『プレイボーイ・スパイ2』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/井上一夫訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『プレイボーイ・スパイ2』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/井上一夫訳(創元推理文庫) 『You Have Yourself A Deal』James Hadley Chase,1966年。 プレイボーイ・スパイのマーク・ガーランドが活躍するシリーズの第二弾。ジェイムズ・ボンド・シリーズ…

『心のなかの冷たい何か』若竹七海(創元推理文庫)★★☆☆☆

『心のなかの冷たい何か』若竹七海(創元推理文庫) 『Something Cold in My Heart』1991年。 若竹七海の第二作。『ぼくのミステリな日常』と同じく作者と同名の若竹七海が主人公のシリーズです。 女同士の友情から事件の真相を明らかにしようと奮闘する姿は…

『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆ 『Cue for Murder』Helen McCloy,1942年。 解説にも書かれているようにサスペンス派という印象の強かったマクロイですが、本書は至極まっとうな謎解きものでした。 刃物研磨店に夜…

『幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集』柴田錬三郎(創元推理文庫)★★★★☆

『幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集』柴田錬三郎(創元推理文庫) 『A Ghost Gentleman/Bizarre Tales』1960年/1961年。 幽霊紳士を狂言回しにしたミステリ集『幽霊紳士』と、奇譚集『異常物語』の合本です。『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選』は…

『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆「挑戦」バッド・シュールバーグ/門野集訳(The Dare,Budd Schulberg,1949)★★★☆☆ ――ポールは海を見つめていた。モーターボートと水上スキーの娘が…

『皇帝と拳銃と』倉知淳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『皇帝と拳銃と』倉知淳(創元推理文庫) 『Emperor and Gun』2017年。「運命の銀輪」(2009)★☆☆☆☆ ――伊庭は凶器の金槌を振り降ろした。友人であり仕事のパートナーでもあった和喜多。四季杜忍がこんな形で解消とはな……。自転車の隠し場所を目指すと、ホー…

『放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー』青崎有吾・斜線堂有紀ほか(創元推理文庫)★★☆☆☆

『放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー』青崎有吾・斜線堂有紀ほか(創元推理文庫) 『Highschool Detectives II』2020年。 新鋭による学園ミステリ『放課後探偵団』、10年ぶりの第2弾です。ほとんどが未読の作家でした。第一集とは違い、…

『雪旅籠』戸田義長(創元推理文庫)★★★☆☆

『雪旅籠』戸田義長(創元推理文庫) 『The Casebook of Detective Toda Sozaemon vol.2』2020年。 鮎川賞候補作『恋牡丹』の姉妹編。前作のその後の物語ではなく、前作各話の間を埋める八篇の作品集ということで、続編ではなく姉妹編ということのようです。…

『モリアーティ秘録(上・下)』キム・ニューマン/北原尚彦訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『モリアーティ秘録(上・下)』キム・ニューマン/北原尚彦訳(創元推理文庫) 『Professor Moriarty: the Hound of the D'Urbervilles』Kim Newman,2011年。 タイトルからわかる通り、モリアーティ側を主役に据えたホームズ・パスティーシュです。前半は…

『探偵は友人ではない』川澄浩平(東京創元社)★★☆☆☆

『探偵は友人ではない』川澄浩平(東京創元社) 不登校の少年と幼なじみの中学生を中心とした日常の謎と瑞々しい感性が印象深かったデビュー作『探偵は教室にいない』の続編です。ですが、どうしちゃったの……というくらいに出来が悪くなっていました。正確に…

『短編ミステリの二百年 1』モーム、フォークナー他/小森収編(創元推理文庫)★★★★☆

『短編ミステリの二百年 1』モーム、フォークナー他/小森収編(創元推理文庫) 『The Long History of Mystery Short Stories vol.1』2019年。 江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集(世界短編傑作集)』の続編とも姉妹編とも補遺編とも言うべきアンソロジー…

『赤い右手』ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ/夏来健次訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『赤い右手』ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ/夏来健次訳(創元推理文庫) 『The Red Right Hand』Joel Townsley Rogers,1945年。 喜国雅彦『本格力』で好評価だったので再読しましたが、やはりわたしにはまったく面白く感じられませんでした。 謎のう…

『福家警部補の追及』大倉崇裕(創元推理文庫)★★★☆☆

『福家警部補の追及』大倉崇裕(創元推理文庫) 『Enter Lieutenant Fukuie For Checkmate』2015年。 福家警部補シリーズの第四集は中篇2編が収録されています。 「未完の頂上《ピーク》」(2014)★★★★☆ ――狩義之は十キロのザックを背負って石段を登り中津…

『P分署捜査班 集結』マウリツィオ・デ・ジョバンニ/直良和美訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『P分署捜査班 集結』マウリツィオ・デ・ジョバンニ/直良和美訳(創元推理文庫) 『I bastardi di Pizzofalcone』Maurizio de Giovanni,2013年。 イタリア発、21世紀の87分署というふれこみのシリーズ第一作です。はみ出しものたちの寄せ集めという設定か…

