『S-Fマガジン』2023年6月号No.757【藤子・F・不二雄のSF短編】

『S-Fマガジン』2023年6月号No.757【藤子・F・不二雄のSF短編】

 短編といっても短編小説ではなく短編漫画の特集でした。そりゃそうか。

「ヒョンヒョロ」藤子・F・不二雄(1971)
 ――マーちゃんが円盤にのったうさぎちゃんから手紙をもらったとママに見せた。こないだはミドリ色のオオカミ、その前は空飛ぶ大男、お星さまひろったといったこともあった。小さな子の空想だと一笑に付す父親だったが、手紙を読んで不安になった。手紙の内容は「ヒョンヒョロをください くださらないと誘拐するてす マーちゃんどの」という脅迫状だったのだ。いたずらにしても気味が悪いと思っていたが、果たして実際に大きなうさぎが現れた。だが両親は自分の幻覚だと思おうとして見ない振りを決め込んだ。

 『S-Fマガジン』1971年10月臨時増刊号掲載作。子どもの空想という導入がオチにもなっているところ、子ども特有の表現で最初から答えが呈示されていたところなど、よくできています。
 

「作品総解説」

「特別対談 SF短編はここがすごい‼」佐藤大×辻村深月

「SF短編全作品リスト」

藤子・F・不二雄SF短編ドラマ プロデューサー川崎直子氏インタビュー」
 

「すべての記憶を燃やせ」宮内悠介(SF作家×小説生成AI)/「メイキング&感想戦
 

「ムアッリム」レイ・ネイラー/鳴庭真人訳(Muallim,Ray Nayler,2021)★★★☆☆
 ――近未来のアゼルバイジャン。国連職員であるマーリヤは限界集落のヒナルク村を訪れ、そこで実施されている教育支援プロジェクト――ムアッリムと呼ばれるロボット教師による学校運営を視察する。しかし現状はお粗末なもので、生徒数は定員未満、ロボットは村人の雑用に使われている始末。マーリヤはムアッリム廃止の方向で報告書をまとめようとするが……。(解説より)

 立場が変われば大事なことも変わる。とは言え……。どうしても〈文明国〉側の視点でものを見てしまいますが、村人の方が一枚上手でした。
 

「SF BOOK SCOPE」
 チェコSF短編小説集2』は、『1』とは違い二〇一〇年代の作品の四篇収録されているうえに、「切れ味鋭い短篇が揃っている」そうです。
 

結城充考インタビュー 新作長篇『アブソルート・コールド』刊行記念」

「乱視読者の小説千一夜(79)象は忘れない」若島正

大森望の新SF観光局(89)女性SF・男性SF」

「『ガーンズバック変換』『円』刊行記念対談 日本で語らう中国SF」陸秋槎×大森望

「追悼グレッグ・ベア

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