『童話物語 (上)大きなお話の始まり/(下)大きなお話の終わり』向山貴彦著/宮山香里絵(幻冬舎文庫)★★☆☆☆

『童話物語 (上)大きなお話の始まり/(下)大きなお話の終わり』向山貴彦著/宮山香里絵(幻冬舎文庫) タイトルが〈童話物語〉とは大きく出たものです。童話と物語を代表するとでもいいたげな自信に満ちていますが、おそらくは『指輪物語』のもじりでも…

『幻想と怪奇』6【夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館】(新紀元社)

『幻想と怪奇』6【夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館】(新紀元社)〈幻想と怪奇〉アートギャラリー ヨハン・ハインリヒ・フュースリー」 『夢魔』のヴァリアントなど。 「A Map of Nowhere 06:「詩と神々」のパルナッソス山」藤原ヨウコウ「詩と神々」H・…

『魔術師』佐々木俊介(2016)★★★☆☆

『魔術師』佐々木俊介(2016) 著者Webページ(→https://s-mystery.net/club/ 旧http://vanish2018.jp/)で公開されていたものです。 鮎川哲也賞佳作となったスリーピング・マーダーものの青春ミステリ『繭の夏』の著者による、ゴシックミステリです。 一代…

『今昔百鬼拾遺 天狗』京極夏彦(新潮文庫)★★☆☆☆

『今昔百鬼拾遺 天狗』京極夏彦(新潮文庫) 中禅寺敦子と呉美由紀の登場する今昔百鬼拾遺シリーズ第三弾。本書には「鳴釜」のお嬢様・篠村美弥子が登場します。 「天狗になる」にちなんで「高慢」がらみの台詞が各章を彩っていました。 山で陥穽に落ちて遭…

『今昔百鬼拾遺 河童』京極夏彦(角川文庫)★★★☆☆

『今昔百鬼拾遺 河童』京極夏彦(角川文庫) 初出媒体が『幽』『怪』だったためか、冒頭から女学生による河童談義が始まります。多々良先生も登場して、全篇にわたって久しぶりの妖怪蘊蓄が披露されていました。とは言っても掘り下げられたものではなく、河…

『今昔百鬼拾遺 鬼』京極夏彦(講談社タイガ)★★★☆☆

『今昔百鬼拾遺 鬼』京極夏彦(講談社タイガ)★★★☆☆ 2018年のweb連載を書籍化したもの。2019年初刊。 長篇では『邪魅の雫』以来の百鬼夜行シリーズ新作になります。とはいうものの京極堂は登場せず、主人公は京極堂の妹・敦子と『絡新婦の理』の呉美由紀が務…

『毒薬の輪舞』泡坂妻夫(河出文庫)★★★☆☆

『毒薬の輪舞』泡坂妻夫(河出文庫) 1990年初刊。 小湊刑事が患者として精神病院を訪れるという衝撃的な幕開けで始まりますが、そこはもちろん潜入捜査(?)であることはすぐにわかります。 まったく開けられていない清涼飲料水の缶のなかに異物を入れるこ…

『ミステリマガジン』2021年7月号No.747【ジョン・ル・カレ追悼】

『ミステリマガジン』2021年7月号No.747【ジョン・ル・カレ追悼】「今宵はどんな儀式を見せてもらえるのかな?」ジョン・ル・カレ/加賀山卓朗訳(What Ritual is Being Observed Tonight?,John le Carré,1968) ――マリー=ルイーズ、彼女の両親が経営する…

『地球最後の男』リチャード・マシスン/田中小実昌訳(ハヤカワ文庫NV)★★★★☆

『地球最後の男』リチャード・マシスン/田中小実昌訳(ハヤカワ文庫NV) 『I Am Legend』Richard Matheson,1954年。 自分以外の全人類が吸血鬼と化してしまった世界で、絶望と戦いに明け暮れる男の日々を描いた古典的名作です。今は数年前の映画化に合わせ…

