『緑のカプセルの謎』ジョン・ディクスン・カー/三角和代訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『The Problem of the Green Capsule』John Dickson Carr,1939年。 目撃者の証言の信憑性を題材にした作品で、人間の目が信用できないと主張する素人心理学者がそのテストの寸劇の最中に毒殺されてしまうという事件が起こります。観客たちは騙されないよう…

『ディナーで殺人を(下)』ピーター・ヘイニング編(創元推理文庫)★★★☆☆

『Murder on the Menu』Peter Haining,1991年。 「第二部 歴史風のアントレ(承前)」「唐辛子の味がわからなかった男」G・B・スターン/田口俊樹訳(The Man Who Couldn't Taste Pepper,G. B. Stern)★★★☆☆ ――チャールズとフアンはドゥルーズという一人…

『狙った獣』マーガレット・ミラー/雨沢泰訳(創元推理文庫)★★★★☆

『Beast In View』Margret Millar,1955年。 裕福で孤独な独身女性ヘレン・クラーヴォーを突如として襲った悪意。エヴリン・メリックと名乗る女性は、その後つぎつぎに人を不幸に陥れようと悪意ある電話や訪問をしてゆきます……。 偏執的な復讐心から人を破滅…

『星読島に星は流れた』久住四季(創元推理文庫)★★★☆☆

数年ごとに隕石が落ちてくるという奇跡の島セントグレース島、通称星読島。星が好きだった妻子に隕石を手向けるため、家庭訪問医の加藤盤は、高倍率のイベントに参加することにした。だが運良く隕石が見つかった直後、隕石回収業者が死体で発見され、隕石も…

『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』十市社(創元推理文庫)★★★☆☆

変な言い方になるけれど、この人はミステリを書こうと思っていたのだろうか、と思ってしまう。だってたぶんプロパーと呼ばれるような人には、こういう騙りは書けないと思う。学校という狭い世界で、なおかつ主人公がハブだから、ぎりぎりで成立している騙り…

『オーブランの少女』深緑野分(創元推理文庫)★★★★☆

『Les Filles dans le jardin Aublanc』深緑野分,2013年。「オーブランの少女」(2010)★★★★★ ――オーブランの庭を管理していた老姉妹が、悪鬼のような老婆に殺された。老姉妹の妹が書いていた日記から、恐るべき事実が明らかになった――。そこでなら病気を治…

『ルーフォック・オルメスの冒険』カミ/高野優訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『Les Aventures de Loufock Holmès』Cami,1926年。 カミの代表作、だと思うのだけれど、長らく品切れ状態だったルーフォック・オルメスものが、新訳&完訳で創元推理文庫に入りました。名作映画のタイトルバックのようなレトロなカバーデザインが印象的。…

『黄昏の彼女たち(下)』サラ・ウォーターズ/中村有希訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Paying Guests』Sarah Waters,2014年。 上巻で明らかになったある事実に対しリリアンが選んだ決意から、物語は意外な展開を見せることになります。 正確に言えば、意外とはいっても過去のミステリに照らせば定跡どおりなのですが、中盤過ぎにフランシ…

『黄昏の彼女たち(上)』サラ・ウォーターズ/中村有希訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Paying Guests』Sarah Waters,2014年。 現代に差し掛かろうかという時代、斜陽階級のレイ母娘が屋敷に下宿人を置くことから物語は始まります。いわばお嬢様から見た庶民、古い時代から見た婦人参政権などが生まれた新しい時代、そうした通常とは異な…

『親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選』山川方夫/高崎俊夫編(創元推理文庫)★★☆☆☆

ミステリ誌に連載された連作集からなる第I部と、それ以外の単発作品を集めた第II部から構成されています。東京創元社から刊行されるくらいですから、「ミステリ」に重きを置いた第I部がメインなのでしょうが、第II部のほうに優れた作品が多かったのも…

『死刑台のエレベーター』ノエル・カレフ/宮崎嶺雄訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『Ascenseur pour l'échafaud』Noël Calef,1956年。 映画化があまりにも有名な作品の、原作小説です。 浮気性の夫と、嫉妬深い妻のやり取りから、小説は始まります。夫のジュリアンは何か企んでいるらしい。やがて夫は同じビルの高利貸しを訪ね、借金の猶予…

『ディナーで殺人を(上)』ピーター・ヘイニング編(創元推理文庫)★★★☆☆

「はしがき」ピーター・ヘイニング/高田惠子訳「第一部 当店のお薦め――有名作家たちの作品」「特別料理」スタンリイ・エリン/田口俊樹訳(The Speciality of the House,Stanley Ellin)★★★★☆ ――ラフラーはコステインをスビロの店に招待した。コステインは…

