『Empire of the Sun』J. G. Ballard,1984年。
著者少年期の体験をもとにした作品です。
死の影はいたるところにあるわりには命の危険はそこまでではないところがバラードっぽいとも感じます。この少年が破滅三部作やヴァーミリオン・サンズを書くことになると思えば納得できるようでもあり納得できないようでもあり。何しろジム少年はたくましい。戦闘機を愛し、死体からも空家からも物を盗み、コクゾウムシごと穀物を口に入れ、はぐれた両親を捜し続けます。
この両親捜しというのがそもそも肝が据わっていて、両親が捕虜になったのだとしたら自分も捕虜になれば会えるのではないかと考え、日本軍に投降しようとするのです。子どもっぽい発想と言えばそれまでですが、戦時中を生き抜くしたたかさも感じます。
収容所生活よりもむしろ、ナイフを持った若者に襲われる治安の悪さや、侵略によって状況が変わり使用人の態度が一変するところに不安を覚えました。
1941年、第二次世界大戦の波が押し寄せつつある国際都市上海の共同租界。イギリス人少年ジムは、無邪気に零戦や模型飛行機に心を惹かれる日々を送っていた。だが、日本軍の侵攻によってすべては一変する。両親とはぐれひとりぼっちになったジムは龍華収容所へと送られ、長期の拘束を通して“人間のすべて”を学び成長してゆく。SFの巨匠バラードの原点となった傑作、新訳決定版。(カバーあらすじ)
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