『まどのそと』佐野史郎作/ハダタカヒト絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん)
怪談えほん第三期、第一回配本。
かたかたかた……まどがかたかたなっている。かぜがふいているのかな。かーてんあけてみたけれど、そとの葉はゆれていない。「もうおねむのじかんでしょ」ままはだいどころであらいもの。
これぞ文章と絵のコラボレーションという作品でした。
文章で書かれているのは、窓が鳴るのを怖がるごく普通の家庭の子どもに過ぎないのですが、描かれている絵はどうみてもそうではありません。
どこまで深読みすべきなのかわかりませんが、火山の噴火で終末を迎えた誰もいない家で家族ごっこをしている少年のようにも見えます。いえ、主人公が少年なのかどうか、果たして存在するのかどうかすら定かではありません。
最後のページに描かれた、草に隠れて見えない茶色いものはいったい何なのでしょうか。
想像力を養うという編者の狙いにこれまででもっとも答えた作品だと思います。
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