『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『黒いアリバイ』ウィリアム・アイリッシュ/稲葉明雄訳(創元推理文庫) 『Black Alibi』Cornell Woolrich,1942年。 『黒衣の花嫁』『黒いカーテン』に続く〈ブラックもの〉の第三作です。 目次が被害者名になっており、『黒衣の花嫁』『喪服のランデヴー…

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆

『血の収穫』ダシール・ハメット/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆ 『Red Harvest』Dashiell Hammett,1929年。 ハメットの第一長篇として、また映画『用心棒』の元ネタとして知られる古典の新訳です。初読。 映画『用心棒』のイメージから、有力者たちを対…

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人(創元推理文庫)★★★★★

『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人(創元推理文庫) 第26回鮎川哲也賞受賞作(2016)。 帯やあらすじに『そして誰もいなくなった』『十角館の殺人』の名前が挙げられていることからもわかるとおり、飛行船というクローズドサークルで乗組員全員が殺…

『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン/吉澤康子訳(創元推理文庫) 『Code Name Verity』Elizabeth Wein,2012年。 2年前、創元推理文庫創刊60周年記念で柚木麻子推薦だったので手に取っていたもの。 第二次大戦中ナチに捕えられたイギリス人…

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 デュ・モーリアの名前が出されているのは、せいぜいのところゴシック・ロマンス風なところがあるからだと思っていましたが、下巻はし…

『忘れられた花園』(上)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★★

『忘れられた花園』(上)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 オーストラリア、ブリスベン。二十一歳になり結婚を間近に控えたネルは、父親のヒューから衝撃的な事実を知らされます。白いトランク…

『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ/中村能三訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『完全殺人事件』クリストファ・ブッシュ/中村能三訳(創元推理文庫) 『The Perfect Murder Case』Christopher Bush,1929年。 喜国雅彦『本格力』で「トリックのおかげで、読後感の深みが増したわけで」「その深み、島田荘司氏の作品を読んだときに感じる…

『九人と死で十人だ』カーター・ディクスン/駒月雅子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『Nine --and the Death Makes Ten』Carter Dickson,1940年。 船上という限定された状況のなかで起こった殺人事件の、真相も実にシンプルで、一つの謎が明らかになると途端にほぼすべての謎が氷解するのが爽快です。シンプルな謎解きがうまく決まった中期の…

『シャーロック・ホームズの栄冠』北原尚彦編訳(創元推理文庫)★★★☆☆

「第I部 王道篇」「一等車の秘密」ロナルド・A・ノックス(The Adventure of the First-Class Carriage,Ronald A. Knox,1947)★★★★☆ ――リューマチで仕事を辞めたヘネシー夫妻は、田舎屋敷の番小屋に住み込み、スウィシンバンク夫妻の世話をすることにな…

『福家警部補の再訪』大倉崇裕(創元推理文庫)★★★☆☆

福家警部補シリーズ第二集。第一話の切れ味が一番よかったため、やや尻すぼみな印象でした。「倒叙ミステリ」についての解説者の考察が腑に落ちます。 「マックス号事件」(2006)★★★☆☆ ――豪華客船マックス号の船室内で、原田はかつて恐喝の相棒だった直巳を…

『悪女イヴ』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/小西宏訳(創元推理文庫)★★★★★

『Eve』James Hadley Chase,1945年。 悪女ものには最低限ふたつの要素が必要でしょう。男を絡め取る魅力のあるファム・ファタールと、絡め取られるに相応しい弱みを持っている男です。 この『悪女イヴ』では悪女の魅力よりもとりわけ語り手クライヴ・サース…

『盲目の理髪師』ジョン・ディクスン・カー/三角和代訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『The Blind Barber』John Dickson Carr,1934年。 新訳を機に読み返してみましたが、やはりしんどかったです。新訳のおかげで笑いどころがわかりやすくなっていることを期待していたのですが、台詞が新しく軽くなったせいで空々しさが際立つ結果になってい…

『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選』柴田錬三郎/末國善己編(創元推理文庫)★★★☆☆

名のみ知っていた眠狂四郎のシリーズは、通俗時代小説というイメージがあってまったくの無関心だったのですが、大坪砂男がプロットを提供していたと言われる『幽霊紳士』が同じ創元推理文庫から刊行されていることもあり、手に取ってみました。 「雛の首」(…

『江神二郎の洞察』有栖川有栖(創元推理文庫)★★★☆☆

学生アリスシリーズ初の短篇集。著者あとがきによれば学生アリスシリーズは長篇5作と短篇集2冊の予定であるらしく、残る長篇1作と短篇集1冊も出してくれそうな書きぶりです。収録作は執筆順ではなく作中の時系列順になっています。 「瑠璃荘事件」(2000…

『事件』大岡昇平(創元推理文庫)★★★★☆

1961年から1962年にかけて連載され1977年に刊行された作品です。ミステリの老舗である東京創元社から再刊されました。 フィクションとはいえ映画や小説とは違う裁判の実態を明らかにしようという意図や、戦後16年経たった1961年現在いまだに引きずっている古…

『動く標的』ロス・マクドナルド/田口俊樹訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Moving Target』Ross Macdnald,1977年。 リュー・アーチャー初登場作品。 仕事の大半が離婚がらみ、という設定が意外でした。とはいうものの本書の依頼はハードボイルドではお馴染みの人捜しではありますが。アーチャーも軽口は叩きますが、マーロウ…

