『名探偵コナン』「怪人…包帯の男」「生放送中の死」

名探偵コナン』「怪人…包帯の男」「生放送中の死」

 映画名探偵コナン 隻眼の残像』を乏しい前知識しかない状態で観に行ったところ、誰が準レギュラーで誰がゲストキャラなのかわからないため、被害者も犯人もまったく予想がつかず楽しめました。

 それはそれとしてあとから復習しようとしたところ、今は長野県警セレクションとか安室セレクションとか便利なものが出ているんですね。安室の回を読んだら今度は黒の組織がどういう流れになっているのかが気になり出してしまい、折を見て1巻から順番に読んでいこうと決めました。

 すると意外にもミステリとして結構しっかりしていることに驚きました。以下、ミステリとして感心した回をいくつか。
 

「怪人…包帯の男」~「殺人鬼の正体!」(原作第5巻/アニメ版「山荘包帯男殺人事件」)
 ――蘭とコナンは、蘭の同級生で鈴木財閥のお嬢様・園子の別荘に遊びに行く。園子の姉・綾子の大学時代の映研仲間の同窓会も兼ねていた。だが別荘の周りで包帯姿の怪しい男が目撃されたうえ、二年前に死んだ敦子の名前が出ると途端に険悪な雰囲気になってしまう。おまけに蘭が包帯男に襲われるという事件まで起き……。

 いくつかの著名作のトリック【※カー「妖魔の森の家」、ブランド『ジェゼベルの死』、島田荘司『北の夕鶴』も?】を組み合わせているのですが、その換骨奪胎の仕方が非常に上手く、カーが読んだら嫉妬したのではないかと思うほどです。

 蘭が襲われた理由を伏線としてまぶしているところにも丁寧な作りを感じさせます。
 

「生放送中の死」~「緊急推理ショー」(原作第11巻/アニメ版「テレビ局殺人事件」)
 ――松尾貴史は担当しているワイドショーから降ろされそうになり、プロデューサー諏訪の殺害を決意する。小五郎がゲスト出演している生放送中、推理コーナーのVTRが流れているなか、松尾は諏訪に電話をかけ、拳銃で射殺する。番組終了後に諏訪の死体が発見され、VTRの最中に松尾がスタジオを抜け出しているのが判明したが、スタジオから現場まではどんなに急いでも往復できない距離だった……。

 タレントの松尾貴史が本人役でゲスト出演した倒叙回です。これまた著名作のトリック【※チェスタトン「ムーン・クレサントの奇跡」】を現代風にアレンジしてアリバイ作りに利用されていました。

 また、探偵役が偶然取った行動がのちのち犯行の証拠として回収されるという解決編も、倒叙という形式に相応しくコロンボ・オマージュであり、著者のミステリへの愛とセンスが詰まっていました。
 

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