『日本幻想文学史』須永朝彦(平凡社ライブラリー)★★★★☆

 日本の古典文学も大好きなので問題ないが、現在使われているような意味合いで「幻想文学」というものを期待すると、全然違うのでがっかりするかもしれません。

 そもそも著者が「はじめに」で書いているとおり、「幻想」ということば自体が明治生まれらしいのでしょうがないですが。

 記紀風土記、王朝物語、軍記物語、説話、御伽草子、能・浄瑠璃・歌舞伎、江戸伝奇小説、明治以降に至る、この世ならざる物語の系譜とでも言えばいいのでしょうか。特に、中国日本の古典はもちろん同時代のライバル作品すら元ネタにしてしまう江戸期の複雑怪奇な作品群を、すっきりとした通史に仕上げた江戸〜明治あたりが読みごたえありました。
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