「京鹿子娘道成寺」「空飛ぶ悪魔――機上から投下された手記――」「ある完全犯罪人の手記」「ながうた勧進帳」「両面競牡丹」「撮影所殺人事件」「静かな歩み」酒井嘉七(青空文庫)★★★☆☆

「京鹿子娘道成寺」「空飛ぶ悪魔――機上から投下された手記――」「ある完全犯罪人の手記」「ながうた勧進帳」「両面競牡丹」「撮影所殺人事件」「静かな歩み」酒井嘉七(青空文庫)「京鹿子娘道成寺」酒井嘉七(1937)★★★★☆ ――わたくしがあの興行を見物に参り…

『ミステリマガジン』2024年11月号No.767【世界のジョン・ディクスン・カー】

『ミステリマガジン』2024年11月号No.767【世界のジョン・ディクスン・カー】 不可能犯罪特集。「世界の」の名に偽りなく、本家カーをはじめ、スウェーデン、フランス、中国の作品が掲載されていました。しかし編集者(I)による解説がむりやり褒めている感…

「特別提供品」リズ・ハフォード、「火がともるとき」パーク・ゴドウィン、「めばえ」リサ・タトル&スティーヴン・アトリー、「幻影のステーション」キングズリー・エイミス、「夢幻時界へ」リチャード・A・ルポフ、「家路」F・M・バズビー、「逆行の夏」ジョン・ヴァーリイ、「煌虫、ホーリーと愛」マイクル・G・コーニイ(S-Fマガジン)

「特別提供品」リズ・ハフォード、「火がともるとき」パーク・ゴドウィン、「めばえ」リサ・タトル&スティーヴン・アトリー、「幻影のステーション」キングズリー・エイミス、「夢幻時界へ」リチャード・A・ルポフ、「家路」F・M・バズビー、「逆行の夏…

『猫のまぼろし、猫のまどわし』東雅夫編(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『猫のまぼろし、猫のまどわし』東雅夫編(創元推理文庫) 怪奇・幻想・ファンタジーのなかから猫が題材のものを選んだアンソロジー。似たような作品が集まるのは避けられないし、関連作品として類話や元ネタを並べてある場合もありますが、基本的に「化ける…

『平成怪奇小説傑作集3』東雅夫編(創元推理文庫)★★★☆☆

『平成怪奇小説傑作集3』東雅夫編(創元推理文庫)「成人」京極夏彦(2008)★★★★☆ ――「『人形のどうぐ』 四年三組□□。ひなまつりです。ぼくは五人ばやしが、すきです。」続いて高校生による文を掲げる。「友達のAの家に行ったのは一度きりである。隣の部屋…

『ある詩人への挽歌』マイクル・イネス/桐藤ゆき子訳(現代教養文庫)★★★☆☆

『ある詩人への挽歌』マイクル・イネス/桐藤ゆき子訳(現代教養文庫) 『Lament for A Maker』Michael Innes,1938年。 アプルビイものの第3作。 キンケイグ村に住み詩集も出しているエルカニー城主ラナルド・ガスリーは昔から変人だったが、特に最近は頭…

『アンの夢の家』モンゴメリ/松本侑子訳(文春文庫)★★★☆☆

『アンの夢の家』モンゴメリ/松本侑子訳(文春文庫) 『Anne's House of Dreams』L. M. Montgomery,1917年。 赤毛のアン・シリーズ第5作です(が、第4作『風柳荘のアン』が晩年の作品なので、書かれたのは4番目になります)。 タイトルからもわかる通り…

『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』霧舎巧(講談社文庫)★★★★☆

『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』霧舎巧(講談社文庫) 1999年初刊。メフィスト賞を受賞した霧舎巧のデビュー作です。 再読ですが何もかもすっかり忘れていたのでほぼ初読に近い感覚でした。 事情により二年遅れで大学に入学したカケル…

『怪盗グルーのミニオン超変身』(Despicable Me 4,米,2024)★★★★☆

『怪盗グルーのミニオン超変身』(Despicable Me 4,米,2024) 原題にある通り、怪盗グルーシリーズの第4弾。 制作:イルミネーション。監督:クリス・ルノー。 子ども向けだと思っていたのでこれまで一作も観たことがありませんでしたが、意外とドタバタ…

