『増補 オオカミ少女はいなかった』鈴木光太郎(ちくま文庫)★★★★★

『増補 オオカミ少女はいなかった』鈴木光太郎(ちくま文庫) 副題に「スキャンダラスな心理学」とあるように、心理学にかかわる都市伝説的なエピソードの噓を暴き、「ウサン臭さのある学問という心理学のイメージを多少は払拭できるかもしれない」という意…

『翻訳、一期一会』鴻巣友季子他(左右社)★★★☆☆

『翻訳、一期一会』鴻巣友季子他(左右社) 翻訳問答シリーズの三作目です。翻訳者や作家だけではなく、画家やミュージシャンも参加しています。 電子書籍版で読んだのですが、章のはじめに原文があって、本文と原文を行ったり来たりしながら読み進めるこう…

『米澤屋書店』米澤穂信(文藝春秋)★★★★☆

『米澤屋書店』米澤穂信(文藝春秋) とにもかくにも泡坂妻夫が好きなのが伝わってきます。 麻耶雄嵩との対談と朝井リョウとの対談は雑誌で読んでいました。 光文社古典新訳版『オリエント急行殺人事件』のしおりは列車の見取り図になっているというのを読ん…

『名作なんか、こわくない』柚木麻子(PHP文芸文庫)★★★★☆

『名作なんか、こわくない』柚木麻子(PHP文芸文庫) 比較的まっとうな名作案内ではあるのですが、ところどころで暴走して著者の持ち味が出ているのが読みどころです。 柚木麻子の小説は、どれだけエグイ内容であっても読後感はすかっとしているイメージなの…

『中世の秋(上)』ホイジンガ/堀越孝一訳(中公文庫)★★★☆☆

『中世の秋(上)』ホイジンガ/堀越孝一訳(中公文庫) 『Herfsttij der Middeleeuwen』Johan Huizinga,1919年。 「Ⅰ はげしい生活の基調」 統治府の機構は実際にはすでに複雑なものになっていたが、民衆は政治上の不信を単純な形で表明し、物語の領域に還…

『「ハコヅメ」仕事論 女性警察官が週刊連載マンガ家になって成功した理由』泰三子・山中浩之(日経BP)★★★★☆

『「ハコヅメ」仕事論 女性警察官が週刊連載マンガ家になって成功した理由』泰三子・山中浩之(日経BP) 流行りの漫画を元に評論家が勝手に○○論を捏造するようなよくある似非ビジネス書ではなく、これまでの著者へのインタビューをまとめたものでした。 と…

『挑発する少女小説』斎藤美奈子(河出新書)★★★☆☆

『挑発する少女小説』斎藤美奈子(河出新書) 少女小説9篇について、大人の目で、そして現代の目で読み直したものです。わたしが少女小説を好きなのは、思春期特有の繊細な心理描写であったり、健気で凜とした芯の通った主人公が格好いいからであったりしま…

『英語文章読本』阿部公彦(研究社)★★☆☆☆

『英語文章読本』阿部公彦(研究社) 文章読本とはあるものの、作文指南でも名文案内でもなく、英文の特徴をとっかかりにした作品鑑賞というべきものです。同じ著者による『英詩のわかり方』と同様、わかりやすく書こうとしているのか却ってまどろっこしく、…

『トラベル・ミステリー聖地巡礼』佳多山大地(双葉文庫)★★☆☆☆

『トラベル・ミステリー聖地巡礼』佳多山大地(双葉文庫) 名作トラベル・ミステリーの現場を訪れ、現地に則して作品を紹介しつつ、作品の現代的意義などでまとめた紀行書評です。 好きな評論家であり、編者を務めた『線路上の殺意 鉄道ミステリ傑作選〈昭和…

『死刑執行人の苦悩』大塚公子(角川文庫)★☆☆☆☆

『死刑執行人の苦悩』大塚公子(角川文庫)★☆☆☆☆ 前書きも何もなくいきなり本文が始まります。なぜ本書を書くにいたったのかという動機も何もないため、スタートから取り残されてしまいました。 取り残されたところに、死刑執行が秘密裡におこなわれるのは「…

