『現代詩人探偵』紅玉いづき(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『現代詩人探偵』紅玉いづき(創元推理文庫) 『Rhyme for Crime』2016年。 英題が韻を踏んでいてお洒落です。 15歳のころ一度だけ参加した『現代詩人卵の会』。10年後に再会したときには9人からなる詩人の会のメンバーのうち4人が自殺していました。当時…

『一週間のしごと』永嶋恵美(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『一週間のしごと』永嶋恵美(創元推理文庫) 『НЕДЕЛЬКА』永嶋恵美,2005年。 扉の題名がロシア語なのは、恐らくロシア民謡「一週間」(テュリャテュリャテュリャテュリャリャ♪)にちなみます。 あらすじから想像するような青春サスペンスではありませんで…

『日時計』クリストファー・ランドン/丸谷才一訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『日時計』クリストファー・ランドン/丸谷才一訳(創元推理文庫) 『The Shadow of Time』Christopher Landon,1957年。 誘拐犯から送られてきた被害者の写真に写っている影から居所を突き止めるというあらすじだけは知っていたのですが、実際に読んでみる…

『ひとりで歩く女』ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『ひとりで歩く女』ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄訳(創元推理文庫) 『She Walks Alone(Wish Yous Were Dead)』Helen McCloy,1948年。 誰かがわたしを殺そうとしています――という一文から始まる手記。 西インド諸島に滞在していた語り手は、いとこのルパー…

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫) 『The White Priory Murders』Carter Dickson,1934年。 新訳を機に再読しました。 カー/ディクスンの作品には、トリックだけは覚えているものも多いのですが、本書もそのひとつでした。…

『恋牡丹』戸田義長(創元推理文庫)★★★★☆

『恋牡丹』戸田義長(創元推理文庫) 『The Casebook of Detective Toda Sozaemon』2018年。 第27回鮎川哲也賞最終候補作。英題はさしずめ『同心戸田惣左衛門捕物帳』でしょうか。現代においてはベタ過ぎる恋愛観を、江戸時代を舞台にした大河ドラマに移植す…

『戦場のコックたち』深緑野分(創元推理文庫)★★★★☆

『Armed with Skillets』2015年。 世間の波に押されるようにして従軍した主人公ティム・コールは、幼い言動からキッドと呼ばれてからかわれていました。味音痴のコック、エド・グリーンバーグからその食いっぷりを見込まれ、もともと料理に興味のあったティ…

『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水(創元推理文庫)★★★★☆

『The Melancholy of Lupinus Detective』2007年。 『ルピナス探偵団の当惑』の続編です。『当惑』から数年後、探偵団の一人である摩耶の葬儀という衝撃的な場面から幕を開けます。探偵の最後の事件を描いた作品は過去にもいくつもありましたが、文字通り最…

『屍人荘の殺人』今村昌弘(創元推理文庫)★★★★☆

『Murders at the House of Death』2017年。 各種ベスト10で四冠を達成したという、驚異のデビュー作です。第27回鮎川哲也賞受賞。 まずは映画研究部の合宿に届けられた脅迫状という、古式ゆかしい舞台が用意されていました。語り手・葉村の先輩である明智…

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫) 『Black Alibi』Cornell Woolrich,1942年。 『黒衣の花嫁』『黒いカーテン』に続く〈ブラックもの〉の第三作です。 目次が被害者名になっており、『黒衣の花嫁』『喪服のランデヴー…

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆ 『Red Harvest』Dashiell Hammett,1929年。 ハメットの第一長篇として、また映画『用心棒』の元ネタとして知られる古典の新訳です。初読。 映画『用心棒』のイメージから、有力者たちを対…

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人(創元推理文庫)★★★★★

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人(創元推理文庫) 第26回鮎川哲也賞受賞作(2016)。 帯やあらすじに『そして誰もいなくなった』『十角館の殺人』の名前が挙げられていることからもわかるとおり、飛行船というクローズドサークルで乗組員全員が殺…

『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳(創元推理文庫) 『Code Name Verity』Elizabeth Wein,2012年。 2年前、創元推理文庫創刊60周年記念で柚木麻子推薦だったので手に取っていたもの。 第二次大戦中ナチに捕えられたイギリス人…

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 デュ・モーリアの名前が出されているのは、せいぜいのところゴシック・ロマンス風なところがあるからだと思っていましたが、下巻はし…

『忘れられた花園』(上)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★★

『忘れられた花園』(上)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 オーストラリア、ブリスベン。二十一歳になり結婚を間近に控えたネルは、父親のヒューから衝撃的な事実を知らされます。白いトランク…

『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ/中村能三訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ/中村能三訳(創元推理文庫) 『The Perfect Murder Case』Christopher Bush,1929年。 喜国雅彦『本格力』で「トリックのおかげで、読後感の深みが増したわけで」「その深み、島田荘司氏の作品を読んだときに感じる…

『九人と死で十人だ』カーター・ディクスン/駒月雅子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『Nine --and the Death Makes Ten』Carter Dickson,1940年。 船上という限定された状況のなかで起こった殺人事件の、真相も実にシンプルで、一つの謎が明らかになると途端にほぼすべての謎が氷解するのが爽快です。シンプルな謎解きがうまく決まった中期の…

