『平ら山を越えて』テリー・ビッスン/中村融編訳(河出書房新社・奇想コレクション)★★★☆☆

テリー・ビッスン(Terry Bisson)の日本オリジナル短篇集第二弾。「平ら山を越えて」(Over Flat Mountain,1990)★★★★☆ ――8年にわたる地殻変動で生まれた巨大な山〈平ら山〉、大気もない頂上を越えて荷を運ぶトラック乗りが拾ったのは、ヒッチハイクで山…

『洋梨形の男』ジョージ・R・R・マーティン/中村融編訳(河出書房新社・奇想コレクション)★★★★★

「モンキー療法」(The Monkey Treatment,Geroge R. R. Martin,1983)★★★★☆ ――ケニーは太った男だった。ある日、レストランでヘンリーを見かけた。この前会ったとき、ふたりとも減量クラブの会員だった。だがとなりにいるのは痩せさらばえた男だ。 寄生怪…

『蒸気駆動の少年』ジョン・スラデック/柳下毅一郎訳(河出書房奇想コレクション)★★★☆☆

John Sladek。 マニアというかディレッタントというか凝り性というか変な話ばっかり。「古カスタードの秘密」柳下毅一郎訳(The Secret of Old Custard,1966)★★★★★ ――アグネスは赤ちゃんが欲しいと願いつづけていたので、オーヴンの中に赤ん坊がいても別に…

『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』シオドア・スタージョン/若島正編(河出書房奇想コレクション)★★★☆☆

「帰り道」(A Way Home,1953)★★★☆☆ ――家出をしたとき、ポールはだれにもずっと会わなかったし、なにも目にしなかった。しばらくして、車がやってくるのを見た。運転手は大柄な男だった。「やあ。ここは懐しのタウンシップ・ロードかい?」「ええ」「だと…

『悪魔の薔薇』タニス・リー/安野玲・市田泉訳(河出書房奇想コレクション)★★★☆☆

『The Devil's Rose and other stories』Tanith Lee。 雰囲気はいいんだけど、全編タンビーな感じでちょっと好みではない。冒頭の「別離」には気品といった佇まいもあってよかったけど、ほかはどれだけ怪奇で幻想的でも基本がタンビーなファンタジーなので………

『失われた探険家』パトリック・マグラア/宮脇孝雄訳(河出書房奇想コレクション)★★★★☆

Patrick McGrath。これで全短篇、だそうです。少ない。。。「天使」(The Angel)★★★★☆ ――ハリーは八十を越えているだろう。唇には紅をさしていた。「昔、天使を知っていた」と、ハリーはつぶやいた。「あれも二〇年代のことだった」 解説によればマグラアは…

『最後のウィネベーゴ』コニー・ウィリス/大森望編訳(河出書房奇想コレクション)★★★★☆

「女王様でも」(Even the Queen)★★★☆☆ ――受話器を受けとった。「もしもし、母さん」「トレイシー。パーディタがサイクリストになっちゃったんだよ」「知ってる」「裁判所の禁止命令をとりつけるとか、サイクリストを洗脳のかどで告訴するとか、なにかでき…

『元気なぼくらの元気なおもちゃ』ウィル・セルフ/安原和見訳〈奇想コレクション〉(河出書房)★★★★☆

普通ではないかもしれないけれど、奇想コレクションのカラーには合ってない。SFやファンタジーではなく、まるっきりの現代主流文学。いかにも柴田元幸が訳しそうな作品では?、と思ったけど、巻末リストを見たらやっぱり訳してました。奇想コレクションと…

『ページをめくれば 奇想コレクション』ゼナ・ヘンダースン(河出書房)★★★★★

「忘れられないこと」(The Incredible Kind)★★★★☆ ――何年も教師をやっていて一度だけ、忘れられないことが起こった。男の子がひとり転校してきた。ヴィンセント。読みかたを除けば年齢以上に優秀だった。ある日、ヴィンセントとジーンが大げんかをした。リ…

『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン

アヴラム・デイヴィッドスンの短編集が出ましたね。 むしろ殊能将之の編んだ短編集が出たというべきでしょうね。 待ってください。そりゃあぼくはデイヴィッドスンという名前は聞いたことがなかった。殊能将之編というのに惹かれて購入したのも事実ですよ。…


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