『塵クジラの海』ブルース・スターリング/小川隆訳(ハヤカワ文庫FT)★★☆☆☆

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『塵クジラの海』ブルース・スターリング/小川隆訳(ハヤカワ文庫FT) 『Involution Ocean』Bruce Sterling,1977年。 サイバーパンクの雄ブルース・スターリングのデビュー作。〈プラチナ・ファンタジイ〉の一冊です。 スペース・オペラとサイエンス・フ…

『影のオンブリア』パトリシア・A・マキリップ/井辻朱美訳(ハヤカワ文庫FT)★★★☆☆

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『影のオンブリア』パトリシア・A・マキリップ/井辻朱美訳(ハヤカワ文庫FT) 『Ombria in Shadow』Patricia A. McKillip,2002年。 2003年度世界幻想文学大賞受賞作。〈プラチナ・ファンタジイ〉の一冊です。 いわゆるファンタジーらしいファンタジーで…

『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』シオドラ・ゴス/鈴木潤他訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ5048)★★★☆☆

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『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』シオドラ・ゴス/鈴木潤他訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ5048) 『The Strange Case of the Alchemist's Daughter』Theodora Goss,2017年。 即物的な邦題ですが、同じく素っ気ない原題は『ジキル博…

『ゲームの王国』(上・下)小川哲(ハヤカワ文庫JA)★★★★★

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『ゲームの王国』(上・下)小川哲(ハヤカワ文庫JA)★★★★★ 2017年親本刊行。 政治家や警官の腐敗と共産主義者への弾圧が著しい1956年のカンボジア。高校の歴史科教師サロト・サルは、革命組織を新たに作り直そうとしていた。同じころ、郵便局員ニュオン・…

『マルドゥック・スクランブル The First Compression――圧縮/The Second Combustion――燃焼/The Third Exhaust――排気』冲方丁(ハヤカワ文庫JA)★★★★☆

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『マルドゥック・スクランブル The First Compression――圧縮/The Second Combustion――燃焼/The Third Exhaust――排気』冲方丁(ハヤカワ文庫JA) 冲方丁の出世作。2003年初刊。 少女娼婦ルーン=バロットは、作られた自身の登録情報にアクセスしてしまっ…

『最初の接触 伊藤典夫翻訳SF傑作選』高橋良平編/マレイ・ラインスター他(ハヤカワ文庫SF)★☆☆☆☆

『最初の接触 伊藤典夫翻訳SF傑作選』高橋良平編/マレイ・ラインスター他(ハヤカワ文庫SF) 『ボロゴーヴはミムジイ』に続く、伊藤典夫訳SFマガジン傑作選の第2集。「最初の接触」を除きすべて1950年代の作品で訳載も60年代と、とにかく古い。 「最…

『危険なヴィジョン〔完全版〕3』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF)★★★☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕3』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF) 3分冊の最終巻。個人的には平均点がいちばん高い巻でした。 「男がみんな兄弟なら、そのひとりに妹を嫁がせるか?」シオドア・スタージョン/大森望訳(If All Me…

『危険なヴィジョン〔完全版〕2』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF)★★☆☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕2』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF) 解説で若島正が、本書を比類のないものにしているのはエリスンの序文だと話していますが、エリスンにもSFにも過度な思い入れのない身からすると、そんな楽屋ネタ…

『危険なヴィジョン〔完全版〕1』ハーラン・エリスン編/伊藤典夫他訳(ハヤカワ文庫SF)★★☆☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕1』ハーラン・エリスン編/伊藤典夫他訳(ハヤカワ文庫SF) 『Dangerous Visions』Edited by Harlan Ellison,1967年。 (かつての)伝説の書き下ろしアンソロジーが(今さら)完訳刊行された、というのが正直なところなので…

『書架の探偵』ジーン・ウルフ/酒井昭伸訳(早川書房 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ5033)★★★★☆

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『書架の探偵』ジーン・ウルフ/酒井昭伸訳(早川書房 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ5033) 『A Borrowed Man』Gene Wolfe,2015年。 難解な作風で知られる著者のこと、覚悟して読み始めたのですが、ジーン・ウルフにしてはかなりわかりやすいエンターテイン…

