『だいぶつさまのうんどうかい』苅田澄子・文/中川学・絵(アリス館)★★★★☆

『だいぶつさまのうんどうかい』苅田澄子・文/中川学・絵(アリス館)★★★★☆ 泉鏡花の絵本で知られる僧侶イラストレーター中川学による絵本。これしかないという人選です。 仏様の運動会に大仏様も参加するけれど、大きすぎて失敗ばかり。ようやくのことで組…

『向日葵は見ていた』西本秋(双葉文庫)★★★★☆

『向日葵は見ていた』西本秋(双葉文庫) 『Clytie was seeing』2010年。 物語は二つのパートから成っています。 博物館に勤める加納里名は、次の特別展のアイデアを探しに図書館に行き、印象的な写真集を目にします。『クリュティエは見ていた』と題された…

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫)★★★☆☆

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫) 『A Magician in Ballon Town』2000年。 『バルーン・タウンの殺人』に続くシリーズ2作目。英題は「Balloon」の誤植かと思いましたが、フランス語やオランダ語では「Ballon」であるようです。 「バル…

『翻訳問答2 創作のヒミツ』鴻巣友季子編著(左右社)★★★☆☆

『翻訳問答2 創作のヒミツ』鴻巣友季子編著(左右社) 一冊通して片岡義男との対談だった『1』とは違い、本書では作品ごとに5人の作家と対談しています。一章ごとに対談相手が違うとやはり不完全燃焼気味に感じるようなところがありました。 「I AM A CAT…

『琥珀捕り』キアラン・カーソン/栩木伸明訳(東京創元社 海外文学セレクション/創元ライブラリ)★★★★☆

『琥珀捕り』キアラン・カーソン/栩木伸明訳(東京創元社 海外文学セレクション/創元ライブラリ) 『Fishing For Amber』Ciaran Carson,1999年。 父親のように話せたらどんなにいいだろう……という語り手の述懐から話は始まります。そんな父親が話したのは…

『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕(講談社文庫)★★★☆☆

『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕(講談社文庫) 警視庁いきもの係シリーズ第一作。 「小鳥を愛した容疑者」(2009)★★★★☆ ――重傷を負った捜査一課の須藤警部補は、退院後に内勤を薦められたが、現場復帰を望んだため、リハビリという名目で閑職をあてがわれ…

『文豪妖怪名作選』東雅夫編(創元推理文庫)★★★☆☆

『文豪妖怪名作選』東雅夫編(創元推理文庫) 『Masterpiece Yokai Stories By Great Authors』2017年。 特殊なテーマ上しかたないのかもしれませんが、既に絶版とはいえ同じ編者の『妖怪文藝』と重複している作品が多すぎるのが気にかかります。 「鬼桃太郎…

『眺海の館』ロバート・ルイス・スティーヴンソン/井伊順彦編訳(論創社)★★★☆☆

『眺海の館』ロバート・ルイス・スティーヴンソン/井伊順彦編訳(論創社) 『The Pavilion on the Links and Other Stories』Robert Louis Stevenson,2019年。 本邦初訳や初訳ヴァージョンを含む日本オリジナル短篇集。『寓話』が短篇集なので実質26篇収…

『ピーター卿の事件簿』ドロシー・L・セイヤーズ/宇野利泰訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『ピーター卿の事件簿』ドロシー・L・セイヤーズ/宇野利泰訳(創元推理文庫) 『The Casebook of Lord Peter』Dorothy L. Sayers,1979/2017年。 日本オリジナル編のピーター卿短篇集です。 「鏡の映像」(The Image in the Mirror,1933)★★☆☆☆ ――ピータ…

『死者の饗宴』ジョン・メトカーフ/横山茂雄・北川依子訳(国書韓国会〈ドーキー・アーカイヴ〉)★★☆☆☆

『死者の饗宴』ジョン・メトカーフ/横山茂雄・北川依子訳(国書韓国会〈ドーキー・アーカイヴ〉) 『The Feasting Dead』John Metcalfe,2019年。 日本オリジナル短篇集。前半にクセのある作品、後半に普通の作品が収められています。クセのある前半の話と…

