『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 霊』東雅夫編/金井田英津子絵(汐文社)★★★☆☆

『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 霊』東雅夫編/金井田英津子絵(汐文社)「あれ」星新一(1975)★★★★☆ ――あるホテルの一室で、出張中の男が眠っていた。静かな真夜中。男はふと寒気を感じて目をさました。そばに人のけはいを感じる。一メートルほどはな…

『図書館の魔女 烏の伝言(上・下)』高田大介(講談社文庫)★★★★★

『図書館の魔女 烏の伝言(上・下)』高田大介(講談社文庫)★★★★★ 『図書館の魔女』の続編は、マツリカもキリヒトも出てこない場面からスタートします。前作での混乱によりニザマ国の一姫君と近衛兵たちが山の民・剛力の力を借りて亡命行の真っ最中でした。…

『緋の堕胎 ミステリ短篇傑作選』戸川昌子/日下三蔵編(ちくま文庫)★★★☆☆

『緋の堕胎 ミステリ短篇傑作選』戸川昌子/日下三蔵編(ちくま文庫)★★★☆☆ 創元・中公の小泉喜美子やちくまの仁木悦子に続いて刊行された、同じ日下三蔵編による戸川昌子の傑作選です。戸川昌子は『大いなる幻影』『火の接吻』『蜃気楼の帯』を読んだことが…

『幻想と怪奇』7【ウィアード・テールズ 恐怖と冒険の王国】

『幻想と怪奇』7【ウィアード・テールズ 恐怖と冒険の王国】「『ウィアード・テールズ』――ある雑誌の歴史と、表紙画家たちの横顔」 パルプ雑誌のカバーワークの良さはよくわかりません。 「パルプ・ホラーが映しだすもの」牧原勝志 「レッドフック街怪事件…

『ハコヅメ』18、『スインギンドラゴンタイガーブギ』5、『紙一重りんちゃん』1、『勇気あるものより散れ』1

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』(18)泰三子(講談社モーニングKC) 時系列的には『別章アンボックス』の続きです。西川係長とカナがいなくなったことは、さらっと触れられていました。如月部長がけっこうガチで川合に気があるようで驚きます。牧高の変態…

『S-Fマガジン』2021年10月号No.747【1500番到達記念特集 ハヤカワ文庫JA総解説PART2[502〜998]】

『S-Fマガジン』2021年10月号No.747【1500番到達記念特集 ハヤカワ文庫JA総解説PART2[502〜998]】「ハヤカワ文庫JA総解説 PART2 [502〜998]」 「『日本SFの臨界点』編纂の記録2021」伴名練 中井紀夫・新城カズマ・石黒達昌の短篇集について。オ…

桜庭一樹氏と鴻巣友季子氏の書評をめぐるやりとりについて

ここ何日かで急に「読み」がどうこうという話題が増えたので何だろうと思ったら、鴻巣友季子氏が朝日新聞に寄稿した『少女を埋める』評に対し、作者の桜庭一樹氏が反論しているということのようです。 桜庭氏の最初の反論がTwitterだったこともあり、情報が…

『伊藤くんA to E』柚木麻子(幻冬舎文庫)★★★★☆

『伊藤くんA to E』柚木麻子(幻冬舎文庫) 自意識過剰で自信家で傍若無人で共感力がなく野心家で――というキャラはこれまでの柚木作品にもいないわけではありませんでしたが、女から見たそんな男が登場しているのが本書の特徴で、とにかく気持ち悪い!頭おか…

『幻影の牙』戸川昌子(双葉文庫)★☆☆☆☆

『幻影の牙』戸川昌子(双葉文庫) 1970年初刊。 ミステリではなく経済小説でした。詐欺師でもある漁色家の男が美容院業界に狙いをつけて、狙った女と金をモノにしようとするという話なのですが、びっくりするほどつまらない内容でした。 この手の話の常とし…

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫) 『Black Alibi』Cornell Woolrich,1942年。 『黒衣の花嫁』『黒いカーテン』に続く〈ブラックもの〉の第三作です。 目次が被害者名になっており、『黒衣の花嫁』『喪服のランデヴー…

