『カササギたちの四季』道尾秀介(光文社文庫)★★★☆☆

 リサイクルショップにまつわる登場人物名になぞらえた四つの短篇からなる作品集です。店長の華沙々木《かささぎ》が的外れな推理を唱えるも、共同経営者の語り手・日暮がうまく手を回して華沙々木を立てたまま事件を解決する、という基本線だけ見ればユーモアミステリのようですが、事件に関わる関係者たちの心の内はかなりシリアスでした。

 第一話「―春―鵲の橋」では、リサイクルショップで放火未遂が起こります。鳥のブロンズ像が焦がされた明後日、小学生が落としもののハンカチを探しに店を訪れます。母を思う小学生の気持が優しいです。

 第二話「―夏―蜩の川」。木工店から大量注文が入った。弟子のために宿舎に家具一式を用意するためだった。紅一点の仮弟子がようやく本弟子として認められたのだ。その木工店では、加工前の神木が傷つけられるという事件が起こっていた。夢と現実との折り合いをつけるために犯人がこうした方法を選ばざるを得なかったのが印象的です。悪意によらない操りというのが新鮮でした。

 第三話「―秋―南の絆」。前二話で言及されていた、菜美との出会いの事件が回想形式で語られます。なるべく安く買い取ってくれと言われて訪れた南見家は母子家庭で、母親は娘の菜美に厳しく熱帯魚ばかり可愛がっていた。ある夜南見家に泥棒が入り、飼い猫が盗まれた。父親の優しさと矜恃、それに華沙々木の優しさが胸を打ちます。華沙々木の迷推理にあった、とある取り違えがとてもミステリらしいものでした。

 第四話「―冬―橘の寺」。橘って誰だ?と思いましたが、各話冒頭に登場していた和尚さんの名前が立花さんでした。華沙々木・日暮・菜美は、和尚から無料で蜜柑狩に招待された。宗珍は養子であることに屈託はなく、同年齢の菜美が気になる様子。雪に足止めされ一泊した寺に泥棒が入り、和尚の亡妻との思い出の貯金箱だけが割られていた。最終話ということで贅沢です。父の愛情、息子の愛情、亡き母の愛情まであれば、男女間の愛情もありました。ミステリ度はいちばん低いです。

 リサイクルショップ・カササギは今日も賑やかだ。理屈屋の店長・華沙々木と、いつも売れない品物ばかり引き取ってくる日暮、店に入り浸る中学生の菜美。そんな三人の前で、四季を彩る4つの事件が起こる。「僕が事件を解決しよう」華沙々木が『マーフィーの法則』を片手に探偵役に乗り出すと、いつも話がこんがらがるのだ……。心がほっと温まる連作ミステリー。(カバーあらすじ)
 

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 カササギたちの四季 


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