『模像殺人事件』佐々木俊介(東京創元社)★★★☆☆

『模像殺人事件』佐々木俊介(東京創元社) 2004年刊行。 1995年の鮎川賞佳作『繭の夏』に続く著者の第二作です。 元推理作家・大川戸が迷い込んだ山奥のお屋敷・木乃家では、包帯姿の男が二人対峙していました。我こそは数年前に家を出た長男の秋人だと主張…

『河童のユウタの冒険(上・下)』斎藤惇夫(福音館書店)★★★★☆

『河童のユウタの冒険(上・下)』斎藤惇夫(福音館書店) 『The Adventure of Yuhta the Kappa(Waterman)』2017年。 読み始めてすぐにワクワクが止まりませんでした。『冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間』でお馴染みの斎藤惇夫による、七年ぶりの新作小説…

『呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集』ヨン=ヘンリ・ホルムベリ編/ヘレンハルメ美穂他訳(早川書房ポケミス1922)★★☆☆☆

『呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集』ヨン=ヘンリ・ホルムベリ編/ヘレンハルメ美穂他訳(早川書房ポケミス1922) 『A Darker Shade of Sweden』John-Henri Holmberg,2014年。 編者前書きによれば、原書はスウェーデン・ミステリの英訳アンソ…

『読書で離婚を考えた。』円城塔・田辺青蛙(幻冬舎文庫)★★★☆☆

『読書で離婚を考えた。』円城塔・田辺青蛙(幻冬舎文庫) 夫婦作家である二人がお互いに薦めた本を読んでその本についてのエッセイを書く読書リレーです。 てっきり読書感想文や書評による往復書簡なのかと思っていたのですが、のっけから二人とも課題図書…

『危険なヴィジョン〔完全版〕3』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF)★★★☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕3』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF) 3分冊の最終巻。個人的には平均点がいちばん高い巻でした。 「男がみんな兄弟なら、そのひとりに妹を嫁がせるか?」シオドア・スタージョン/大森望訳(If All Me…

『危険なヴィジョン〔完全版〕2』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF)★★☆☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕2』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF) 解説で若島正が、本書を比類のないものにしているのはエリスンの序文だと話していますが、エリスンにもSFにも過度な思い入れのない身からすると、そんな楽屋ネタ…

『プリズム少女~四季には絵を描いて~』八重野統摩(メディアワークス文庫)★★☆☆☆

『プリズム少女~四季には絵を描いて~』八重野統摩(メディアワークス文庫) 2013年、文庫書き下ろし。 『還りの会で言ってやる』『ペンギンは空を見上げる』の著者の第二作。 地味な男子が美少女二人と恋人未満の友だち関係という、少年漫画のラブコメみた…

『龍蜂集 澁澤龍彦泉鏡花セレクションI』泉鏡花/澁澤龍彦編/山尾悠子解説/小村雪岱装釘(国書刊行会)★★★☆☆

『龍蜂集 澁澤龍彦泉鏡花セレクションI』泉鏡花/澁澤龍彦編/山尾悠子解説/小村雪岱装釘(国書刊行会) 泉鏡花の再評価前、全集も品切れだったころ、種村季弘と澁澤龍彦による鏡花選集の企画が立ち上がったものの、企画は途中で立ち消えとなり、澁澤によ…

『恐怖小説キリカ』澤村伊智(講談社文庫)★★★☆☆

『恐怖小説キリカ』澤村伊智(講談社文庫) おばけの出てくるホラーを見下す編集者の依頼によって書かれた、一番怖いのは人間だという小説――という体裁の小説です。 日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智の周りで起こる恐ろしい出来事が描かれます。 第一部…

『ブルーローズは眠らない』市川憂人(創元推理文庫)★★☆☆☆

『ブルーローズは眠らない』市川憂人(創元推理文庫) 『The Blue Rose Never Sleeps』2017年。 デビュー作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く、マリア&漣シリーズ第二作。 本書はそれぞれ「プロトタイプ」と「ブルーローズ」と題された二つのパートか…