『ライト』M・ジョン・ハリスン/小野田和子訳(国書刊行会)★★☆☆☆

SF

『ライト』M・ジョン・ハリスン/小野田和子訳(国書刊行会) 『Light』M. John Harrison,2002年。 ナイトランド・クォータリーに掲載されていたヴィリコニウムものの短篇はヒロイック・ファンタジーでしたが、本書はいかにもという感じのポストモダン。シ…

『SFショートストーリー傑作セレクション 未来篇 人口九千九百億/緑の時代』日下三蔵編/星野勝之絵(汐文社)★★★☆☆

「ゆきとどいた生活」星新一(1961)★★★★☆ ――朝。時計が八時をさし、スピーカーから声が呼びかけてきた。「さあ、もうお起きになる時間です……」天井から静かに〈手〉がおりてきた。〈手〉は毛布をどけテール氏を抱きおこし、浴室へ運んでいった。ひげを処理…

『SFショートストーリー傑作セレクション 異次元篇 次元を駆ける恋/潮の匂い』日下三蔵編/谷川千佳絵(汐文社)★★★☆☆

「次元を駆ける恋」平井和正(1965)★★★☆☆ ――トラックに轢かれて死んだ絢子のことが忘れられなくて、多元宇宙で生きている絢子のなかから絢子を選ぶべく、ぼくは次元転移した。だがたとえその次元の絢子を救ったとしても、そこにはその次元のぼくがいるのだ…

『SFショートストーリー傑作セレクション ロボット篇 幽霊ロボット/ヴォミーサ』日下三蔵編/旭ハジメ絵(汐文社)★★☆☆☆

収録作家5人中、4人が『時間篇』と重複しています。この4人は続く『異次元篇』『未来篇』でも重複していて、アンソロジーとしてはお得感がまったくありません。権利の関係でほかの作家を収録できなかったのか、黎明~黄金期にかけての日本SFはほかに収…

『SFショートストーリー傑作セレクション 時間篇 人の心はタイムマシン/時の渦』日下三蔵編/456絵(汐文社)★★☆☆☆

東雅夫編〈文豪ノ怪談ジュニア・セレクション〉の汐文社から、日下三蔵編によるSFセレクションが刊行されています。日本SF黎明~黄金期の作品はほぼ読んだことがないし、こういう機会がなければ読む気もなかったので良い機会でした。 「御先祖様万歳」小…

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オオルシャ・jr.編/平野清美編訳(平凡社ライブラリー)★★☆☆☆

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オオルシャ・jr.編/平野清美編訳(平凡社ライブラリー) 英米以外のSFの翻訳は少ないうえに、訳されたものの多くはSFというよりも幻想小説や風刺小説だったりするのですが、懸念は的中し、本書収録作も前半はそん…

『〔少女庭国〕』矢部崇(ハヤカワ文庫JA)★☆☆☆☆

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『〔少女庭国〕』矢部崇(ハヤカワ文庫JA) 2014年初刊。 中カッコでくくられた意味深なタイトル。 一ページ目をめくれば、予想外に古風な文体にフランクな表現と著者独自の言い回しが混ざった、癖のある奇妙な文章が飛び込んで来ます。 あらすじにもある、…

『三体』劉慈欣《リウ・ツーシン》/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳/立原透耶監修(早川書房)★★★★★

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『三体』劉慈欣《リウ・ツーシン》/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳/立原透耶監修(早川書房) 『三体』刘慈欣,2008年。 ポケミス『折りたたみ北京』に収録されていた「円」がとてつもなく面白かったため、親本の本書も購入。抜粋を改作したとありま…

『地球最後の男』リチャード・マシスン/田中小実昌訳(ハヤカワ文庫NV)★★★★☆

『地球最後の男』リチャード・マシスン/田中小実昌訳(ハヤカワ文庫NV) 『I Am Legend』Richard Matheson,1954年。 自分以外の全人類が吸血鬼と化してしまった世界で、絶望と戦いに明け暮れる男の日々を描いた古典的名作です。今は数年前の映画化に合わせ…

『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉(東京創元社 創元日本SF叢書)

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第5回創元SF短編賞受賞の表題作を含む三篇収録。シリーズもの、というよりは三篇揃って一つの作品と言った方がよいかもしれません。 「ランドスケープと夏の定理」(2014)★★★★☆ ――太陽から地球方向に延ばした直線の延長上にあるL2まで、今は十時間で行…

