『生き屏風』田辺青蛙(角川ホラー文庫)★★☆☆☆

「生き屏風」★★☆☆☆
 ――一昨年に亡くなった奥方の霊がその店の屏風に憑いたのか、夏の頃になると屏風が喋るようになった。無理に祓おうとするよりも適当な相手に慰めさせた方がよいと、妖鬼である皐月が呼ばれることになった。皐月は眠っていた馬の首の中から這い出て、酒屋に向かった。

 幻想・怪談作品で頭角を現した著者なので期待して読んだのですが、この作品はそういった傾向のものとは違い、キャラ妖怪小説に近いものでした。

「猫雪」★★★☆☆
 ――次郎が縁側越しに庭を眺めていると、猫が池を見つめていた。「変な奴だなぁ、池ばかり眺めていて。一度、お前のような猫になってみたいよ」次郎は猫に呼びかけてみた。すると、猫が「そうかね」と返事をしたのだった。夢うつつだったせいで不思議にも思わず、「猫以外にもなれるのか?」「何を望む?」「雪に」

 初めの雪のエピソードだけなら幻想譚だったのですが、その後はまた県境の妖鬼・皐月というキャラクターの話になってしまいました。
 

「狐妖の宴」★☆☆☆☆

 皐月の前任者(猫雪の猫)や狐妖が恋について語ります。

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