「NARROW WORLD」澤和佳、「ワールドエンドの童」平ショウジ、『リボーンの棋士』4

good!アフタヌーン』2019年10月号(講談社

亜人」72「限界」桜井画門
 立ち去った佐藤に、這い上がってきたカイ。予想もつかない展開が待ち受けていました。

「ワールドエンドの童」平ショウジ
 ――「だるいなあ、生きてくの。缶詰飽きたな、一年以上食べてるし」そのとき橋の方から音が聞こえた。「生き残り……?」。人間に私欲のために監禁されていた座敷童の女は人間を信じなかった。だが生き残りの男は自分以外にも生き残りがいたことを無邪気に喜び、座敷童に話しかけ続けた。

 第9回四季賞新人戦。「Live For EVA」の著者。ペンネームが「ふんころがし」から「平ショウジ」に変更されています。終末と、人外の友情。これは「Live For EVA」と一緒なので、著者の得意とするところなのでしょう。座敷童の能力を「おみくじ」という形にしたのはわかりやすい。
 

「NARROW WORLD」澤和佳
 ――誰からも恐れられる高二の立花だったが、道でぶつかった小柄な高校生に投げ飛ばされてしまう。相手が同じ高校の柔道部員だと知った立花は、殴り込みをかけるが敢えなく返り討ちに遭ってしまう。なかば強引に柔道部の練習に付き合わされることになった立花だが、いつまで経ってもやり返すことはできずにいた。

 四季賞2019夏のコンテスト幸村誠特別賞受賞作。アメコミみたいなこの絵でギャグをやるセンスが面白いし、そうかと思えばきっちり青春ものになっているのも可笑しい。
 

『リボーンの棋士』(4)鍋倉夫(小学館ビッグ・スピリッツ・コミックス)
 アマ竜皇戦決勝戦。相手は将棋ソフトで勉強を重ねてきた中学生。敵役(?)だったアマ名人の片桐が、進路に悩む中学生に対して自分の経験をもとに真摯に答えるのはいい場面でした。ライバルが魅力的な作品は面白いというのは真理ですものね。

 照れながら「安住さんがやめたら――」と口にする森さんが可愛いのですが、森さんが安住にはっきり気があるそぶりを見せたのは初めてのような気がします。
 

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