『good!アフタヌーン』2019年5月号(講談社)
「亜人」67「勝利」
佐藤の腕奪取作戦。タイトルこそ「勝利」ですが、さすがにこのままあっさり終わるとは思えません。
「ブレインライフ」辻井通記
――仲里紀一・沙樹夫妻は貧乏だけどおしどり夫婦。だが子どもを助けようとして電車にはねられ……気づくと紀一は仮想現実の世界にいた。意識不明で一か月も眠ったまま、最新医療を施されたのだった。
四季賞2018冬のコンテスト準入選受賞作。レトロな絵だからこそクサい話が生きてくるのでしょう。SF的にも驚きはありませんが、これもレトロな絵のおかげで古くささが味になっていました。
『1518! イチゴーイチハチ!』7 相田裕(小学館ビッグスピリッツコミックス)
最終巻。COMIC ZIN特典ペーパーには「いったん」完結とあります。この漫画のファンの高校生がいつか出版社に就職して編集者となって続編を企画する……なんて漫画みたいなことでもあればいいのに。
カバー下おまけ漫画と巻末おまけ漫画とアイデア集と後書きと、最終話に4ページの加筆があります。
最終巻は幸と公志朗の恋の行方、会長選挙、卒業、その後が描かれています。幸との関係のけじめをつけるその前に、公志朗の将来(新たな夢)が見つかったのがいいですね。一歩ずつ前に進んでゆく感じがして。
物語的にはこれで一段落ついたのですが、学校生活も人生ももちろんまだ終わりません。会長選によって、幸と公志朗はパートナーとしてより強固になったようです。会長選は現会長から新会長への次世代へのバトンでもありますね。109ページの環会長とザキさんは、これまで見たことのないような表情をしています。提案に驚いたのか、幸の成長に驚いたのか。
次世代といえば最終話では新入生が登場します。加筆4ページはその新入生に関するもの。加筆によって、先輩たちに圧倒されたままではなく、新入生なりに前向きになれた様子が見られました。雑誌で読んだときには公志朗の台詞「アズマさんの足元にも」の「ズ」に黒点がついている理由がわからなかったのですが、新入生の名前が「アスマ」なのでズを強調していたんですね。
話としては最終話の一つ手前「卒業」がいちばん好きです。環会長と公志朗の何ともいえない関係が。環会長と公志朗の野球勝負から始まったこの物語ですから、この二人で一区切りつくのもすっきりします。
巻末おまけ漫画は最終話には登場しなかった東先輩が登場します。
描かれなかったアイデア集にはさまざまなエピソードがてんこ盛り。どれか一つでも読みたかったな。
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