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ トム・ストッパードIII』トム・ストッパード/小川絵梨子訳(ハヤカワ演劇文庫42)★★★☆☆

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ トム・ストッパードIII』トム・ストッパード/小川絵梨子訳(ハヤカワ演劇文庫42) 『Rosencrantz and Guildenstern are dead』Tom Stoppard,1966年。 シェイクスピアの本篇ではハムレットの陰謀(?)の犠牲…

『猟犬』ヨルン・リーエル・ホルスト/猪股和夫訳(早川書房 ポケミス1892)★★★☆☆

『猟犬』ヨルン・リーエル・ホルスト/猪股和夫訳(早川書房 ポケミス1892) 『Jakthundene』Jørn Lier Horst,2012年。 ポケミスでは2作目となるノルウェーの作品で、ドイツ語からの重訳です。スウェーデンと違ってノルウェー語翻訳者って育っていないのか…

『パリ警視庁迷宮捜査班』ソフィー・エナフ/山本知子・川口明百美訳(早川書房ポケミス1943)★★★★☆

『パリ警視庁迷宮捜査班』ソフィー・エナフ/山本知子・川口明百美訳(早川書房ポケミス1943) 『Poulets grillés』Sophie HÉNAFF,2015年。 裏表紙のあらすじには「「フランスの『特捜部Q』」と評される」と書かれていますが、どこでそう評されているのか…

『名探偵の密室』クリス・マクジョージ/不二淑子訳(早川書房ポケミス1946)★★☆☆☆

『名探偵の密室』クリス・マクジョージ/不二淑子訳(早川書房ポケミス1946) 『Guess Who』Chris McGeorge,2018年。 テレビの探偵番組で人気の探偵と五人が死体とともにホテルの一室に閉じ込められ、三時間以内に五人のなかから犯人を見つけ出さないとホテ…

『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』末吉里花・文/中川学・絵(山川出版社)★★☆☆☆

『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』末吉里花・文/中川学・絵(山川出版社) 泉鏡花の絵本でお馴染みの中川学が絵を担当している絵本です。 地球の危機に対しこざるが或る兄妹を世界各国の合理産業の現場に連れ出して見せて、エシカル…

『幸福手配師パーカー・パイン』アガサ・クリスティ/小西宏訳(グーテンベルク21)★☆☆☆☆

『幸福手配師パーカー・パイン』アガサ・クリスティ/小西宏訳(グーテンベルク21) 『Parker Pyne Investigates』Agatha Christie,1934年。 訳者名からすると、創元推理文庫『パーカー・パインの事件簿』旧版の電子版のようです。パロディ的要素の強い前半…

『ライオン・キング』(The Lion King,米,2019)★★★☆☆

『ライオン・キング』(The Lion King,米,2019) ディズニーアニメのフルCGリメイク作品。 CGもここまで来たのか、という圧巻の映像です。何の前知識もなく観たので、台詞に合わせて口が動く以上はたぶん実写じゃなくてCGなんだよなあ……というレベル…

『運命の裏木戸』アガサ・クリスティー/中村能三訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★☆☆

『運命の裏木戸』アガサ・クリスティー/中村能三訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『Postern of Fate』Agatha Christie,1973年。 トミーとタペンス最終作です。クリスティー最後の作品でもあります。 面白いんですよ。饒舌なタペンスとのんびりしたトミーは相…

『アカシアは花咲く』デボラ・フォーゲル/加藤有子(松籟社 東欧の想像力15)★☆☆☆☆

『アカシアは花咲く』デボラ・フォーゲル/加藤有子(松籟社 東欧の想像力15) 『Akacje kwitną』Debora Vogel,1935/1936年。 2006年の再刊によって再評価された、ポーランドのイディッシュ語作家の短篇集です。モダニズムやモンタージュという言葉から想像…

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆ 『Red Harvest』Dashiell Hammett,1929年。 ハメットの第一長篇として、また映画『用心棒』の元ネタとして知られる古典の新訳です。初読。 映画『用心棒』のイメージから、有力者たちを対…

