『いつかわたしに会いにきて』エリカ・クラウス/古屋美登里訳(ハヤカワepi文庫)
『Come Up and See Me Sometime』Erika Krouse,2001年。
デビュー短篇集。
新しい価値観を持つ女性が古い価値観の社会と交われば、それだけでドラマが生まれるけれど、結局それ以上のことは起こらない。言うなればそんな小説です。「みんなって?」「みんなよ」/「わたし、黄色って、嫌い」「ここを借りるときは気に入っていたくせに」――これ自体は語り手が苛立っているときの会話ではあるものの、だいたいこんな調子である。ただのわがままや性悪を、シニカルだとか自立だとか勘違いしている感じ。周りに攻撃的でないと、つけ込まれる。優しさは強さではない。そういう、アメリカらしい土壌のうえに描かれた小説。ただただ痛々しく、読んでいて惨めな気持ちになります。
わたしはこんな人間じゃなくてよかった――と、ほっとできる効果はあるとは言えそうです。
わたしが魅かれる男はいつも他人のもの。妹の夫も寝取った。妹はそれも気づかず、真面目に生きたらどうかとうるさい。奔放な姉が目覚める真実が胸に迫る「他人の夫」。派遣先でわたしは変わった女性と同僚になった。毎日一緒にいるうちに仲良くなったある日、彼女は衝撃の告白を……親密さが生む不可思議な心理を描く「女装する者」。恋や人生に戸惑い孤独に揺れる女性たちを可笑しみと哀しみをこめて綴る瑞々しい短篇集(カバーあらすじ)
