『だれも知らない小さな国 コロボックル物語1』佐藤さとる(講談社文庫)★★★★☆

言わずと知れた児童文学の名作です。村上勉の絵は子供のころは可愛くなくて好きではありませんでしたが、大人になってみるとこの作品にはこの絵でないと、と思ってしまいます。 子どものころの秘密基地――自分で山を買って小屋を造って住む、だなんて、そんな…

『ハヤ号セイ川をいく』フィリパ・ピアス/足沢良子訳(講談社青い鳥文庫)★★★★☆

『Minnow on the Say』A. Philippa Pearce,1955年。 児童文学の名作『トムは真夜中の庭で』の著者フィリパ・ピアスのデビュー作。 家の庭が川に隣接しているという、それだけで魅力的な設定からこの作品はスタートするので、まだ何も始まっていないのにわく…

『思い出のマーニー』ジョーン・G・ロビンソン/高見浩訳(新潮文庫)★★☆☆☆

『When Marnie Was There』Joan G. Robinson,1964年。 児童文学の名作が、数年前ジブリ映画化を機に新訳されたので、読んでみることに。 前半はちょっと風変わりで他人と打ち解けられない女の子という王道の主人公が、新しい環境に移されて、そこでマーニー…

「鉄のつめ」三橋一夫(盛林堂ミステリアス文庫『三橋一夫作品集成 第1巻 ジュニア小説篇』より)

「鉄のつめ」(1952~1953) ――手術で救った投手からもらったサインボールは、登の父親・井上博士の宝物だった。父親の講演旅行中に、小学校のみんなに自慢したくてこっそり持ち出したサインボールを、悪少年の立次に奪われてしまった。登は奪い返しにいくが…

『大きくなったら なにになる?』大海赫(復刊ドットコム)★★★★☆

『メキメキえんぴつ』収録の作品を、アニメDVD付きでシングルカット(?)したものです。 「大きくなったら、パパみたいな、りっぱなお医者さんになるんだ」――そんなこと、言わなければよかった。夏休みのある日、ぼくは遊び相手がいなかったので、校庭の…

『NO.6』(#1~#9)あさのあつこ(講談社文庫)★★★☆☆

不幸も悲しみもない理想都市「NO.6」。紫苑はエリートとして『クロノス』で育てられていた。だが12歳の誕生日、警報装置を切って窓を開けていた紫苑の部屋に、ネズミと名乗る少年が忍び込んだ。護送中に逃亡したネズミの銃創を手当てし、逃がしてやったこと…

『はこ 怪談えほん10』小野不由美作・nakaban絵・東雅夫編(岩崎書店)★★★★☆

このはこ、なんだっけ? あかない はこ。ふると、コソコソ、おとがする。あめの ふるひ、はこが あいてた。からっぽの はこ。なかみは どこに いったのかな? 箱のなかにモンスターがいる――のかどうか、すらわかりません。あるいは箱自体が怪異なのかもしれ…

『なおみ』谷川俊太郎・沢渡朔(福音館書店)★★★★★

なおみは いる/いつも/わたしの うまれる/ずっと まえから/なおみは いた/わたしの そばに 日本人形の「なおみ」とともに成長する少女の記録……「こどものとも」シリーズのハードカバー復刊。 途中までは人形を人間のように扱いままごと遊びをする少女の…

『別冊太陽 あやしい絵本』東雅夫監修(平凡社)★★★★☆

同じ別冊太陽『こわい絵本』の姉妹編で、「奇」「異」「怪」「妖」の各「あやしい」の四部構成になっています。「奇しい」『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』及川賢治・竹内繭子は、こぼした牛乳が海となって広がってゆくという発想と…

『RDG レッドデータガール はじめてのお使い』荻原規子(角川文庫)★★★☆☆

イマドキの子ではない、絶滅危惧種の女の子、でもいうような意味であるらしく、三つ編みに眼鏡の引っ込み思案な冴えない神社の娘・泉水子が主人公。 それがあるとき、学校中のパソコンを壊してしまったうえに、父親と電話も何も通さずに会話してしまったこと…

『洞窟で待っていた』松崎有理(岩崎書店 21世紀空想科学小説)★★★☆☆

岩崎書店と日本SF作家クラブが組んだジュヴナイルシリーズの一作。 地下道ならぬ洞窟好きの少年少女に、「『へむ』へむさん」なる漫画も登場する、ちょっとしたファンサービスも。 妙に細かい蘊蓄を除けば、子どもたちが世界を救うという変哲のないジュヴ…

『CREA』2016年2月号【大人の少年少女文学。】

いろいろな切り口から児童文学が紹介されています。ファッションやお菓子といった女性誌らしい切り口もあれば、「子どもの物語が始まるベッドいろいろ」では、子ども部屋とベッドの場面を、当時の社会状況家庭状況と結びつけるという鋭い切り口もありました…

