『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテム編/中村融他訳(竹書房文庫)★★★☆☆

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテム編/中村融他訳(竹書房文庫) 『Zion's Fiction: A Treasury of Israeli Speculative Literature』Sheldon Teitelbaum and Emanuel Lottem ed.,2018年。 …

『私がふたりいる』戸川昌子(光文社文庫)★☆☆☆☆

『私がふたりいる』戸川昌子(光文社文庫) 1977年『蒼い悪霊』の改題文庫化。 学園都市の建設に携わった職員が電車内で遭遇した、顔を白い繃帯でぐるぐる巻きにした若い女性。彼女はクローンの研究を心霊学と勘違いして、同じ人間がふたりいる証拠である手…

『さよならの手口』若竹七海(文春文庫)★★★★★

『さよならの手口』若竹七海(文春文庫) 文庫書き下ろしの葉村晶シリーズ第四作。 長谷川探偵事務所の閉鎖に伴い古本屋でアルバイトをしていた葉村は、故人の遺品の整理中、古くなっていた床板に開いた穴から落ちて怪我をしてしまう。あろうことか穴からは…

『私立霧舎学園ミステリ白書 七月は織姫と彦星の交換殺人』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 七月は織姫と彦星の交換殺人』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ四作目。 期末テスト前日、琴葉は弓絵に連れ出され、ナオキが籠っているスタジオを訪れた。そこで芸能カメラマンの仁多森が隣のマンションから墜落死した…

『紙魚の手帖』vol.15 2024 FEBRUARY【創立70周年記念企画 エッセイ「わたしと東京創元社」】

『紙魚の手帖』vol.15 2024 FEBRUARY【創立70周年記念企画 エッセイ「わたしと東京創元社」】「創立70周年記念企画 エッセイ わたしと東京創元社」笠井潔、北村薫、田口俊樹、辻真先、エドワード・ケアリー 「矢吹シリーズ全十作が黄色の背表紙で揃うところ…

『雪密室』法月綸太郎(講談社文庫)★★★☆☆

『雪密室』法月綸太郎(講談社文庫) 法月綸太郎の第二作。1989年親本発行。法月父子の初登場作品です。 冒頭に置かれた「引き裂かれたエピローグ」で、結婚式を控えた花嫁のところに綸太郎が大切なひとの逮捕を告げに来るところから始まります。のちのロス…

『ドラキュラ紀元一九五九 ドラキュラのチャチャチャ』キム・ニューマン/鍛冶靖子訳(アトリエサード)★★★★☆

『ドラキュラ紀元一九五九 ドラキュラのチャチャチャ』キム・ニューマン/鍛冶靖子訳(アトリエサード) 『Anno Dracula 1959: Dracula Cha Cha Cha』Kim Newman,1998, 2018年。 創元推理文庫から出ていた『ドラキュラ崩御』に、中篇「アクエリアス」を併録…

『爆弾魔 続・新アラビア夜話』R・L・スティーヴンソン&ファニー・スティーヴンソン/南條竹則訳(国書刊行会)★★★☆☆

『爆弾魔 続・新アラビア夜話』R・L・スティーヴンソン&ファニー・スティーヴンソン/南條竹則訳(国書刊行会) 『More New Arabian Nights: The Dynamiter』Robert Louis Stevenson and Fanny van de Grift Stevenson,1885年。 『新アラビア夜話』第一…

『私立霧舎学園ミステリ白書 六月はイニシャルトークDE連続誘拐』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★★☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 六月はイニシャルトークDE連続誘拐』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ三作目。 前作での予告(?)通り、密室・アリバイに続いて誘拐ものです。 図書委員の三年生中込椎名が琴葉に会いに来た。図書館にいつの間にか『…

『ラテンアメリカ怪談集』J・L・ボルヘス他/鼓直編(河出文庫)★★★★☆

『ラテンアメリカ怪談集』J・L・ボルヘス他/鼓直編(河出文庫) 1990年に出ていたものの新装復刊本。編者あとがきによればラテンアメリカにはジャンルとしての怪談は(少なくとも当時)なかったらしく、あとがきもほとんどが幻想小説について割かれていま…