『閉ざされた夏』若竹七海(光文社文庫)★★☆☆☆

『閉ざされた夏』若竹七海(光文社文庫) 1993年初刊。 学芸員が主人公の文学記念館が舞台のミステリです。探偵役はミステリ作家でもある妹が務めています。 後半になると浅木知佳ばかりが目立ってくるので、ほかの同僚や職場に悲劇が訪れてもあまり悲愴感が…

『死体を買う男』歌野晶午(講談社文庫)★☆☆☆☆

『死体を買う男』歌野晶午(講談社文庫) 1991年初刊。 『月刊新小説』に分載された未発表作『白骨鬼』。江戸川乱歩の未発表作かと紛うその作品は、乱歩に心酔する若者の手によるものだった。それを読んだ幻の大作家・細見辰時は、細見のファンでもあるとい…

『ぼくらはアン』伊兼源太郎(東京創元社)★★★★☆

『ぼくらはアン』伊兼源太郎(東京創元社) 2021年刊。 何とも印象深いタイトルです。平易な言葉なのに謎めいています。『赤毛のアン』を連想させるこのタイトルに惹かれて手に取りました。結論から言うと『赤毛のアン』は無関係でした。タイトルになってい…

『動く家の殺人』歌野晶午(講談社文庫)☆☆☆☆☆

『動く家の殺人』歌野晶午(講談社文庫) 信濃譲二三部作の最終作。1989年初刊。 信濃譲二が殺された。六月十五日のことだ。頭部強打による脳挫傷。四月十三日、信濃はレジで消費税について文句をたれていた。その翌々日から市之瀬徹はインドに滞在し、帰国…

『乱れからくり』泡坂妻夫(角川文庫)★★★★☆

『乱れからくり』泡坂妻夫(角川文庫) 泡坂妻夫の第一長篇。再読。 わたしが読んだのは角川文庫の電子書籍版ですが、創元推理文庫版には英題『Dancing Gimmicks』が付されています。 ボクサー崩れの勝敏夫が入社した宇内経済研究会は、社長の宇内舞子一人し…

『白い家の殺人』歌野晶午(講談社文庫)★★★☆☆

『白い家の殺人』歌野晶午(講談社文庫) 信濃譲二ものの二作目です。1989年初刊。 資産家猪狩家の別荘で、長女の静香が殺されるという事件が起こります。首を絞められた静香は両足首を縛られて自室の天井のシャンデリアから吊るされていました。扉と窓には…

『罪と罰3』ドストエフスキー/亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)★★★★☆

『罪と罰3』ドストエフスキー/亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)★★★★☆ 『Преступление и наказание』Федор Михайлович Достоевский,1866年。 最終巻も第2巻と同様に雑多なエピソードが集まっていますが、第2巻ほど散漫な印象はなく、一つ一つのエピソー…

『二冊の同じ本 日本推理作家協会編 最新ミステリー選集1〈愛憎編〉』松本清張他(光文社カッパ・ノベルス)

『二冊の同じ本 日本推理作家協会編 最新ミステリー選集1〈愛憎編〉』松本清張他(光文社カッパ・ノベルス)「二冊の同じ本」松本清張(1971)☆☆☆☆☆ ――古書目録に目を通していると、『欧州ことにロシアに於ける東洋研究史』というのに視線が止まった。「書…

『罪と罰2』ドストエフスキー/亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)★★☆☆☆

『罪と罰2』ドストエフスキー/亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫) 『Преступление и наказание』Федор Михайлович Достоевский,1866年。 2巻はかなり取っ散らかっていました。 前巻でドラマチックに登場した母と妹ですが、家族の口からもラスコーリニコフ…

『メルカトル悪人狩り』麻耶雄嵩(講談社ノベルスkindle)★★★★☆

『メルカトル悪人狩り』麻耶雄嵩(講談社ノベルスkindle) 悪人狩りというタイトルなので、てっきり「囁くもの」一作で中絶していた「メルカトル鮎 悪人狩り」以降の新作短篇集かと思っていたのですが、単行本未収録の旧作+『メフィスト』に連載されていた…