『ビビを見た!』大海赫=作・え(復刊ドットコム)★★★★★

トラウマという言葉とともに紹介されていたとあっては、ダークファンタジー好きとしては見逃せません。 目の見えない少年「ホタル」はある日突然「よし おまえののぞみを かなえてやろう」という何者かの声を聞き、七時間だけ目が見えるようになりますが、ホ…

『海へ出るつもりじゃなかった アーサー・ランサム全集7』神宮輝夫訳(岩波書店)★★★★☆

『We Didn't Mean To Go To Sea』Arthur Ransom,1937年。 航海から帰ってくるおとうさんに会いに、ハリッジにやって来たウォーカー一家。そこで若者ジム・ブラディングと知り合い、ウォーカー兄弟たちはジムの船に泊まって川上りをすることに。だがジムがガ…

『ぼくと猫と満月の夜』松尾由美(ポプラ文庫)★★★☆☆

松尾由美によるジュヴナイル作品。 改題前の『フリッツと満月の夜』というタイトルの方が好きだったのですが、フリッツの名前がなかなか出てこないので仕方がない。単行本版に加えて書き下ろし短篇つき。 メインとなるのは二年前に地元の名家のおばあさんが…

『穴 HOLES』ルイス・サッカー/幸田敦子訳(講談社文庫)★★★☆☆

無実の罪で送られた児童キャンプで、人格形成のためひたすら穴を掘り続けさせられる――という設定こそとっぴなものの、アクの強いクセ者小説ではなく、これは王道の児童文学でした。 〈脇の下〉〈X線〉〈ジグザグ〉〈ゼロ〉といった個性的なあだ名(?)を持…

『トリュフとトナカイ 現代ミステリー短編集4』泡坂妻夫(岩崎書店)★★★★☆

子ども向けの現代ミステリー作品集。泡坂作品から傑作集を編むとすれば、誰が選んでも亜愛一郎シリーズから一篇採るのは間違いのないところなんだけれど、編者(中村哲雄編集と書いてある)は(おそらくは)敢えて亜シリーズを省いている。 結果的に、いかに…

『ブラッカムの爆撃機』ロバート・ウェストール/宮崎駿編・漫画/金原瑞人訳(岩波書店)★★★★☆

佐藤亜紀氏の日記に書かれていたので買ってみる。 「ビビビ」という擬音もそのままの漫画の一コマを使用したカバー裏デザイン。帯に宮崎駿氏と版権保持者のコメントがあるだけで、カバーや帯にあらすじはいっさいなし。いっそいさぎよい。下手にあらすじが書…

『レオンと魔法の人形遣い』(上)(下)アレン・カーズワイル/大島豊訳(東京創元社)★★★☆☆

レオン・ザイセルはニューヨークのクラシック学院に通う四年生の男の子だ。父親を亡くし、母の勤め先の一つ星ホテル・トライモア・タワーで暮らしている。四年生になって新しい担任がやってきた。ハグマイヤー先生。真っ黒でヘルメットみたいな髪に、黒いマ…

『不思議の国のアリス』トーベ・ヤンソン画/村山由佳訳(メディアファクトリー)★★★★☆

『アリス』の新訳、というよりもむしろ、トーベ・ヤンソンが描いた『アリス』がついに刊行されました。“わざわざ新訳”というプレッシャーがないせいでしょう、かなり自由気ままに訳されてます。「寂しげで昏い」「頼りなくて儚げ」というヤンソン・アリスの…

『闇の底のシルキー』デイヴィッド・アーモンド/山田順子訳(東京創元社)★★★☆☆

寂れた炭鉱町に越してきた僕は、風変わりな少年に誘われ、死と言う名のゲームに加わる。最初はただのゲームだったが、冬が訪れるころ何かが変わった…。死に憑かれた子どもたちの、冥界めぐりの旅。行きつく先にあるのは? 前作『肩胛骨は翼のなごり』には、…

『フリーキー・グリーンアイ』ジョイス・キャロル・オーツ(ソニー・マガジンズ)★★★★☆

フランキー・ピアソン、十五歳。ちょうど一年前、あたしの心に、フリーキー・グリーンアイが入りこんできた。どんなときでも、イカれた緑の目《フリーキー・グリーンアイ》が助けてくれる。パパは元フットボール選手でスーパースターだ。兄妹には十歳になる…

『大泥棒と結婚すれば』ユードラ・ウェルティ/青山南訳(晶文社〈文学のおくりもの〉22)

晶文社の海外文学シリーズ。ということで期待したのに期待はずれ。 その名のとおり大泥棒と結婚した話なんだけれど、たとえば泥棒にさらわれた純粋な娘が機知によって窮地を乗り切り真心によって泥棒を改心させる、みたいな話では全然ない。O・ヘンリーの「…


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