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫)★★★☆☆

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫) 『A Magician in Ballon Town』2000年。 『バルーン・タウンの殺人』に続くシリーズ2作目。英題は「Balloon」の誤植かと思いましたが、フランス語やオランダ語では「Ballon」であるようです。 「バル…

『ピーター卿の事件簿』ドロシー・L・セイヤーズ/宇野利泰訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『ピーター卿の事件簿』ドロシー・L・セイヤーズ/宇野利泰訳(創元推理文庫) 『The Casebook of Lord Peter』Dorothy L. Sayers,1979/2017年。 日本オリジナル編のピーター卿短篇集です。 「鏡の映像」(The Image in the Mirror,1933)★★☆☆☆ ――ピータ…

『ブルーローズは眠らない』市川憂人(創元推理文庫)★★☆☆☆

『ブルーローズは眠らない』市川憂人(創元推理文庫) 『The Blue Rose Never Sleeps』2017年。 デビュー作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く、マリア&漣シリーズ第二作。 本書はそれぞれ「プロトタイプ」と「ブルーローズ」と題された二つのパートか…

『現代詩人探偵』紅玉いづき(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『現代詩人探偵』紅玉いづき(創元推理文庫) 『Rhyme for Crime』2016年。 英題が韻を踏んでいてお洒落です。 15歳のころ一度だけ参加した『現代詩人卵の会』。10年後に再会したときには9人からなる詩人の会のメンバーのうち4人が自殺していました。当時…

『一週間のしごと』永嶋恵美(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『一週間のしごと』永嶋恵美(創元推理文庫) 『НЕДЕЛЬКА』永嶋恵美,2005年。 扉の題名がロシア語なのは、恐らくロシア民謡「一週間」(テュリャテュリャテュリャテュリャリャ♪)にちなみます。 あらすじから想像するような青春サスペンスではありませんで…

『日時計』クリストファー・ランドン/丸谷才一訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『日時計』クリストファー・ランドン/丸谷才一訳(創元推理文庫) 『The Shadow of Time』Christopher Landon,1957年。 誘拐犯から送られてきた被害者の写真に写っている影から居所を突き止めるというあらすじだけは知っていたのですが、実際に読んでみる…

『ひとりで歩く女』ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『ひとりで歩く女』ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄訳(創元推理文庫) 『She Walks Alone(Wish Yous Were Dead)』Helen McCloy,1948年。 誰かがわたしを殺そうとしています――という一文から始まる手記。 西インド諸島に滞在していた語り手は、いとこのルパー…

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫) 『The White Priory Murders』Carter Dickson,1934年。 新訳を機に再読しました。 カー/ディクスンの作品には、トリックだけは覚えているものも多いのですが、本書もそのひとつでした。…

『恋牡丹』戸田義長(創元推理文庫)★★★★☆

『恋牡丹』戸田義長(創元推理文庫) 『The Casebook of Detective Toda Sozaemon』2018年。 第27回鮎川哲也賞最終候補作。英題はさしずめ『同心戸田惣左衛門捕物帳』でしょうか。現代においてはベタ過ぎる恋愛観を、江戸時代を舞台にした大河ドラマに移植す…

『戦場のコックたち』深緑野分(創元推理文庫)★★★★☆

『Armed with Skillets』2015年。 世間の波に押されるようにして従軍した主人公ティム・コールは、幼い言動からキッドと呼ばれてからかわれていました。味音痴のコック、エド・グリーンバーグからその食いっぷりを見込まれ、もともと料理に興味のあったティ…

『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水(創元推理文庫)★★★★☆

『The Melancholy of Lupinus Detective』2007年。 『ルピナス探偵団の当惑』の続編です。『当惑』から数年後、探偵団の一人である摩耶の葬儀という衝撃的な場面から幕を開けます。探偵の最後の事件を描いた作品は過去にもいくつもありましたが、文字通り最…

『屍人荘の殺人』今村昌弘(創元推理文庫)★★★★☆

『Murders at the House of Death』2017年。 各種ベスト10で四冠を達成したという、驚異のデビュー作です。第27回鮎川哲也賞受賞。 まずは映画研究部の合宿に届けられた脅迫状という、古式ゆかしい舞台が用意されていました。語り手・葉村の先輩である明智…

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫) 『Black Alibi』Cornell Woolrich,1942年。 『黒衣の花嫁』『黒いカーテン』に続く〈ブラックもの〉の第三作です。 目次が被害者名になっており、『黒衣の花嫁』『喪服のランデヴー…

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫) 『Red Harvest』Dashiell Hammett,1929年。 ハメットの第一長篇として、また映画『用心棒』の元ネタとして知られる古典の新訳です。初読。 映画『用心棒』のイメージから、有力者たちを対立さ…

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人(創元推理文庫)★★★★★

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人(創元推理文庫)『The Jellyfish Never Freezes』2016年。 第26回鮎川哲也賞受賞作(2016)。 帯やあらすじに『そして誰もいなくなった』『十角館の殺人』の名前が挙げられていることからもわかるとおり、飛行船と…

『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳(創元推理文庫) 『Code Name Verity』Elizabeth Wein,2012年。 2年前、創元推理文庫創刊60周年記念で柚木麻子推薦だったので手に取っていたもの。 第二次大戦中ナチに捕えられたイギリス人…


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