『血の季節』小泉喜美子(宝島社文庫)★★★★☆

『血の季節』小泉喜美子(宝島社文庫) 1982年初刊作品の復刊です。 小泉喜美子が1934(昭和9)年生まれということにびっくり。戦前生まれだったとは。 殺人犯が女の子に興味を持つようになったきっかけを精神科医に語った幼少期から青年期にかけてのパート…

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 デュ・モーリアの名前が出されているのは、せいぜいのところゴシック・ロマンス風なところがあるからだと思っていましたが、下巻はし…

『忘れられた花園』(上)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★★

『忘れられた花園』(上)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 オーストラリア、ブリスベン。二十一歳になり結婚を間近に控えたネルは、父親のヒューから衝撃的な事実を知らされます。白いトランク…

『宰相の象の物語』イヴォ・アンドリッチ/栗原成郎訳(松籟社 東欧の想像力14)★★★★☆

『宰相の象の物語』イヴォ・アンドリッチ/栗原成郎訳(松籟社 東欧の想像力14) ボスニア出身のノーベル賞作家による中短篇集。イスラム圏内のボスニアでカトリック教徒でありドイツ大使としてナチス政権を目の当たりにしたという著者の来歴や、あるいはボ…

『紫の雲』M・P・シール/南條竹則訳(アトリエサード/書苑新社 ナイトランド叢書)★★★★★

『紫の雲』M・P・シール/南條竹則訳(アトリエサード/書苑新社 ナイトランド叢書) 『The Purple Cloud』M. P. Shiel,1901年。 シールにしては恐ろしいほどに読みやすい。訳者の苦労がしのばれます。 死んだ友人からの手紙には、霊媒が幻視したという今…

『死者の輪舞』泡坂妻夫(河出文庫)★★★☆☆

『死者の輪舞』泡坂妻夫(河出文庫) 初刊1985年。 カバー型帯が付いていて、イメージキャラクターがなぜか遠藤憲一。でも海方は海亀のような見た目なので、爬虫類顔は実はぴったりかも。 カバー写真がドミノになっていてタイトルが「輪舞」ということからも…

『鉄塔 武蔵野線』銀林みのる(新潮文庫)★★★★☆

『鉄塔 武蔵野線』銀林みのる(新潮文庫) 第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 何だかわからないけどすごい。のっけからまったく付いていけません(^^; 鉄塔の説明が事細かに怒濤のごとく書かれてありますが、まったくわかりません。。。 女性型鉄…

『ホームズ、ニッポンへ行く ホームズ万国博覧会インド篇』ヴァスデーヴ・ムルティ(アキラ・ヤマシタ)/寺井杏里訳(国書刊行会)★★☆☆☆

『ホームズ、ニッポンへ行く ホームズ万国博覧会インド篇』ヴァスデーヴ・ムルティ(アキラ・ヤマシタ)/寺井杏里訳(国書刊行会) 『Sherlock Holmes in Japan』Vasudev Murthy,2013年。 この〈ホームズ万国博覧会〉シリーズには、ほかに中国篇とロシア篇…

『拳銃使いの娘』ジョーダン・ハーパー/鈴木恵訳(早川書房 ポケミス1939)★★★★☆

『拳銃使いの娘』ジョーダン・ハーパー/鈴木恵訳(早川書房 ポケミス1939) 『She Rides Shotgun』Jordan Harper,2017年。 日本語タイトルには『拳銃使いの娘』とあるものの父親が拳銃使いというわけではなく、「殺し屋のような目をしている」とか「サムラ…

『偽善入門』小池龍之介(小学館文庫)

自己啓発本でした。「第I章 道徳の猥褻さ」 「1 タダ乗り偽善」 男女の「口先ばかりで何もしてくれない」という言い争いを例に、道徳とは自分が得するために他人に押しつけるものだと唱え、そういうときにはなぜ相手にそれを求めるのか自分の内側を点検し…

『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉(東京創元社 創元日本SF叢書)

SF

第5回創元SF短編賞受賞の表題作を含む三篇収録。シリーズもの、というよりは三篇揃って一つの作品と言った方がよいかもしれません。 「ランドスケープと夏の定理」(2014)★★★★☆ ――太陽から地球方向に延ばした直線の延長上にあるL2まで、今は十時間で行…

