『シャドウランド(上・下)』ピーター・ストラウブ/大瀧啓裕訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

シャドウランド(上・下)』ピーター・ストラウブ/大瀧啓裕訳(創元推理文庫

 『Shadowland』Peter Straub,1980年。

 語り手の「ぼく」が二十年以上前の高等部時代の友人たちのことを本にした、という体裁の小説です。

 カースン学院は二流であることを隠すために厳格にしている類の学校だった。新入生のトム・フラナガンはマジシャンを目指すデル・ナイティンゲールと知り合い、マジックの魅力に目覚める。だがデルたちは教師や先輩から目を付けられてしまう。なかでも学院長のブルームや、教師の息子である四年生のリドパース(通称〝骸骨〟)の横暴は留まることを知らなかった。

 やがて骸骨は何かが見えているようなおかしな言動をし、トムやデルの周囲では物が浮く現象が起こり始める。

 そしてある日、学校が火に包まれる事件が起こり……。

 冒頭の数章の、息苦しい感じの学園生活はなかなか読ませるのですが、それがだらだらと間延びして続くのがストラウブらしいところです。そもそもどうして存在感のない語り手を噛ませたのか、ただでさえメリハリに乏しい作家なのに、ますます隔靴掻痒とした読み心地になってしまっています。骸骨の不気味さや不思議な現象がいまいち伝わってきません。

 やがて夏休みになり、トムはデルの伯父であるマジシャンのコリンズの屋敷シャドウランドに遊びに行き、そこでローズ・アームストロングという一つ年上の少女と出会い恋に落ちますが、コリンズは奇術師ではなく魔術師であり不気味な者たちと対決したり何なり――と、凄くアホらしい話になってしまいました。

 訳者はあとがきで、本書は『ゴーストー・ストーリー』と対をなすと書いていますが、確かに『IT』や『何かが道をやってくる』になりきれないところが『ゴースト・ストーリー』と共通しています。

 厳格な私立学校に進学したトムは、マジックに熱中する同級生デルと友達になった。だが学校では、彼ら新入生は教師や上級生から手ひどく扱われる苦難の日々がつづく。そして、あるとき起こった盗難事件をきっかけとするかのように、学校に不思議な出来事が起こりはじめた……。待ち受ける悲劇に向けて高まりゆく緊張。鬼才作家を代表するファンタジイ大作にして、青春小説の傑作。(上巻カバーあらすじ)

 学年の終わりの夏休み、トムとデルは、デルの伯父に会うため田舎町へ列車の旅に出た。伯父は最高のマジシャンで、その屋敷の名はシャドウランドといった。そこは、ありとあらゆるものを自在に操るマジックが支配する場所だった。そして伯父は、はるか昔から伝わる秘伝の後継者を求めていた……。時を超え空を舞う、狂乱のマジック。万感の思いを胸に、少年のひと夏の冒険が終わる。(下巻カバーあらすじ)

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