『無花果とムーン』桜庭一樹(角川文庫)★★☆☆☆

 もしかすると角川書店から出版されるものは意図して少女小説のカラーを強めに出しているのでしょうか、深刻な悩みも体当たりな反応も思春期くさすぎて今のわたしにはまぶしすぎました。

 作中にもちらっと顔を見せていましたし、あとがきに書かれているところによれば、能と春樹とサリンジャー&フィツジェラルド&チャンドラーの構造を下敷きにしたそうですが、型に肉付けする能力がこのひとはすごいです。

 しかし年齢のわりには子どもじみているのは気後れの現れであり、その子どもじみているという設定を活かすため……とはいえ、作品全体にただよう中二病臭がキツすぎて読むのがつらかったです。

 お兄ちゃん、なんで死んじゃったの……!? あたし、月夜は18歳のパープル・アイで「もらわれっ子」。誰よりも大好きなお兄ちゃんの奈落に目の前で死なれてから、あたしの存在は宙に浮いてしまった。そんな中、町で年に一度開かれる「無花果UFOフェスティバル」にやってきたのは、不思議な2人連れ男子の密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて……。少女のかなしみと妄想が世界を塗り替える傑作長篇!(カバーあらすじ)
 

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