「リングストーンズ」(Ringstones,Sarban,1951)★★★★☆
――ダフニから送られてきた小包には、異様な手記が入っていた。ラヴリン博士から家庭教師のような仕事を頼まれたダフニは、ヌアマンという男の子と、マルヴァンとイアンセという双子の女の子、カティアという難民の女の子と遊ぶことになった。マルヴァンとイアンセは英語を話せるようだが、かたくなに話そうとはしなかった。少女たちを支配しているらしきヌアマンは、ダフニにも不思議な影響を与えていた……。
ストーン・サークルが太陽神信仰のために築かれたとして、どうしてそれにふさわしくない場所が選ばれているのか。古い宗教の神殿を新しい宗教が利用するからだ――というラヴリン博士の説を下敷きに、パン大神の宴を思わせるようなギリシア神話の世界をイギリスに出現させた幻想小説にして、第二部の階段のくだりはちょっとした怪奇小説でした。
「人形つくり」(The Doll Maker,Sarban,1953)★★★☆☆
――憧れていた教師の死に絶望していたクレアは、寮から抜け出したところを、グリムという猫を連れた男に呼び止められた。クリスマスに招待されたミセス・スターンの息子ニールが、あのときの男だった。祖先が永遠の命を目指して育てていた木から、人形を作るのがニールの趣味だった。
クリスマス・ツリーに関連してとはいえ、またドルイドが出てきました。しかし全体を通してはおどろおどろしい道具立てはなく、全寮制の女学校に通う少女と、人形に魂を吹き込む人形師の交流が中心となっていました。そういう面ではオーソドックスな作品でした。
[amazon で見る]