『ミステリマガジン』2024年3月号No.763【繚乱たる華文ミステリ】

『ミステリマガジン』2024年3月号No.763【繚乱たる華文ミステリ】「風船男」陳浩基《チャン・ホーケイ》/よしだかおり訳(氣球人,陳浩基,2011)★★★★☆ ――五年前、金のクソじじいがオレの望み通りに、風船のように顔をパンパンに膨らませて死んだ。皮膚に直…

『ウィッシュ』『ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出』(ディズニー,米,2023)★★★☆☆

『ウィッシュ』『ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出』(ディズニー,米,2023) 『WISH』『Once Upon A Studio』 クリス・バック他監督。ジェニファー・リー脚本。生田絵梨花、福山雅治他吹替。 本篇上映前に、ディズニーキャラ大集合の記念撮影短…

『ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)』(東宝,2023)★★★☆☆

『ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)』(東宝,2023) 山崎貴監督・脚本。神木隆之介、浜辺美波、吉岡秀隆、他出演。 ゴジラ映画をちゃんと見るのは実は初めて。 上映前の予告編で流れた『ゴールデン・カムイ』の新品コスプレ衣装を見ていたので、『ゴジラ-1.0』…

『私立霧舎学園ミステリ白書 五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』霧舎巧(講談社ノベルス)★★☆☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ第二作。 各月の事件に「本格ミステリで用いられる謎を一つずつ取り上げていく」という方針に従い、四月の「密室」に続いて本書は「アリバイ崩…

『私立霧舎学園ミステリ白書 四月は霧の00《ラブラブ》密室』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 四月は霧の00《ラブラブ》密室』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆ 霧舎作品を改めて読もうと思い、『四月』から読み始めました。金田一少年や名探偵コナンからミステリに興味を持った人たちへの入口になってもらいたいという意図で…

『revisions 時間SFアンソロジー』大森望編(ハヤカワ文庫JA)★★☆☆☆

『revisions 時間SFアンソロジー』大森望編(ハヤカワ文庫JA) 時間SFアニメ『revisions』放映に乗っかって編まれた時間SFのアンソロジー。アニメとは内容は無関係の純粋なアンソロジーです。未知の作家と好きな作家だけ読みました。 「退屈の檻」リチ…

『世にもふしぎな動物園』小川洋子・東川篤哉他(PHP文芸文庫)★★☆☆☆

『世にもふしぎな動物園』小川洋子・東川篤哉他(PHP文芸文庫) 帯によると、「ペンネームに隠れた『どうぶつ』をテーマに、豪華作家陣が紡ぐ前代未聞のアンソロジー」。『どうぶつたちの贈り物』の改題文庫化です。巻末の広告ページによれば、伊坂幸「犬」…

『短編宇宙』集英社文庫編集部編(集英社文庫)★★☆☆☆

『短編宇宙』集英社文庫編集部編(集英社文庫) 宇宙をテーマにした文庫オリジナルのアンソロジー。 「南の十字に会いに行く」加納朋子(2017)★★★☆☆ ――今朝いきなり、「七星《ななせ》、南の島へ行くぞ。石垣島だよ」とパパが言った。「なんで急に?」「い…

『プレイボーイ・スパイ2』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/井上一夫訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『プレイボーイ・スパイ2』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/井上一夫訳(創元推理文庫) 『You Have Yourself A Deal』James Hadley Chase,1966年。 プレイボーイ・スパイのマーク・ガーランドが活躍するシリーズの第二弾。ジェイムズ・ボンド・シリーズ…

『挿絵叢書 竹中英太郎(一)怪奇』末永昭二編(皓星社)★★★☆☆

『挿絵叢書 竹中英太郎(一)怪奇』末永昭二編(皓星社) 挿絵叢書というシリーズ名からわかるとおり、「可能な限り発表当時のレイアウトに近づけ」「必ずしも傑作小説集を目指さず、あくまで挿絵の魅力を堪能しうる作品を選」んだ(「序」より)ものであり…

『ハイ・シエラ』W・R・バーネット/菊池光訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1726 ポケミス名画座)★★★☆☆

