『となりに』basso(茜新社 EDGE COMICS)

 オノ・ナツメのBL名義の新作です。志村貴子のBLは脳内で男女に置き換えようとしても気持ち悪くて読めないのだけれど、basso作品の場合はすんなり読めました。ベッドシーンのある志村作品に対し、basso作品の場合はオノ・ナツメ名義でも基本的にベッドシーンがないことも大きいでしょうか。愛情も欲望もダダ漏れな志村作品とは違って、登場人物がクールだし。

 ジジイ萌えなオノ・ナツメらしく45歳のおじさんがお相手です。これがブラック企業で休みなく働いている疲れたサラリーマンとは思えないくらいにスマートで、そして基本的にオノ・ナツメの描く年上男性(女性も)は色っぽい。

 好きな馬の写真を撮るために新幹線で関西に出かける社会人2年目の青年と、日曜なのに出張帰りのサラリーマンが偶然出会って、ただそれだけ。ただそれだけですが、確かに新幹線の隣の席というのは知り合いになるきっかけとしてはありそうですし、さらに交流を持つことになる理由が競馬とはいえお互いが競馬好きというわけではなく、片方が馬の写真を撮りたいという青臭いところもいい。

 基本が片想いなのでそのあいだは嘘くささがありません。最終的には異性愛者のおじさんの気持も変化してしまうので、「俺のために泣いてくれる人がいるんだね」とか「どこでも俺のこと見つけてくれる」とか、そんなの理由になるか?とは思ってしまいますが。
 

  


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