「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明(光文社文庫)

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明光文社文庫

 同名短篇集より、世評の高い表題作だけ読みました。

「独白するユニバーサル横メルカトル」(2005)★★★☆☆
 ――私は国土地理院発行のユニバーサル横メルカトル図法による地形図延べ百九十七枚によって編纂されました一介の市街道路地図帖でございます。お坊ちゃまの御尊父であられます御先代には大層可愛がって戴きました。御先代は客待自動車《タクシー》の運転手を為さっておりました。御先代の様子がお変わりになられたのは亡くなる二年前でした。深夜にお乗せした女性がそれはそれは穢らわしい方で、車を停車された御先代は下車され、口汚く罵り始めた女性を一撃で黙らせてしまいました。闇の中へ消えた御先代は一時間ほどで戻られ、手にしたドライバーの先で私に×印を付けられたのでございます。

 地図による一人称でギャグではなくホラーを書こうと思う発想がぶっ飛んでいますが、初出が『異形コレクション 魔地図』と知ってひとまずは納得です。とはいえ、人皮に埋葬場所を書き込むという行為こそグロテスクなものの、その行為の結果、人皮が地図となったために語り手の地図とコミュニケーションを取れるようになるなど、ホラーといえどもユーモア含有量は高めです。親子二代にわたる猟奇殺人鬼の話でありながら、スプラッター描写は猟奇殺人場面ではなく先代の事故死場面だったりすることもあり、語りに相応しく全体的に変化球でした。

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