『神の守り人 来訪編・帰還編』上橋菜穂子(新潮文庫)★★★☆☆

 守り人シリーズ初めての前・後編です。

 バルサがたまたま助けた少女が、体内に「神」を宿す血筋だったことから、刺客に追われることになります。何しろ多勢に無勢、本書のバルサは(特に後半は)押され気味で、これまでのような活躍を期待するとやや消化不良でした。元来が用心棒なのですから守ってなんぼなのですが、陰謀や機略にバルサが自分から踏み込んでゆくということはなく、終始用心棒に留まっていました。

 女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、“猟犬”と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる“猟犬”たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。(上巻カバーあらすじ)
 

   


防犯カメラ