『シャーロック・ホームズの栄冠』北原尚彦編訳(創元推理文庫)★★★☆☆

「第I部 王道篇」「一等車の秘密」ロナルド・A・ノックス(The Adventure of the First-Class Carriage,Ronald A. Knox,1947)★★★★☆ ――リューマチで仕事を辞めたヘネシー夫妻は、田舎屋敷の番小屋に住み込み、スウィシンバンク夫妻の世話をすることにな…

『福家警部補の再訪』大倉崇裕(創元推理文庫)★★★☆☆

福家警部補シリーズ第二集。第一話の切れ味が一番よかったため、やや尻すぼみな印象でした。「倒叙ミステリ」についての解説者の考察が腑に落ちます。 「マックス号事件」(2006)★★★☆☆ ――豪華客船マックス号の船室内で、原田はかつて恐喝の相棒だった直巳を…

『悪女イヴ』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/小西宏訳(創元推理文庫)★★★★★

『Eve』James Hadley Chase,1945年。 悪女ものには最低限ふたつの要素が必要でしょう。男を絡め取る魅力のあるファム・ファタールと、絡め取られるに相応しい弱みを持っている男です。 この『悪女イヴ』では悪女の魅力よりもとりわけ語り手クライヴ・サース…

『盲目の理髪師』ジョン・ディクスン・カー/三角和代訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『The Blind Barber』John Dickson Carr,1934年。 新訳を機に読み返してみましたが、やはりしんどかったです。新訳のおかげで笑いどころがわかりやすくなっていることを期待していたのですが、台詞が新しく軽くなったせいで空々しさが際立つ結果になってい…

『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選』柴田錬三郎/末國善己編(創元推理文庫)★★★☆☆

名のみ知っていた眠狂四郎のシリーズは、通俗時代小説というイメージがあってまったくの無関心だったのですが、大坪砂男がプロットを提供していたと言われる『幽霊紳士』が同じ創元推理文庫から刊行されていることもあり、手に取ってみました。 「雛の首」(…

『江神二郎の洞察』有栖川有栖(創元推理文庫)★★★☆☆

学生アリスシリーズ初の短篇集。著者あとがきによれば学生アリスシリーズは長篇5作と短篇集2冊の予定であるらしく、残る長篇1作と短篇集1冊も出してくれそうな書きぶりです。収録作は執筆順ではなく作中の時系列順になっています。 「瑠璃荘事件」(2000…

『事件』大岡昇平(創元推理文庫)★★★★☆

1961年から1962年にかけて連載され1977年に刊行された作品です。ミステリの老舗である東京創元社から再刊されました。 フィクションとはいえ映画や小説とは違う裁判の実態を明らかにしようという意図や、戦後16年経たった1961年現在いまだに引きずっている古…

『動く標的』ロス・マクドナルド/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Moving Target』Ross Macdnald,1977年。 リュー・アーチャー初登場作品。 仕事の大半が離婚がらみ、という設定が意外でした。とはいうものの本書の依頼はハードボイルドではお馴染みの人捜しではありますが。アーチャーも軽口は叩きますが、マーロウ…

『悪女』マルク・パストル/白川貴子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『La mala mujer』Marc Pastor,2008年。 20世紀初頭のバルセロナに実在した殺人鬼を、現役警察官が描く、スペイン・カタルーニャのミステリです。 吸血鬼と呼ばれた誘拐殺人犯を取り巻く〈部下〉や夫や親たち、そして彼女を追う警察官たちの捜査が、死神の…

『夜届く 猫丸先輩の推測』倉知淳(創元推理文庫)★★★☆☆

てっきり新作かと思っていましたが、講談社文庫から出ていた第三短篇集『猫丸先輩の推測』の改題再刊でした。どのみち未読だったような、読んだことがあるような、記憶も曖昧です。 「夜届く」(1999)★★☆☆☆ ――今どき電報が届いた。「病気、至急連絡されたし…

『冬雷』遠田潤子(東京創元社)★★★★☆

真琴のことが好きだった夏目代助は、愛美がストーカーの果てに自殺したことを愛美の兄・龍から今でも恨まれていた。行方不明だった義弟の千田翔一郎の死体が発見され、代助はかつての養父たちの住む町に戻って来た。愛美とのことで町ではあらぬ噂を立てられ…

『人形 デュ・モーリア傑作集』ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Doll and Other Stories』Daphne du Maurier,2011/1980年。 デュ・モーリア死後に再発掘された短篇と、初期の短篇からなる短篇集で、書誌情報がいっさい不明ですが、どうやら完全な日本オリジナル短篇集というわけではなく、2011年に出版された初期短…

『かくして殺人へ』カーター・ディクスン/白須清美訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『And So to Murder』Carter Dickson,1940年。 ロマンス小説でデビューした牧師の娘モニカは、その過激な作品内容から家族の顰蹙を買ってしまいます。そして伯母から言われたのは、「せめて探偵小説だったなら」という台詞。そのせいでモニカは、探偵小説が…


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