『ミステリマガジン』2018年3月号No.727【原リョウ読本】

「最新作、そして「これまでの原リョウ」」原リョウインタヴュー

『それまでの明日』冒頭 原リョウ
 14年ぶりの新作『それまでの明日』冒頭部分掲載。冒頭からチャンドラー節が全開すぎるくらいに全開してます。

「自作メモ&解題」
 既刊5作が今月からイラスト表紙にリニューアルするそうです。……。3月には『そして夜は甦る』がポケミス化。こちらは嬉しい。

「インタヴュー再録」
 インタヴュー何本かが再録されています。ポケミスへの思い入れを語ったものや、独自の「ハードボイルド」観など。

「監視される女」原リョウ
 ――河村という男から脅迫者の女の身許を突き止めてほしいと頼まれた沢崎は、女を尾行しているうち、女を監視している同業者と遭遇した。

 エッセイ集『ハードボイルド』に収録されていた短篇の再録。前記自作メモによれば「“女シリーズ”の短篇執筆を復活する余裕ができれば、と願っている」。同業者の梅埜たちの様子がドタバタっぽくてどことなくユーモアを感じさせました。
 

「番号が間違っている」原リョウ
 ――元刑事の渡辺は囮捜査の最中に筋書きを変え、白い粉末の入った袋を持ち出した。

 同じく『ハードボイルド』に収録されている掌篇再録。沢崎のいる「渡辺探偵事務所」の渡辺が登場する前日譚。
 

「おやじの細腕新訳まくり(8)」田口俊

「正直な証人」エリザベス・フェラーズ/田口俊樹訳(The Truthful Witness,Elizabeth Ferrars,1958)
 ――メグは雪が降るのが楽しみで仕方がなかった。帰ってきた母親はなぜかそわそわしていた。いつもより早めに帰ってきた父親は雪まみれになっていた。

 夫婦の危機も家族の危機も、賢しらな子どもの目は見ていました。その意味もわからずに……。
 

「書評など」
倉知淳『皇帝と拳銃と』は、倉知淳による倒叙ミステリ。米澤穂信古典部は、古典部シリーズガイド本。

「ミステリ・ヴォイスUK(105)黒後家業」松下祥子

「『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』アルセーヌ・ルパン氏の平岡敦先生講義出張レポート」森田崇

「笑う釣り師の冒険」ジェフリー・ディーヴァー日暮雅通(The Adventure of the Laughing Fisherman,Jeffery Deaver,2014)
 ――ポール・ウィンズロウは架空世界のキャラクターを愛していた。なかでもアーサー・コナン・ドイルの生み出した作品群を。婦女連続殺人の現場を訪れたポールは、現場にいたカレラ刑事に犯人像を推理する。

 書き下ろしホームズ・パロディ集『In the Company of Sherlock Holmes』に収録された作品。ポールが現場の手がかりから推理する場面はやはり読んでいて楽しい。結末は魅力的なキャラクターを生み出したドイルならではです。
 

  


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