『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編/中原尚哉他訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★☆

『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編/中原尚哉他訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) ケン・リュウが英訳して編んだ作品集の重訳なので、訳文は読みやすい。編者が序文で、政治的な読み方のような欧米視点の上から目線の読み方はやめ…

『猫は宇宙で丸くなる 猫SF傑作選』中村融編(竹書房文庫)★★★☆☆

類書との重複を避けて選んだ猫SF&ファンタジー傑作選。さすがにもう過去の作品を編んだものは落穂拾いなのかも……という感想です。 「地上編」「パフ」ジェフリー・D・コイストラ/山岸真訳(Puff,Jeffery D. Kooistra,1993)★★★☆☆ ――五歳になる娘のヘ…

『カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションV』ジュール・ヴェルヌ/新島進訳(インスクリプト)★★★☆☆

SF

驚異の旅コレクション第三回配本は、新訳版『カルパチアの城』と初訳の『ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』のカップリングです。 『ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』は現在、死後初めに刊行されたミシェル改作版とジュール・オリジナル版がいずれも…

『スペース・オペラ ジャック・ヴァンス・トレジャリー』ジャック・ヴァンス/浅倉久志・白石朗訳(国書刊行会)★★★☆☆

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『スペース・オペラ』白石朗訳(Space Opera,Jack Vance,1965)★★★☆☆ ――未知の惑星ルラールから来た〈第九歌劇団〉は素晴らしい演目を披露したあと、忽然と姿を消した……オペラの後援者デイム・イサベル・グレイスはその失踪の謎を解決するため、地球の歌劇…

『名を捨てた家族 1837-38年ケベックの叛乱』ジュール・ヴェルヌ/大矢タカヤス(彩流社)★★★★☆

『Famille-Sans-Nom』Jules Verne,1889年。 ここ数年つづいているヴェルヌの新訳・初訳・復刊もののなかでは段違いに面白い作品でした。明治時代に森田思軒『無名氏』という抄訳がありますが、恐らく完訳は初めてだと思います。 副題にあるとおり、カナダの…

『スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選』D・H・ウィルソン&J・J・アダムズ編(創元SF文庫)★★★☆☆

『Press Start to Play』Ed. by Daniel H. Wilson and John Joseph Adams,2015。 原書収録の26編から12編を厳選したもの。 「リスポーン」桜坂洋(2015)★★★★☆ ――おれが牛丼屋でバイトをしていると、強盗が現れた。大男の客が正義感を起こした。怯えた強盗…

『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』山口雅也編著(南雲堂)★★☆☆☆

自分好みの雑誌を作りあげるのは編者の特権ですが、自分語りが頻繁に顔を出すのは勘弁してほしかったところです。 「21世紀版奇想天外小説傑作選[海外篇]」「最上階に潜むもの」アーサー・モリスン/宮脇孝雄訳(The Thing in the Upper Room,Arthur Morr…

『ジャック・グラス伝 宇宙的殺人者』アダム・ロバーツ/内田昌之訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★☆

『Jack Glass』Adam Roberts,2012年。 人類は宇宙へと生活の場を広げ、ウラノフ一族が支配する新しい体制下で――天下に並ぶ者なき殺人者ジャック・グラスに関わる三つの事件が描かれます。 「第一部 箱の中」(In the Box)★★★★★ ――七人の囚人が小惑星に送ら…

『奇想天外 復刻版 アンソロジー』山口雅也編著(南雲堂)★★☆☆☆

四期にわたる雑誌『奇想天外』掲載作を抽出し、当時の体裁でまとめたアンソロジー。小説・エッセイともに、B級もしくは歴史的意味のものが大半を占めていて、いま読んで面白いものではありませんでした。。 「『奇想天外』=「謎解きが好き」 「大人になれ…

『蒸気で動く家 〈驚異の旅〉コレクションIV』ジュール・ヴェルヌ/荒畑邦博・三枝大修訳(インスクリプト)★★☆☆☆

SF

『La Maison à vapeur. Voyage à travers l'Inde septentrionale』Jules Verne,1880年。 シパーヒーの反乱(セポイの乱)の指導者だったドゥンドー・パント(ナーナー・サーヒブ)がボンベイに現れたという情報がもたらされた。だがナーナーに妻を殺された…


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