『ほうかご探偵隊』倉知淳(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

なぜか「探偵団」ではなく「探偵隊」ですが描かれているのは紛れもなく少年探偵団です。5年3組で起こった不要なもの連続消失事件の謎を、語り手の高時くんと同じく江戸川乱歩好きの龍之介くんと、ニワトリ失踪事件の当事者成見沢さんと学級委員長の吉野さ…

『魔王城殺人事件』歌野晶午(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

ミステリーランド第5回配本。2004年の作品です。 読む順番が逆になってしまいましたが、本書の冒頭で触れられていた「ダンシング・クイーン」の謎は、2010年刊の『舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵』最終話「母」で解決されていたのですね。 本書のトリ…

『いつか、ふたりは二匹』西澤保彦/トリイツカサキノ絵(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

同時期に出た森博嗣『探偵伯爵と僕』となぜか事件の内容が似てしまっています。偶然なのか、それとも当時現実にモデルになるような似たような事件でも起きていたでしょうか。 こちらは主人公の精神が猫に憑依するというファンタジーですが、甘いところは微塵…

『探偵伯爵と僕』森博嗣/山田章博・絵(講談社ミステリーランド)★★★★☆

ミステリーランドのなかでは、もっとも子どもに向けて(子ども向けという意味ではなく)書かれている作品でした。死刑制度の問題、人が人を殺すという問題、ミステリィと現実の違い、ゲームやクイズと現実の違い……伯爵の正体について思わせぶりにしておきな…

『七月に流れる花』『八月は冷たい城』恩田陸/酒井駒子・絵(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

自然消滅したかと思われていた〈ミステリーランド〉の最終配本。 7・8とタイトルにあるので心配ないとは思いますが、読む順番を間違えるとネタバレになってしまうのでお気をつけ下さい。 恩田陸らしい、閉ざされた空間内での少年少女たちの日々が幻想的に…

『鬼神伝 鬼の巻・神の巻』高田崇史(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

ミステリーランドの第3回・第4回配本です。〈きじん〉ではなく〈おにがみ〉と読むのですね。 平安時代にタイムトリップさせられた中学生の天童純は、雄龍霊(オロチ)を操れる一族の末裔であることを見込まれて、藤原基良らから鬼退治を命じられます。しかし…

『ぼくが探偵だった夏』内田康夫(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

浅見光彦の子ども時代を描いた作品。 浅見光彦シリーズのようにドラマ化されているものは、原作を読んだことのない子どもでもテレビで見て知っていたりするので、ちゃんと「名探偵もの」という認識で本書を読んだりするのかと思うと、にんまりしてしまいます…

『黄金蝶ひとり』太田忠司(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

両親が五度目の新婚旅行に出かけているあいだ、洸はおじいちゃんの家に預けられることになった。生きるための「万能学」を標榜し、村人から一目置かれているおじいちゃんは、村の開発の提案にも頑として首を振らない。日本には棲息しないはずの黄金蝶を見か…

『闇のなかの赤い馬』竹本健治(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

聖ミレイユ学園で神の怒りとしか思えない悲劇があいついだ。ウォーレン神父は校庭の真ん中で落雷に遭って焼け死に、さらにベルイマン神父が密室と化したサンルームで、人体自然発火としか考えられない無残な焼死体となって発見されたのだ。「汎虚学研究会」…

『虹果て村の秘密』有栖川有栖(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

ロスナー『虹の果てには』の次に本書『虹果て村』を読むことになったのはまったくの偶然。積ん読だったミステリーランドを片づけようとしたときに、いちばん古い未読作品がたまたまこの作品でした。2003年の作品か。。。8年も積ん読してました。そうかこのこ…

『トレジャー・キャッスル』菊地秀行(講談社ミステリー・ランド)★★★☆☆

表紙イラストのお色気ばばあ(^^)は、なんと中学生です。裏表紙には切れ長の目の美少年。いやあ、菊地秀行はこうでなくっちゃ、なのかもしれません。 なのにこの二人、実は主役ではありません(^_^;。 一ページ目からいきなり喧嘩。バトルで盛り上がっ…