『沈鐘』ハウプトマン/阿部六郎訳(岩波文庫)★★★☆☆

『沈鐘』ハウプトマン/阿部六郎訳(岩波文庫) 『Die versunkene Glocke』Gerhart Hauptmann,1896年。 泉鏡花『夜叉ヶ池』に影響を与えたとして有名な作品ですが、鏡花自身が『夜叉ヶ池』創作以前に『沈鐘』を翻訳しているという事実を知らないと、どこが…

『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』片岡義男×鴻巣友希子(左右社)★★★★☆

『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』片岡義男×鴻巣友希子(左右社) 片岡義男と鴻巣友希子が翻訳について対談したり名作の一部を訳し合ったりしています。この手の本はひどいものだとただの思い出話だったり抽象論だったりするのですが、お二人とも訳し…

『怪盗ルパン伝 アバンチュリエ 813(上)』、「シャドウレイダーズ」泉仁優一

『怪盗ルパン伝 アバンチュリエ 813(上)』、「シャドウレイダーズ」泉仁優一『怪盗ルパン伝 アバンチュリエ 813(上)』森田崇(ぴあ) ――『奇巌城』事件の悲劇の後アルセーヌ・ルパンの消息はパリはおろか、世界中のいかなる地からも聞こえてこなか…

『妖盗S79号』泡坂妻夫(河出文庫)★★★★★

『妖盗S79号』泡坂妻夫(河出文庫)「第一話 ルビーは火」(1979)★★★★★ ――会社が倒産して無職になった松本は、海水浴場の監視員のアルバイトをすることになった。そのうち常連に気づいた。まずは学生の四人連れだ。それからオープンシャツを着た初老の二人…

『S-Fマガジン』2021年6月号No.745【異常論文特集】

『S-Fマガジン』2021年6月号No.745【異常論文特集】 異常論文とは聞き慣れない言葉です。架空の書評みたいなものかな、と思って読み進めてみると、だいたいそんなようなものでした。監修者の樋口恭介氏ひとりがやたらとテンション高く、表紙や扉の紹介文ま…

『リボルバー・リリー』長浦京(講談社文庫)★★★★☆

『リボルバー・リリー』長浦京(講談社文庫) 2016年刊行。 大正時代の日本を舞台に、幣原機関でスパイとして育てられた女性が陸軍横領犯の息子を守るために、陸軍とヤクザと幣原の後輩を相手にひたすら格闘と銃撃戦を繰り広げる物語です。 文庫にして640ペ…

『教場』長岡弘樹(小学館文庫)★★★★★

『教場』長岡弘樹(小学館文庫) 2013年親本初刊。 どういう経緯で読もうと思ったのか忘れてしまいました。『ミステリマガジン』で紹介されていたのだったっけな? 警察学校を舞台にした作品ですが、思っていたのとは違っていました。一つには長篇ではなく連…

『アガサ・クリスティー完全攻略[決定版]』霜月蒼(ハヤカワ・クリスティー文庫)★★★★★

『アガサ・クリスティー完全攻略[決定版]』霜月蒼(ハヤカワ・クリスティー文庫) 翻訳ミステリー大賞シンジケートで連載されていたものの書籍化の増補文庫版。クリスティー全作書評。本格プロパーではないからこその、曇りのない純粋な読み方が小気味よい…

『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ/中村能三訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ/中村能三訳(創元推理文庫) 『The Perfect Murder Case』Christopher Bush,1929年。 喜国雅彦『本格力』で「トリックのおかげで、読後感の深みが増したわけで」「その深み、島田荘司氏の作品を読んだときに感じる…

『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』喜国雅彦・国樹由香(講談社)★★★★☆

『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』喜国雅彦・国樹由香(講談社) 2007年から2016年まで『メフィスト』に連載されていた古典ミステリのガイド本。現代の若者が読んで面白い作品という視点で博士と高校生りっちゃんがやりとりする「H-1グランプリ…


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