『怪盗グルーのミニオン超変身』(Despicable Me 4,米,2024)
原題にある通り、怪盗グルーシリーズの第4弾。
制作:イルミネーション。監督:クリス・ルノー。
子ども向けだと思っていたのでこれまで一作も観たことがありませんでしたが、意外とドタバタ度の高いスラップスティック・コメディでした。
タイトルバックでいきなり仲間に向かってスポンジガンを撃ち始めるのは、ディズニーやピクサーにはできない、古き良きお笑いのノリで、むしろ大人の方が楽しめてしまうかも、と思ったりもしました。
ディズニーやピクサーといえば、予告篇で流れた映像や以前に観た映画を思い返してみても、この二社の最近の主人公たちの表情がみんな一緒なんですよね。困り眉で目を見開いて口許を歪ませる引き笑い。
それに比べてこの作品のキャラクターの表情豊かなこと。
そういう点でも孤児という設定はよくできています。グルー、ルーシー、マーゴ、イディス、アグネスにみんな違う顔つきや表情をさせることができる。
基本的にはマシンガンなみに繰り出されるドタバタなのですが、間違えて持って来たベビー用品を使って学内に侵入したり追手を撃退したり、悪党学校からの脱出時に使った自動車を、誘拐されたジュニア奪還にも利用したり、と、ドタバタや笑いを改めて活用するケースもありました。
ヘアスタイリストという新しい肩書きで仕事を始めたルーシーに非道い目に遭わされたお客さんなんて、ただの被害者のはずなのに、ターミネーターみたいな扱いで笑いました。
けれど多くはつながりのないドタバタで、特にミニオンたちの行動は、隙あらばいたずらするしょーもないものなのですが、その無意味さとテンポが可笑しくて仕方ありませんでした。
ルーシーの顔をどこかで見たことがあるともやもやしていたのですが、長野智子かな。
元怪盗のグルーは悪党学校の同窓会に潜入し、今一押しの悪党マキシムを逮捕する。虫を研究して身体を強化していたマキシムは、刑務所を脱走してグルーへの復讐を誓う。AVL(Anti-Villain League)からそのことを知らされたグルー一家――グルー、ルーシー、マーゴ、イディス、アグネスは、新たに生まれたジュニアを連れて、AVLの用意したメイフラワーの家に引っ越し、しばらくは変名を使って暮らすことになった。
だが隣家の娘ポピーに悪党だった過去がバレてしまい、グルーは脅される羽目に。悪党に憧れるポピーは悪党学校に忍び込んでウーベルシュレヒト校長のペットであるアナグマを盗もうとしていた。グルーたちは泥棒道具の入ったカバンと間違えてベビー用品の入ったカバンを降ろしてしまうが、ジュニアの活躍もあり、ベビー用品を駆使してアナグマ誘拐に成功する。
だが校長は犯人を突き止め、グルーに恨みを抱いているマキシムにも居場所を教えたうえで、みずからもグルー邸に乗り込む。ポピーからの緊急連絡を受けたAVLは、改造してみたものの失敗続きだったメガミニオンたちに出動命令を出す。飛行、怪力、熱線、ゴムゴム、固い歯と強力な消化器……それぞれの能力を持ったメガミニオンたちが、持て余した暇をここぞとばかりにはじけさせる。
1~3も観てみたいな、と思わせる出来でした。