『火葬人』ラジスラフ・フクス/阿部賢一訳(松籟社 東欧の想像力9)★★★★★

『Spalovač mrtvol』Ladislav Fuks,1967年。 「十七年前にわたしたちが出会ったのもここだったね」動物園の豹の檻の前で、カレル(ロマン)・コップフルキングル氏は、妻のラクメーに声をかけた。あれからまったく変わっていない。もちろんあのときの豹は天…

『ペインティッド・バード』イェジー・コシンスキ/西成彦訳(松露社 東欧の想像力7)★★★★★

『The Painted Bird』Jerzy Kosinski,1965・1976年。 ポーランドからの亡命作家による英語作品。初訳ではなく新訳です。旧題『異端の鳥』。 第二次世界大戦の波が押し寄せる東欧の大都市から、遠い村に疎開させられた一人の少年。オリーブ色の肌と黒い髪と…

『死者の軍隊の将軍』イスマイル・カダレ/井浦伊知郎訳(松籟社〈東欧の想像力〉5)★★★★☆

『Gjenerali i ushtrisë së vdekur』Ismail Kadare,1963年。 戦死した兵士たちの遺骨を回収して祖国に持ち帰るために、将軍と司祭はアルバニアにやって来た。記録や証言をもとに、掘っては名簿と認識票を照らし合わせ、掘っては照らし合わせ……。同じ任務に…

『あまりにも騒がしい孤独』ボフミル・フラバル/石川達夫訳(松籟社〈東欧の想像力2〉)★★★★☆

『Příliš hlučná samota』Bohumil Hrabal,1980年。 「三十五年間、僕は故紙に埋もれて働いている――これは、そんな僕のラブ・ストーリーだ。」 すごくのんきで夢見る男の一人称のように見えて、実は政府による本の発禁廃棄処分だとかナチズムだとか管理社会…

『砂時計』ダニロ・キシュ/奥彩子訳(松籟社〈東欧の想像力〉1)★★★★★

プロローグを読み終え、第一章を読み始める。ものの名前や人の動作を表わす決まり切った言葉を、著者は使わない。もちろん完全に使わないと文章自体が書けないので、恣意的なものではあるけれど。 例えば、ペン先を振ってから文字を書く場面を、著者はこう書…


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