『円居挽のミステリ塾』青崎有吾・斜線堂有紀・日向夏・相沢沙呼・麻耶雄嵩(星海社新書)★★★★☆

『円居挽のミステリ塾』青崎有吾・斜線堂有紀・日向夏・相沢沙呼・麻耶雄嵩(星海社新書)

「第0回」(2021)――第0回は、円居挽へのインタビュー。「京大ミス研に入りたいから、京大に入ったと言ったほうが正しいですかね(笑)」「『蒼鴉城』というサークルの会誌に載せるための長編原稿にボツを食らったんですよね。/――ボツ⁉ サークル活動で⁉」といったやり取りが楽しめます。
 

「第1回 青崎有吾」(2021)――はやみねかおるを読んだあとに挿絵を描いているやまさきもへじのコミカライズ版に手を伸ばしたり、好きなファンタジー作品の挿絵を描いているのが佐竹美保だと気づいて佐竹美保がカバー絵を描いている本を読んだりと、絵から読書の幅を広げてゆくのは、「高校1、2年くらいまで、僕は漫画家になりたかったんです」ということと関係しているのでしょうか。島田荘司もトリックには絵の才能が云々のようなことを書いていた気がしますし。

 投稿3作目でデビュー、しかも前2作はライトノベルだったのを3作目で鮎川哲也賞デビューというのは本当に才能だと感じます。

 青崎「バトルも突き詰めればミステリと回路は一緒」、円居「「なんとなく主人公補正で覚醒しました」みたいな雰囲気でバトルが描かれても、納得できないんですよね」というのは、ミステリファンならうなずけるやり取りではないでしょうか。

 『アンデッドガール・マーダーファルス』シリーズの終着点が決まっているのはともかく、裏染シリーズも「最終巻までほぼ決まってます」というのは意外でした。まあでも高校生が主人公ということを考えれば、卒業まででおしまいということだったりするのかもしれません。
 

「第2回 斜線堂有紀」(2021)――こんなにぶっ飛んでいる人だとは思いませんでした。勉強が嫌いだったから授業には出ずに本を読んだりマックに行ったりしていたのはまだ中高生の行動としては理解できるのでおとなしいくらい。ライトノベルレーベルに純文学っぽい作品を投稿し続けるだとか、ミステリの才能もありそうだから書いてみないかと勧められからミステリを読みまくっただとか、凡人には真似できないエピソードが目白押しでした。ラテンアメリカ文学に関しては、そもそもボルヘスというミステリと相性のいい大御所がいるので、マジックリアリズムは措いておいても親密度は高いと思うのです。
 

「第3回 日向夏」(2021)――名前だけ聞いても「?」でしたが、『薬屋のひとりごと』の作者でした。ミステリプロパーではないだけに、クリスティーからミステリの規範を学んでそれに従っているだとか、先の展開は読者の反応を見ながらライブ感で書いているだとかいったエピソードがありました。『脳噛ネウロ』同様、いつ終わってもいいように数パターンの終わりを考えてあるという話を聞くにつけても、クリスティーを規範にしているという話と併せて考えて、真面目なかたなのでしょう。
 

「第4回 相沢沙呼」(2021)――元々ライトノベルに影響を受けてライトノベルのつもりで書いていたと言われて、さもありなんと納得。ミステリのマジシャンは悪役が多いしネタばらしされてしまうから、マジシャンからするといい気がしないというのは、マジシャンの感覚なのか著者特有の感覚なのか。
 

「第5回 麻耶雄嵩」(2021)――円居挽のペンネームが麻耶雄嵩命名だったとは。けっこうひどい。。。後半で明かされる外出先を伝えないエピソードもメルカトルっぽいと指摘されていたように、どうやらちょこちょこ悪ノリする人のようです。尖りまくった『メルカトルかく語りき』のきっかけも、「おもしろいかなあって、それだけです(笑)」。天才タイプだと思っていたので、「本格は努力」という言葉も意外でした。

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