『本と幸せ』北村薫(新潮社)★★★☆☆

『本と幸せ』北村薫(新潮社)★★★☆☆ 自作朗読CD付き。 各種媒体に発表された短めの書評が中心となっているので、通常のエッセイ集だと思って読むと統一感もないし、内容的に物足りなさを感じる文章もありました。 それはそれとして。 北村薫の文章をいつか…

『小説という毒を浴びる 桜庭一樹書評集』桜庭一樹(集英社)★★★☆☆

『小説という毒を浴びる 桜庭一樹書評集』桜庭一樹(集英社) 各種媒体に発表した解説、読書日記、書評、対談を収録。 「解説」 もっとも“重要な”少女小説ということで『甘い蜜の部屋』『第七官界彷徨』『聖少女』の名が挙げられていますが、「重要」の意味…

『翻訳問答2 創作のヒミツ』鴻巣友季子編著(左右社)★★★☆☆

『翻訳問答2 創作のヒミツ』鴻巣友季子編著(左右社) 一冊通して片岡義男との対談だった『1』とは違い、本書では作品ごとに5人の作家と対談しています。一章ごとに対談相手が違うとやはり不完全燃焼気味に感じるようなところがありました。 「I AM A CAT…

『読書で離婚を考えた。』円城塔・田辺青蛙(幻冬舎文庫)★★★☆☆

『読書で離婚を考えた。』円城塔・田辺青蛙(幻冬舎文庫) 夫婦作家である二人がお互いに薦めた本を読んでその本についてのエッセイを書く読書リレーです。 てっきり読書感想文や書評による往復書簡なのかと思っていたのですが、のっけから二人とも課題図書…

『偽善入門』小池龍之介(小学館文庫)

自己啓発本でした。「第I章 道徳の猥褻さ」 「1 タダ乗り偽善」 男女の「口先ばかりで何もしてくれない」という言い争いを例に、道徳とは自分が得するために他人に押しつけるものだと唱え、そういうときにはなぜ相手にそれを求めるのか自分の内側を点検し…

『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』片岡義男×鴻巣友希子(左右社)★★★★☆

『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』片岡義男×鴻巣友希子(左右社) 片岡義男と鴻巣友希子が翻訳について対談したり名作の一部を訳し合ったりしています。この手の本はひどいものだとただの思い出話だったり抽象論だったりするのですが、お二人とも訳し…

『優雅な読書は最高の復讐である』山崎まどか(DU BOOKS)★★★★☆

2004年以降の書評エッセイを中心に編まれた作品集です。 冒頭からではなくまずは岸本佐知子との対談から読みました。「女子にお勧め」というテーマなのに全然そんな感じじゃなくて笑えます(^^;。読んだことのあるのは『世界の涯まで犬たちと』とハムルス…

『物語ること、生きること』上橋菜穂子/瀧晴巳構成・文(講談社文庫)★★☆☆☆

作家・上橋菜穂子が誕生するまでの、幼いころの思い出から研究者としての経験を経てデビューするまでを綴った、エッセイ風インタビュー集。 わたしが期待したような、書物にまつわる記述は意外と少なく、文字通り生い立ちの記録といった内容でした。作家の伝…

『お好みの本、入荷しました 桜庭一樹読書日記』桜庭一樹(創元ライブラリ)★★★★☆

桜庭一樹読書日記その3。 ジョン・サザーランドの「謎」シリーズ(pp.12~17)は、古典のペーパーバック用の気軽な解説を集めたものだったんですね。 近藤史恵は好きな作家なのだけれど、時代小説『にわか大根』はいまいちでした。が、12ページのK島氏によ…

『日本の1/2革命』池上彰・佐藤賢一(集英社新書)★★★★☆

『日本の1/2革命』池上彰・佐藤賢一(集英社新書) フランス革命を二段階の革命と捉え、対して日本は明治維新以来いまだ1/2の革命史か経験していない――という佐藤氏の持論に基づく対談集。初版は2011年6月の発行なので、民主党による政権交代と東日本…

