『パウリーナの思い出に』アドルフォ・ビオイ=カサーレス/高岡麻衣・野村竜仁訳(国書刊行会 短篇小説の快楽)★★★★★

「パウリーナの思い出に」(En memoria de Paulina)★★★★★ ――ぼくはずっとパウリーナを愛していた。パウリーナも「私たちの魂はもう結びついている」と言っていた。モンテーロが現れるまでは。 人は人を映す鏡とはよく言ったものですが、これにはなんと文字…

『あなたまかせのお話』レーモン・クノー/塩塚秀一郎訳(国書刊行会・短篇小説の快楽)

『Un conte à votre façon』Raymond Queneau,1981年。 実験作や前衛作品というものには、誰もの心を打つ普遍的なものもあれば、理論を共有していないと面白くも何ともないものもあります。という意味で、その「理論」部分を補強する付録のインタビューが本…

『すべての終わりの始まり』キャロル・エムシュウィラー/畔柳和代訳(国書刊行会〈短篇小説の快楽〉)★★★★☆

Carol Emshwiller。1921−。アメリカの作家。 観察者の報告のような素っ気ない文章から、夢とも現ともつかない世界が紡がれる。「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」(I Live with You and You Don't Know It)★★★★★ ――私はあなたの家…

『聖母の贈り物』ウィリアム・トレヴァー/栩木伸明訳(国書刊行会〈短篇小説の快楽)★★★★☆

何気ない日常に容赦ない理不尽が襲いかかる話ばっかり書く人である。血の通った人間と血も涙もない運命。運命はときに聖母の姿を、ときに思い出の姿を、ときに子どもの姿で現れる。感じやすい人間は嵐に揉まれてぼろぼろになるしかありません。 「トリッジ」…


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