「狐の嫁入り」「Letter」『good!アフタヌーン』2019年6月号、『リボーンの棋士』3

good!アフタヌーン』2019年6月号(講談社

亜人」68「破算」桜井画門
 ついに佐藤の腕を狭い空間に放り込むことができましたが……。あのままで終わるはずがないとは思っていましたが、ここで「佐藤の性格」が出てくるとは予想できませんでした。
 

狐の嫁入り」前田恵美
 ――子どものころから見えていた人ならざるものを文章にして小説家になった恵一だったが、今では何も見えなくなりスランプに陥っていた。そんなとき、子どものころ目撃した狐の嫁入り行列の花嫁狐が、恵一の嫁にしてくれと押しかけてきた。

 四季賞2019年春のコンテスト沙村広明特別賞受賞作。絵がきれいで丁寧です。設定自体はありきたりなのに、関わるなと言われた人外のものに関わったその先にまで踏み込み、狐が嫁入りしてきた理由や語り手の思い出や人生観などすべてひとつに収束してゆく結末に説得力があります。
 

「Letter」近藤汐音
 ――サンタクロースが本当にいるのか実験をしてみることにした。家のポストに手紙を入れて、母親が早朝ポストを確認する前になくなっていたらサンタはいる。神を信じる少年に出会った少女は、父親が出し忘れた年賀状を投函しに、兄のバイクに同乗して出かけるが……。

 四季賞受賞作。独特の絵や世界観がひとりよがりにはなっていません。少女の実験自体が面白いのですが、そこから少年や年賀状の話になって実験はどうなったのかと思う暇もなく、少年のことも実験のことも見事に着地しているきれいな結末のつけかたでした。
 

『リボーンの棋士』3 鍋倉夫(小学館ビッグスピリッツコミックス)
 アマ竜皇戦。安住VS土屋。対局だけで、特に盤面の解説があるわけでもないのに、人間ドラマになっているのがこの漫画のすごいところ。ただの傍観者だった人たちが見る間に引き込まれてゆくのを見て、読んでいるこちらも熱くなります。
 

   


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