『道化の町』ジェイムズ・パウエル/森英俊編(河出書房新社 河出ミステリー) 『A Dirge for Clowntown and Other Stories』James Powell,2008年。 ユーモア・ミステリ作家ジェイムズ・パウエルの日本オリジナル作品集。以前読んだときにはユーモアものば…
晶文社ミステリ『海を失った男』の文庫化。訳文が手直しされているほか、「ミュージック」の邦題が「音楽」に変更されています。 「音楽」吉村満美子訳(The Music,1953)★★★★☆ ――病院……あいつらは僕を放してくれない。表へ出て煙草を吸うことはできた。夜…
ジェイムズ・パウエルが一冊にまとまるのは嬉しい。が、河出ミステリーのシリーズはユーモア・ミステリと奇妙な味ばかりなので、いいかげん飽きてきた嫌いがある。「最新のニュース」(Have You Heard the Latest?,1967)★★★☆☆ ――「最新のニュースを聞いた…
『The Mysterious Mickey Finn』Elliot Paul,1939年。 ちょっと長すぎるかな。 前半はアイデアとすれ違いのドタバタで、後半はアクション主体になる。 友人を助けるために怪しげな計画を立てたところが、ひょんなことから犯罪に巻き込まれ……警察も含めた、…
これまで読んだ「クリスマスに帰る」や「特別配達」あるいは『炎の中の絵』にそれほど面白さを感じなかったので、どうかと思っていたのだけれど、本書は傑作選だけあって面白い作品が多かった。John Collier。「ナツメグの味」(The Touch of Nutmeg Makes I…
『The Mystery of Bucher's Shop』Gladys Mitchell,1929年。 〈晶文社ミステリ〉を引き継いだ〈河出ミステリー〉なのですが、これまでのところジョン・コリアを除いてはオフビートな笑いのミステリばかりです。刊行予定を見るかぎりでは、ハートリーの『ポ…
変な変なとみんな散々騒いでいるからどんなけったいな話なのだろうと思っていたのだが、わりとフツーにおバカな落とし話でした。反応に困るなんてことはなく、アホだな〜と素直に思える作品でした。ただちょっと法月氏の解説は大げさすぎると思う。 「おきま…
(≧∀≦*)(≧∀≦*)(≧∀≦*)ノ彡 いきなりすごい展開だな、これは。孤島に漂流させるにしてももうちょっとやりようがあるだろうに。クリスティみたいな筆致のまんまで展開だけこういうことをするから、イギリスは愉快だ。 ――と思ったら、これは伏線(というか真相?…
『The Oxoxoco Bottle and Other Stories』Gerald Kersh、日本オリジナル編集。 晶文社版から二篇を割愛して、新訳「凍れる美女」「壁のない部屋で」二篇と「狂える花」ロングバージョンを収録したもの。なんかそこらへんの編集方針がまったく書かれていない…
「妻を殺さば」白須清美訳(The Green Heart,1963)★★★★☆ ――わたしに残された遺産は十分なものではなかった。そこでわたしは、最後の手段を思いついた。結婚だ。次の一歩は金を手に入れての独立だ。妻を永久に処分する必要があった。 初めの発想こそ普通の…
テンポとサスペンスとユーモアと切なさと魅力的な登場人物が満載の、ジャック・リッチーの短編集。「クライム・マシン」――息もつかせぬ展開、大胆なプロット、嫌いになれない登場人物、ほのかなユーモアとちょっと悲しい隠し味……と、ジャック・リッチーの魅…