『The Secret Keeper』Kate Morton,2012年。
ローレルは事件について弟のジェリーに相談するとともに、ヴィヴィアンについて調査を進めてゆきます。そうして明らかになるドリーの噓、ヴィヴィアンの半生、ドリーとジミーのその後の成り行き。
作品を読み始めた当初は、すれ違いや誤解による悲劇なのだろうとばかり思っていましたが、まさか完全に思い込みと悪意によるものだったとは。そんなドリーを嘲笑うかのように、運命は転がってゆきます。それはもう絵に描いたようなお約束の展開に。
そこからは相次ぐどんでん返し、という名のお約束の連続でした。お約束もこれだけつるべ打ちすれば、意外などんでん返しになるのだというのは新発見でした。
自分を無視したヴィヴィアンに復讐するため、ジミーと協力して浮気の現場写真を捏造しようとするものの、ヴィヴィアンの浮気はドリーの思い込みだったことが判明。
ヴィヴィアンとジミーが互いの人柄に触れて、いい感じに。
しかしヴィヴィアンはジミーとドリーの浮気現場捏造計画を知ってしまう。
ドリーとジミーに謝礼と称して大金を手渡し、ジミーとの別れを決意。
これで丸く収まった――と思ったところで運命の悲劇が引き起こされます。
ところがここで黒幕の巨悪みたいな出てきて興醒めでした。
あまりにも都合のいい急展開だと思いつつも、空襲ですべてが無に帰し、かくてヴィヴィアンの最期もドリーとジミーが結ばれなかったわけも判明してひとまずすっきり。
けれどまだ最後の秘密が残されていました。これもまたベタなのですが、大きすぎるがゆえに最後まで見えませんでした。
読後の満足感こそあるものの、ちょっとひねりがありすぎて食傷気味でした。
第二次世界大戦中、ローレルの母ドロシーは、ロンドンの裕福な婦人の屋敷に住み込むメイドだった。向かいに住む作家の美しい妻に憧れていた彼女には婚約者もいたが、ロンドン大空襲がすべてを変える。2011年、ローレルは死の近い母の過去を知りたいと思い始める。母になる前のドロシーの過去を。それがどんなものであったとしても……。翻訳ミステリー大賞・読者賞W受賞の傑作。(カバーあらすじ)
[amazon で見る]