『罪と罰1』ドストエフスキー/亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

『罪と罰1』ドストエフスキー/亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫) 『Преступление и наказание』Федор Михайлович Достоевский,1866年。 冒頭で「あれ」の実行を前に逡巡する主人公ラスコーリニコフの姿は、なるほど倒叙ミステリのようで、そういう評価が…

『ミステリマガジン』2024年9月号No.766【現代海外ミステリ短篇を読もう!】

『ミステリマガジン』2024年9月号No.766【現代海外ミステリ短篇を読もう!】「現代海外ミステリ短篇を読もう!」 現代海外ミステリ短篇特集と銘打たれてはいますが、シリーズ作品と受賞作を並べただけで、現代海外ミステリについての概観も特集全体の解説も…

『短編ミステリの二百年3』マクロイ、エリン他/小森収編(創元推理文庫)★★★★☆

『短編ミステリの二百年3』マクロイ、エリン他/小森収編(創元推理文庫) 第3巻はEQMMコンテスト受賞作&受賞作家が収録されています。さすがに力作・傑作揃いでした。 「ナボテの葡萄園」メルヴィル・デイヴィスン・ポースト/門野集訳(Naboth's Vi…

『挑発する少女小説』斎藤美奈子(河出新書)★★★☆☆

『挑発する少女小説』斎藤美奈子(河出新書) 少女小説9篇について、大人の目で、そして現代の目で読み直したものです。わたしが少女小説を好きなのは、思春期特有の繊細な心理描写であったり、健気で凜とした芯の通った主人公が格好いいからであったりしま…

『掌の中の小鳥』加納朋子(創元推理文庫)★★★★☆

『掌の中の小鳥』加納朋子(創元推理文庫) 『Egg Stand』加納朋子,1995年。 二十代のクールで利発的な男と勝気でエキセントリックな女が、バー「EGG STAND」を舞台に、謎解きを通して絆を深めてゆく連作短篇集。えぐるところとハートウォーミングなところ…

『バベル島』若竹七海(光文社文庫)★★★☆☆

『バベル島』若竹七海(光文社文庫) 単行本未収録作品のなかからホラーテイストのものを選んで集めたもの。古典的な怪談からミステリ味のあるものまで、幅広い作風ではあるのですが、小粒なものが多くあまり印象に残りませんでした。 「のぞき梅」(1994)★…

『ひとんち 澤村伊智短篇集』澤村伊智(光文社)★★★★☆

『ひとんち 澤村伊智短篇集』澤村伊智(光文社) 白黒のアパート上でカラーに浮かび上がる窓。横向きや逆さまや裏返しになっている扉や目次の文字。細くうねうねとした気持ちの悪い本文の活字。これでもかというほどアンバランスで不安にさせる造りの本でし…

『あなたの自伝、お書きします』ミュリエル・スパーク/木村政則訳(河出書房新社)★★★★☆

『あなたの自伝、お書きします』ミュリエル・スパーク/木村政則訳(河出書房新社) 『Loitering with Intent』Muriel Spark,1981年。 名誉毀損を恐れずに自らの人生を記録したいという俗物たちが、小説家志望の語り手フラー・トールボットを雇って自伝のサ…

『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』陳浩基・知念実希人・他(講談社)★★★☆☆

『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』陳浩基・知念実希人・他(講談社) 2021年刊。 まるで経済成長に合わせるかのように、乗りに乗っていた中国ミステリ&SF。アジア圏ミステリの紹介では先鞭をつけていた島田荘司氏による日華競演アンソロジーが満…

『中国・アメリカ 謎SF』柴田元幸・小島敬太編訳(白水社)★★★☆☆

『中国・アメリカ 謎SF』柴田元幸・小島敬太編訳(白水社) 『三体』やテッド・チャンやケン・リュウ以外にも、「とにかく面白い作品を書いてる新しい世代のSF作家が大勢いて、まだ日本では全然紹介されていない」ことから、編者がそれぞれ中国とアメリ…

『S-Fマガジン』2024年8月号No.764【クリストファー・プリースト追悼特集/山本弘追悼特集】

『S-Fマガジン』2024年8月号No.764【クリストファー・プリースト追悼特集/山本弘追悼特集】冒頭先行掲載『一億年のテレスコープ』春暮康一 ――「遠くを見たい」という少年の望みは、やがてこの星の電波天文学に革新をもたらす(袖惹句)「われ、腸卜師」ク…


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