『ハイ・シエラ』W・R・バーネット/菊池光訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1726 ポケミス名画座) 『High Sierra』W. R. Burnett,1940年。 ハンフリー・ボガードの出世作『ハイ・シエラ』の原作小説。 大物の手筈で刑務所を出所した銀行強盗ディリンジ…

『S-Fマガジン』2024年2月号No.741【特集 ミステリとSFの交差点】

『S-Fマガジン』2024年2月号No.741【特集 ミステリとSFの交差点】「ここはすべての夜明けまえ」間宮改衣 第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作。編集後記によれば「どんな物語なのか、ジャンルも、あるいは小説なのかどうかさえも、事前情報が何も…

『探偵ジェスパーソン&レーン 夢遊病者と消えた霊能者の奇妙な事件(上・下)』リサ・タトル/金井真弓訳(新紀元社)★★★★☆

『探偵ジェスパーソン&レーン 夢遊病者と消えた霊能者の奇妙な事件(上・下)』リサ・タトル/金井真弓訳(新紀元社) 『The Curious Affair of the Somnambulist and the Psychic Thief』Lisa Tuttle,2016年。 『幻想と怪奇1』(→記事を見る)に訳載され…

『アンソロジー 隠す』大崎梢他(文春文庫)★★★☆☆

『アンソロジー 隠す』大崎梢他(文春文庫) 女性作家の集まり〈アミの会(仮)〉による書き下ろしアンソロジー第三弾(の文庫化)。加納朋子『少年少女飛行俱楽部』の前日譚「少年少女秘密基地」目当てで購入。好きな作家と未知の作家を読む。 「理由」柴田…

『紙魚の手帖』vol.14 2023 DECEMBER【読切特集「料理をつくる人」】

『紙魚の手帖』vol.14 2023 DECEMBER【読切特集「料理をつくる人」】「向日葵の少女」西條奈加「白い食卓」千早茜 ★☆☆☆☆ ――水族館で出会った女は、「お腹、すいていませんか」と私に声をかけ、弁当を差し出してきた(扉惹句) 弁当をすすめる初対面の人とそ…

『幻想と怪奇』14【ロンドン怪奇小説傑作選】

『幻想と怪奇』14【ロンドン怪奇小説傑作選】「ロンドン怪奇小説地図」「アッシュ氏の画室」H・R・ウェイクフィールド/渦巻栗訳(Mr. Ash's Studio,H. R. Wakefield,1932)★★★☆☆ ――道路工事が終わるまで、別の仕事場を借りなければ長篇小説を完成させら…

『ミステリマガジン』2024年1月号No.762【ミステリが読みたい!2024年版】

『ミステリマガジン』2024年1月号No.762【ミステリが読みたい!2024年版】 海外編のベストテンには興味のあるものがありませんでした。国内編の1位~3位『可燃物』米澤穂信、『君のクイズ』小川哲、『鵼の碑』京極夏彦はまだ読んでませんがいずれ読むつも…

『怪異雛人形』角田喜久雄(講談社大衆文学館文庫コレクション)★★★★☆

『怪異雛人形』角田喜久雄(講談社大衆文学館文庫コレクション) 戦前戦後に伝奇小説・時代小説・探偵小説をものした作家の、初期捕物帳を集めた作品集。「いろはの左近」もの二篇、「女形同心」もの二篇、その他三篇から成ります。著者が平成6年まで生きて…

『創元推理(10)』1995・秋号(東京創元社)

『創元推理(10)』1995・秋号(東京創元社) 第六回鮎川哲也賞の受賞作発表号であり、大賞受賞者である北森鴻と佳作受賞者である佐々木俊介と村瀬継弥の短篇が掲載されています。また、創元推理評論賞の発表もおこなわれており、受賞者の千街晶之と佳作の田…

『ヤンのいた島』沢村凜(角川文庫)★★★☆☆

『ヤンのいた島』沢村凜(角川文庫) 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。 大西洋の南回帰線近く、ジグソーパズルの一片のような形をした通称「ジグソー島」にある小国イシャナイ。その離島である菱島にようやく調査団の入国が認められた。一介の大学…


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