『野球の国のアリス』北村薫(講談社ミステリーランド)★★★★☆

まえがきが挑発的(とよりは啓蒙的?)です。 初めのうちは『アリス』文体の模倣は、著者の器用なところがマイナスになっちゃったかなと思いましたが、読んでいるうちに慣れてきて気にはならなくなりました。 「はじめに」でわかるとおり、一つには、はっき…

『ぐるぐる猿と歌う鳥』加納朋子(講談社ミステリーランド)★★★★☆

ミステリーランドには珍しく短篇集(連作長篇と言えなくもないけど)。 消えた地上絵の謎とか、急によそよそしくなった同級生の謎とか、いちおう謎ものの体裁はあるし、真相のための伏線もしっかりしてはいるのだけれど、加納作品のなかでもとりわけ謎解きミ…

『酸素は鏡に映らない』上遠野浩平(講談社ミステリーランド)★☆☆☆☆

古典的ライトノベルは小説ではなくサブカルの一分野である、というのがわたしの持論です。表面的なことで言えば、アニメのノベライズが同じ棚に並んでいて違和感がないのは同じジャンルに属するからだと思うのです。 ――と、いうわけで、ベタで古くさいアニメ…

『ステーションの奥の奥』山口雅也(講談社ミステリーランド)★★★★☆

山口雅也というと、創元推理文庫のおじさんマークをパンク・マークにあしらった文庫版『キッド・ピストルズの慢心』を思い出した(というかあれは山口雅也ではなく装丁の京極夏彦with Fiscoの仕業なんだろうけど)のだが、本書は〈ミステリーランド〉のコウ…

『銃とチョコレート』乙一(講談社ミステリーランド)★★★★★

そういえば、子どものころ夢中で読んだ本は外国のものばかりだったかもしれない。ケストナー、アーサー・ランサム、ヴェルヌ、ホームズ、ルパン、トム・ソーヤー……。山中恒、あまんきみこ、松谷みよ子、今江祥智……日本の児童文学の多くはわくわくするという…

『怪盗グリフィン、絶体絶命』法月綸太郎(ミステリーランド)★★★★☆

ニューヨークの怪盗グリフィンに、メトロポリタン美術館が所蔵する贋作のゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞いこんだ。「あるべきものを、あるべき場所に」が信条のグリフィンがとった大胆不敵な行動とは! 法月氏は後期クイーン論だ何だと難解なイ…

『びっくり館の殺人』綾辻行人(ミステリーランド)★★★★☆

クリスマスの夜、「びっくり館」に招待された三知也たちは、「リリカの部屋」で発生した奇怪な密室殺人の第一発見者に! あれから10年以上がすぎた今もなお、事件の犯人はつかまっていないというのだが…。 まずはタイトルに大笑い。館ものの正式な第八作だ…

『カーの復讐』二階堂黎人(講談社ミステリーランド)★★★★☆

古代エジプトに伝わる宝石を盗み出そうとボーバン家に潜入するルパン。だがルパンの雇っていた老婆が謎の言葉を残して怪死し、パーティ会場には呪いを口走るエジプト人が現れた。ボーバン家にはミイラ男が出没し……。ルパンは部下のマルコとともに謎を探るの…

『ぼくと未来屋の夏』はやみねかおる(講談社ミステリーランド)★★★★★

もともとジュヴナイルの人だけに、ようやくミステリーランドに子ども向けらしい子ども向け作品が登場です。『メフィスト』で読んだ虹北商店街はそれこそ子どもだましだったので半分不安、半分期待だったのですが。「未来屋」という発想ですでに勝負あり。 思…

『魔女の死んだ家』篠田真由美(講談社ミステリーランド)★★★☆☆

ミステリとしては残念賞かな。 雰囲気はいい。挿し絵もいい。そもそも幻想的な部分に関しては、趣味に関しても実力に関してもそれなりのものを持っている作家だと思う。しかし物語が破綻している(というか収斂し切れてない)のだ。ミステリとしても小説とし…

『透明人間の納屋』島田荘司(講談社ミステリーランド)

「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」というのがキャッチコピー。てことはジュブナイルかあ。それに御手洗ものじゃないしなあ。 なんて思っていたのですが、書店で実物を手にとった瞬間、買おう!と決意していました。 一部布装。変形箱入り。ペ…


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