『奇跡なす者たち』ジャック・ヴァンス/浅倉久志編(国書刊行会 未来の文学)★★★★☆

『The Miracle Workers』Jack Vance。「フィルスクの陶匠」酒井昭伸訳(The Potters of Firsk,1950)★★★★☆ ――星務省惑星局のトームはフィルスクへ転任が決まった。先住民のミ=トゥーンは優美な民族だった。陶器屋を覗いてみたトームは、その色彩の豊かさに…

『ゴーレム100』アルフレッド・ベスター/渡辺佐智江訳(国書刊行会〈未来の文学〉)★★★★★

どんな難解な書物なのかと臆していたのだけれど、読む分には気負う必要はないです。訳者や出版社は大変だったろうけれど、読むだけなら気軽に(?)読めます。そりゃ読むだけにしたって、すべての引用や仕掛けを完全に理解しようとすればとんでもない知識と…

『グラックの卵』浅倉久志編訳(国書刊行会〈未来の文学〉)★★★★☆

「見よ、かの巨鳥を!」ネルスン・ボンド(And Lo! The Bird,Nelson Bond)★★★★☆ ――アブラムスン博士の観測結果は驚くべきものだった。鳥。一羽の鳥が、宇宙の遙か彼方で羽ばたいているのだ。しかも、飛行方向は、太陽を目ざしているのだ。 奇しくも「天王…

『ベータ2のバラッド』サミュエル・R・ディレイニー他/若島正編(国書刊行会〈未来の文学〉)★★★★☆

「ベータ2のバラッド」サミュエル・R・ディレイニー/小野田和子訳(The Ballad of Beta-2,Samuel R. Delany,1965)★★★★★ ――「でも先生。ぼくは卒論に役立つものに時間を割きたいんです」「でも、じゃない。きみはベータ2のバラッドについてレポートを…

『デス博士の島その他の物語』ジーン・ウルフ(国書刊行会) ★★★★★

「まえがき」(Foreword,1983)★★★★★ ――島に関する作品がほかにないわけではない。だがこの三篇はひとつのセット、題名を使ったことば遊びを構成している。最初の物語「デス博士の島その他の物語」がそもそものきっかけだった……。そして「死の博士の島」が…

『宇宙舟歌』ラファティ/柳下毅一郎(国書刊行会)

船乗りの話ときて面白くないわけがない。『スナーク狩り』しかり『白鯨』しかり。『海底二万里』や『月世界旅行』を加えてもいいかもしれない。 未知への冒険、大いなるものとの戦い。冒険物語の本質がここにあります。トム・ソーヤーだったりガルガンチュア…


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