『りんたとさじ』「鳥の人」オガツカヅオ(『ネムキ』2006年3月号)

「鳥の人」オガツカヅオ
 ――リン太にバイトの手伝いを頼まれてごきげんなサジ。依頼人である女子高生のユキちゃんがリン太に甘えるのを見て気が気ではない。ユキは幼い頃にインコの卵を飲み込んでしまい、その卵がお腹のなかで孵化したと信じ込んで「トモちゃん」と名づけていた。

 ずっと昔に読んだっきり内容も存在もすっかり忘れていましたが、「駅の人」以前の作品のなかでなぜか一篇だけ単行本に収録されていない作品です。2006年1月号掲載の第2話「妖精の人」と2007年5月号掲載の第4話「味の人」のあいだに掲載された、第3話に当たります。「カゴメ文書」と「Limited Edition」も加えれば、「駅の人」「見た人」「つぐ人」「居る人」と合わせて単行本第2集も出せる分量はあると思うんですよね。。。

 この二人、いちおう恋人同士ということになってはいますが友達以上恋人未満のような描写の方が多いなか、この「鳥の人」ではわりとはっきりとデートや嫉妬の様子が描かれていて、意外でした。

 内容は、初期の話ということもあって、独特の味は抑えめのホラーになっています。――といってもそれは恐怖部分にかぎっての話で、卵が孵化したという発想や、二人のコスプレやサジの特技など、怖い部分以外のところで存分に独特のカラーは発揮されていました。

  


防犯カメラ