『幻想と怪奇の英文学』東雅夫×下楠昌哉責任編集(春風社)★★★★☆

『幻想と怪奇の英文学』東雅夫×下楠昌哉責任編集(春風社)第1部 西洋怪奇のジャパネスク「分身――ジェイムズ・ホッグと芥川龍之介」金津和美 ジェイムズ・ホッグ自身の言葉と、ホッグ作品の登場人物の言葉を重ねて、ホッグの「多面性」を明らかにするところ…

『江戸の妖怪革命』香川雅信(角川文庫ソフィア)★★★★☆

河出書房新社から出ていた単行本を削除改訂したもの。「妖怪玩具」「からくり的」の章が削除され、「妖怪娯楽の近代」後半が大幅に改訂されています。 伝承妖怪とフィクションの妖怪のあいだに横たわる関係性を起点として近世と近代の二度にわたる「妖怪革命…

『快楽としてのミステリー』丸谷才一(ちくま文庫)

ポケミスについての瀬戸川猛資の鼎談(丸谷才一・向井敏)が掲載されているから購入したのですが、初出が『東京人』という非ミステリ誌ということもあってか、ポケミスの歴史をざっと通して見るだけの感じで、「これぞ瀬戸川猛資」という発言がありませんで…

『幻想文学講義 「幻想文学」インタビュー集成』東雅夫編(国書刊行会)

『幻想文学講義 「幻想文学」インタビュー集成』東雅夫編(国書刊行会) 澁澤龍彦による「史実」と「事実」の違いに納得。史書に残されているのが「史実」だがそれが「事実」とは限らない、という。 佐藤さとるがけっこう虚構と現実について真剣に考えていて…

『世界は文学でできている』沼野充義編著(光文社)★★★★☆

『世界は文学でできている』沼野充義編著(光文社) リービ英雄・平野啓一郎・ロバート キャンベル・飯野友幸・亀山郁夫各氏との対談。対談なのでどうしても散漫になりがち。 ケータイをどちらの手で持つかが(固定電話の影響で)世代によって異なるという事…

『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』東雅夫編(メディアファクトリー 幽Classic)★★★★☆

『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』東雅夫編(メディアファクトリー 幽Classic) 昭和初期に発行された実話系怪談本より、稀覯書四冊を選び抜粋して収録したもの。現代の実話怪談風の型に嵌ったものではなく、ひっちゃかめっちゃかな分だけ楽しめ…

『鹿島茂の書評大全 和物篇』鹿島茂(毎日新聞社)★★★★☆

『鹿島茂の書評大全 和物篇』鹿島茂(毎日新聞社) どちらかというと海外文学の方が好きなので、和物篇はどうかなと思っていたのですが、著者の文章や切り口や観点がいいのであって、扱われている対象はまったく関係ありませんでした。対象書籍の魅力を切り…

『鹿島茂の書評大全 洋物篇』鹿島茂(毎日新聞社)★★★★★

『鹿島茂の書評大全 洋物篇』鹿島茂(毎日新聞社) 内容紹介があまりにも上手なので、本書を読んだだけで紹介されてる本の現物をも読んだ気になったしまう(^_^;。 要約と引用とコメントのポイントがとんでもなく上手くてセンスがあるんですよね。読んで…

『ホフマンと乱歩 人形と光学器械のエロス 理想の教室』平野嘉彦(みすず書房)★☆☆☆☆

『ホフマンと乱歩 人形と光学器械のエロス 理想の教室』平野嘉彦(みすず書房) 同じ〈理想の教室〉シリーズの『白鯨 アメリカン・スタディーズ』と同様、牽強付会と論理の飛躍が目立ちます。テクストのなかのどんな些細な細部でも自分の都合のよいようにこ…

『『白鯨』 アメリカン・スタディーズ 理想の教室』巽孝之(みすず書房)★★★☆☆

『『白鯨』 アメリカン・スタディーズ 理想の教室』巽孝之(みすず書房) 〈理想の教室〉シリーズからひとまず『白鯨』の巻を買ってみました。 こういう、多少強引にでも現在の現実に引き寄せて読もうとする読み方はあまり好きではない。 「世界はクジラで廻…


防犯カメラ