏による掌篇。
「書評など」
◆長らく刊行「予定」のままだった、ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションがようやく刊行開始。第一巻は月世界旅行三部作『地球から月へ』『月を回って』『上も下もなく』合本です。
『忘られのリメメント』三雲岳斗
――他者の記憶を追体験できる“リメメント”は社会に大きな変化をもたらした――(惹句より)
新連載第一回。
「乱視読者の小説千一夜(53)借りられた時間」若島正
新ハヤカワSFシリーズでも刊行予定のジーン・ウルフ『借りられた男』について。
「大森望の新SF観光局(55)ディストピア便り」
『虐殺器官』映画化のきっかけは俺だ!+トランプ大統領は『一九八四年』よりも『すばらしい新世界』。