『ミステリマガジン』2021年9月号No.748【躍進する華文ミステリ/ハヤカワ文庫JA総解説ミステリ篇PART1】

『ミステリマガジン』2021年9月号No.748【躍進する華文ミステリ/ハヤカワ文庫JA総解説ミステリ篇PART1】「推理クイズじゃない「小説」としてのミステリを書きたい――紫金陳《ズー・ジンチェン》氏Q&A」行舟文化・企画構成/阿井幸作訳 『悪童たち』がハ…

『〔少女庭国〕』矢部崇(ハヤカワ文庫JA)★☆☆☆☆

SF

『〔少女庭国〕』矢部崇(ハヤカワ文庫JA) 2014年初刊。 中カッコでくくられた意味深なタイトル。 一ページ目をめくれば、予想外に古風な文体にフランクな表現と著者独自の言い回しが混ざった、癖のある奇妙な文章が飛び込んで来ます。 あらすじにもある、…

『ありふれた祈り』ウィリアム・ケント・クルーガー/宇佐川晶子訳(早川書房ポケミス1890)★★★★☆

『ありふれた祈り』ウィリアム・ケント・クルーガー/宇佐川晶子訳(早川書房ポケミス1890) 『Ordinary Grace』William Kent Kruger,2013年。 少年がある日を境に直面せざるを得ない現実を描いたという点では、同じポケミスの『フリント船長がまだいい人だ…

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー/井上里訳(創元推理文庫)★★★★★

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー/井上里訳(創元推理文庫) 『Picnic At Hanging Rock』Joan Lindsay,1967年。 カルト的人気の名作映画の原作、初の邦訳ということですが、映画自体が1975年作で本邦公開が1986年とかなり昔の…

『首のない女』クレイトン・ロースン/白須清美訳/山口雅也製作総指揮(腹書房 海外ミステリ叢書〈奇想天外の本棚〉)★★☆☆☆

『首のない女』クレイトン・ロースン/白須清美訳/山口雅也製作総指揮(腹書房 海外ミステリ叢書〈奇想天外の本棚〉) 『The Headless Lady』Clayton Rawson,年。 ロースンは大好きな作家で、長らく創元推理文庫版が絶版のまま復刊もされずにいたので、今…

『三体』劉慈欣《リウ・ツーシン》/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳/立原透耶監修(早川書房)★★★★★

SF

『三体』劉慈欣《リウ・ツーシン》/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳/立原透耶監修(早川書房) 『三体』刘慈欣,2008年。 ポケミス『折りたたみ北京』に収録されていた「円」がとてつもなく面白かったため、親本の本書も購入。抜粋を改作したとありま…

『まどのそと』佐野史郎作/ハダタカヒト絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん)★★★★☆

『まどのそと』佐野史郎作/ハダタカヒト絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん) 怪談えほん第三期、第一回配本。 かたかたかた……まどがかたかたなっている。かぜがふいているのかな。かーてんあけてみたけれど、そとの葉はゆれていない。「もうおねむのじかん…

『色町のはなし 両国妖恋草紙』長島槇子(メディアファクトリー)★★★★☆

『色町のはなし 両国妖恋草紙』長島槇子(メディアファクトリー) 2010年刊。『遊郭のはなし』に続く『幽』怪談文学賞受賞第一作ですが、前作とは段違いに面白くなっています。 恐らく前作は「遊廓に伝わる」「怪談」の「聞き語り」の「連作集」という形式に…

『遊郭《さと》のはなし』長島槇子(メディアファクトリー)★★☆☆☆

『遊郭《さと》のはなし』長島槇子(メディアファクトリー) 2008年刊。第2回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞受賞作。 長篇とはいえ実質的には掌篇のつらなりで、読売屋が遊廓「百燈楼」の元女中から聞いた赤い櫛の怪異を皮切りに、「百燈楼」のその後を知…

『スインギンドラゴンタイガーブギ』4、『BADON』4、『ハコヅメ』17&別章アンボックス

『スインギンドラゴンタイガーブギ』4、『BADON』4、『ハコヅメ』17&別章アンボックス 『スインギンドラゴンタイガーブギ』(4)灰田高鴻(講談社モーニングKC) さすがにレコードジャケットを模したデザインはネタ切れのようです。その代わり――というわ…


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