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫)★☆☆☆☆

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫) ミステリマガジン2019年11月号の時代ミステリ特集で刑事コロンボに挑んだ作品として紹介されていたので読んでみました。 犯人の犯行場面から始まり、予期せぬ事態に余計なことをしてしまうところは、…

『ミステリマガジン』2022年9月号No.754【マイクル・Z・リューイン生誕80周年記念特集】

『ミステリマガジン』2022年9月号No.754【マイクル・Z・リューイン生誕80周年記念特集】「リューインの思い出」阿津川辰海「サムスン試論」米澤穂信「ラッキーな気分の日」リザ・コディ/矢島真理訳(When I'm Feeling Lucky,Liza Cody,2021)★☆☆☆☆ ――ラ…

『危険なヴィジョン〔完全版〕1』ハーラン・エリスン編/伊藤典夫他訳(ハヤカワ文庫SF)★★☆☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕1』ハーラン・エリスン編/伊藤典夫他訳(ハヤカワ文庫SF) 『Dangerous Visions』Edited by Harlan Ellison,1967年。 (かつての)伝説の書き下ろしアンソロジーが(今さら)完訳刊行された、というのが正直なところなので…

『幻想と怪奇』10【イギリス怪奇紳士録 英国怪談の二十世紀】

『幻想と怪奇』10【イギリス怪奇紳士録 英国怪談の二十世紀】「A Map of Nowhere 09:ブラックウッド「柳」のドナウ川」藤原ヨウコウ「英国怪談・十五人の紳士」「時計の怪/酒蔵の妖魔」蘆谷重常(『インゴルズビー伝説』より)★★☆☆☆ ――「時計を御覧なさい。…

『ジーヴスの世界』森村たまき(国書刊行会)★★★☆☆

『ジーヴスの世界』森村たまき(国書刊行会) 国書刊行会ウッドハウス・コレクションの訳者による、バーティー&ジーヴスものを中心としたウッドハウス読本です。 第一章はウッドハウス作品の聖地巡り。ダリア叔母さんのロンドンの居宅がバーティーのフラッ…

『体温 多田尋子小説集』多田尋子(書肆汽水域)★★★☆☆

『体温 多田尋子小説集』多田尋子(書肆汽水域) 約30年前、芥川賞候補に6度なったことのある著者の、候補作「体温」「単身者たち」+「秘密」の全3作を収録した作品集です。著者あとがきに書かれた復刊の経緯によると、どうやら小説書きを引退しているら…

『『罪と罰』を読まない』岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美(文春文庫)★★★☆☆

『『罪と罰』を読まない』岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美(文春文庫) 何となくは知っているけれど何となくしか知らない名作を、最低限の知識だけをもとに、読まないままで内容を推し量ってみようという、聞くだけで面白そうな企画です。最後に…

『紙魚の手帖』vol.05 2022 JUNE【名探偵と名犯人の攻防を描く倒叙ミステリの最前線】

『紙魚の手帖』vol.05 2022 JUNE【名探偵と名犯人の攻防を描く倒叙ミステリの最前線】「世界の望む静謐」倉知淳「五線紙上の殺意 犯罪相談員〈1〉」石持浅海 ★★☆☆☆ ――ミュージシャンの有馬駿はとあるNPO法人を訪れた。悩みを解決するために犯罪に走ろう…

『S-Fマガジン』2022年8月号No.752【短篇SFの夏】

『S-Fマガジン』2022年8月号No.752【短篇SFの夏】「魔法の水」小川哲 「『地図と拳』とあわせて読めばより深く味わえる」そうなので、それまで読むのは保留しておきます。 「戦争を書く、世界を書く」逢坂冬馬×小川哲 「自分と同じような価値観や立場の…

『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著(講談社)★★★☆☆

『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著(講談社) 長年にわたってゴシック関連の仕事をしてきた著者の、ゴシック文学アンソロジー。 「獣」モーリーン・F・マクヒュー/岸本佐知子訳(The Beast,Maureen F. McHugh,1992)…


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