『悪女』マルク・パストル/白川貴子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『La mala mujer』Marc Pastor,2008年。 20世紀初頭のバルセロナに実在した殺人鬼を、現役警察官が描く、スペイン・カタルーニャのミステリです。 吸血鬼と呼ばれた誘拐殺人犯を取り巻く〈部下〉や夫や親たち、そして彼女を追う警察官たちの捜査が、死神の…

『夜届く 猫丸先輩の推測』倉知淳(創元推理文庫)★★★☆☆

てっきり新作かと思っていましたが、講談社文庫から出ていた第三短篇集『猫丸先輩の推測』の改題再刊でした。どのみち未読だったような、読んだことがあるような、記憶も曖昧です。 「夜届く」(1999)★★☆☆☆ ――今どき電報が届いた。「病気、至急連絡されたし…

『冬雷』遠田潤子(東京創元社)★★★★☆

真琴のことが好きだった夏目代助は、愛美がストーカーの果てに自殺したことを愛美の兄・龍から今でも恨まれていた。行方不明だった義弟の千田翔一郎の死体が発見され、代助はかつての養父たちの住む町に戻って来た。愛美とのことで町ではあらぬ噂を立てられ…

『人形 デュ・モーリア傑作集』ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Doll and Other Stories』Daphne du Maurier,2011/1980年。 デュ・モーリア死後に再発掘された短篇と、初期の短篇からなる短篇集で、書誌情報がいっさい不明ですが、どうやら完全な日本オリジナル短篇集というわけではなく、2011年に出版された初期短…

『かくして殺人へ』カーター・ディクスン/白須清美訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『And So to Murder』Carter Dickson,1940年。 ロマンス小説でデビューした牧師の娘モニカは、その過激な作品内容から家族の顰蹙を買ってしまいます。そして伯母から言われたのは、「せめて探偵小説だったなら」という台詞。そのせいでモニカは、探偵小説が…

『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎(創元推理文庫)★★★★☆

アパートの隣人に誘われて、本屋から広辞苑を盗むはめになってしまう。 この冒頭の設定だけで、どんな話なのかと読みたくなってしまいました。 本書は二つのパートからなり、「現在」パートでは大学生の椎名が河崎という風変わりな隣人に振り回され、「二年…

『福家警部補の報告』大倉崇裕(創元推理文庫)★★★★★

福家警部補シリーズ第三集。「禁断の筋書」(2010,2011)★★★★☆ ――漫画化を目指していた真理子とみどりだったが、デビューできたのはみどりだけだった。やがて真理子は編集者となり、みどりを潰すことだけを目指していた。真理子の部屋でそのことを聞かされ…

『緑のカプセルの謎』ジョン・ディクスン・カー/三角和代訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『The Problem of the Green Capsule』John Dickson Carr,1939年。 目撃者の証言の信憑性を題材にした作品で、人間の目が信用できないと主張する素人心理学者がそのテストの寸劇の最中に毒殺されてしまうという事件が起こります。観客たちは騙されないよう…

『ディナーで殺人を(下)』ピーター・ヘイニング編(創元推理文庫)★★★☆☆

『Murder on the Menu』Peter Haining,1991年。 「第二部 歴史風のアントレ(承前)」「唐辛子の味がわからなかった男」G・B・スターン/田口俊樹訳(The Man Who Couldn't Taste Pepper,G. B. Stern)★★★☆☆ ――チャールズとフアンはドゥルーズという一人…

『狙った獣』マーガレット・ミラー/雨沢泰訳(創元推理文庫)★★★★☆

『Beast In View』Margret Millar,1955年。 裕福で孤独な独身女性ヘレン・クラーヴォーを突如として襲った悪意。エヴリン・メリックと名乗る女性は、その後つぎつぎに人を不幸に陥れようと悪意ある電話や訪問をしてゆきます……。 偏執的な復讐心から人を破滅…

『星読島に星は流れた』久住四季(創元推理文庫)★★★☆☆

数年ごとに隕石が落ちてくるという奇跡の島セントグレース島、通称星読島。星が好きだった妻子に隕石を手向けるため、家庭訪問医の加藤盤は、高倍率のイベントに参加することにした。だが運良く隕石が見つかった直後、隕石回収業者が死体で発見され、隕石も…

『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』十市社(創元推理文庫)★★★☆☆

変な言い方になるけれど、この人はミステリを書こうと思っていたのだろうか、と思ってしまう。だってたぶんプロパーと呼ばれるような人には、こういう騙りは書けないと思う。学校という狭い世界で、なおかつ主人公がハブだから、ぎりぎりで成立している騙り…

『オーブランの少女』深緑野分(創元推理文庫)★★★★☆

『Les Filles dans le jardin Aublanc』深緑野分,2013年。「オーブランの少女」(2010)★★★★★ ――オーブランの庭を管理していた老姉妹が、悪鬼のような老婆に殺された。老姉妹の妹が書いていた日記から、恐るべき事実が明らかになった――。そこでなら病気を治…

『ルーフォック・オルメスの冒険』カミ/高野優訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『Les Aventures de Loufock Holmès』Cami,1926年。 カミの代表作、だと思うのだけれど、長らく品切れ状態だったルーフォック・オルメスものが、新訳&完訳で創元推理文庫に入りました。名作映画のタイトルバックのようなレトロなカバーデザインが印象的。…


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