「吉原雀」『にわか大根 猿若町捕物帳』近藤史恵(光文社文庫)

「吉原雀」★★★☆☆
 ――遊女ばかり三人が死に、伝染病や事件性が疑われたが、店も死因もばらばらでだった。だが遊女の一人が「雀」と言い残していることがわかり……。

 見合い相手が陽気な父親と再婚する、馴染みの遊女はいるが手は出さない、そんな真面目一筋の同心・玉島千蔭が謎を解く、ミッシング・リンクもの。小者の八十吉の視点で物語が進むのですが、この三人称八十吉視点というのが隔靴掻痒で、ほかのキャラクターとの距離感が遠くて馴染めません。吉原の遊女だからこそ発生したであろう、意地と想いが引き起こした事件でした。それにしたって、(心臓病の母親の薬の処方を試すのに)一度まではともかく、二度三度というのは犯人の異常性を感じてしまいます。

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