『あなたならどうしますか?』シャーロット・アームストロング/白石朗他訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『The Albatross』Charlotte Armstrong,1957年。 「あほうどり」白石朗訳(The Albatross,1957)★★★☆☆ ――部屋を間違えた酔っぱらいを、暴漢と間違え殴りつけたトムとエスター・ガードナー夫妻は、翌週の新聞でその男コートニー・コールドウェルが死んだこ…

『星を撃ち落とす』友桐夏(創元推理文庫)★★★☆☆

『The Shooting Star』2012年。 著者による一般デビュー作の文庫化です。 一応のところは三つの短篇が収められていますが、短篇同士は互いにつながっており、次の作品のなかで明かされたことによって、前の作品で描かれていたことの意味が変わってきてしまい…

『まるで天使のような』マーガレット・ミラー/黒原敏行訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『How Like An Angel』Margaret Millar,1962年。 マーガレット・ミラーの代表作、新訳です。 ギャンブルで一文なしになった私立探偵ジョー・クインがヒッチハイクの末に降ろされたのは、新興宗教団体の暮らす〈塔〉と呼ばれる場所でした。一夜の宿を借りた…

『王とサーカス』米澤穂信(東京創元社)★★★★☆

著者の出世作『さよなら妖精』の直接の続編というわけではなく、登場人物の一人である大刀洗万智が大人になってから経験した出来事が綴られています。『街角で謎が待っている がまくら市事件』に収録されていた「ナイフを失われた思い出に」はただの番外編で…

『ユダの窓』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫)★★★★☆

『The Judas Window』Carter Dickson,1938年。 新訳版――というか、創元から出るのは初めてなんですね。 作品そのものもさることながら、なんと巻末に瀬戸川猛資の座談会を初活字化! 瀬戸川猛資×鏡明×北村薫×斎藤嘉久(×戸川安宣)という豪華な顔ぶれが、カ…

『ルピナス探偵団の当惑』津原泰水(創元推理文庫)★★★☆☆

1994年と1995年に講談社X文庫から刊行されていた二篇を全面改稿+書き下ろしを加えたもの、だそうです。だから「二十世紀の黄昏の、」なんですね。 「第一話 冷えたピザはいかが」★★★☆☆ ――犯人は意外ではなかった。その夜、編集者の勤野《ゆめの》麻衣子は…

『ヘビイチゴ・サナトリウム』ほしおさなえ(創元推理文庫)★★★★☆

第12回鮎川賞最終候補作。 ひらがな名前の女性作家に、少女趣味全開のタイトル――これはふわふわな小説に違いないと先入観を持っていました。いけませんね。 古典的、といっていいほどの少女小説にして学園小説にして青春小説でした。少女たちだけの完結した…

『ボールパークの神様』本城雅人(創元推理文庫)★★★☆☆

『God in The Ballpark』2012年。 メジャー球団のクラブボーイになった留学生を主人公とした短篇集に、文庫書き下ろし一篇を加えたものです。『ミステリーズ!』に連載していた『誉れ高き勇敢なブルーよ』の最初の何章かを読んで、骨太なスポーツ小説に惹か…

『Jの少女たち』太田忠司(創元推理文庫)

[創元推理M]『Jの少女たち』太田忠司(創元推理文庫)★★★★☆ 阿南シリーズ第二作。 プロローグに当たる一人の少女の死――。 それに続くのは、阿南が警察をやめて工場で働いているという衝撃的な場面です。そこに現れた私立探偵・藤森涼子から、前作の事件で知…

『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎(創元推理文庫)★★★★★

ヤラレタ。読み終えてから思い返してみれば、トムと出会ったときの〈私〉の状況からして、かの風刺小説へのオマージュでもあったのですね。 戦争に負けた僕たちの町に、顔を泥のようなもので塗った鉄国《てつこく》兵士たちが馬という動物に乗って現れ、銃と…

『太宰治の辞書』北村薫(新潮社/創元推理文庫)★★★☆☆

待望の――というより、もはや期待もしていなかった円紫師匠と〈私〉シリーズの最新作です。――が、何と言っていいのやら。 カバー装画は高野文子……なのですが、現在の高野文子の作風の絵なんですよね。当たり前ですが。 作中の時間も現実と同じように流れてい…

『リレーミステリ 吹雪の山荘』笠井潔ほか(創元推理文庫)★★★★☆

巻頭言が頼もしい。単なるお祭りではなく、一冊の優れたミステリを作りあげようという真摯な思いが伝わってきます。そのためのルールの一つとして、文体の不統一による不自然さを避けるために、名探偵キャラクターを持っている作家を起用し、すでに確立され…

『歌うダイアモンド』ヘレン・マクロイ/好野理恵他訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『The Singing Diamonds and Other Stories』Helen McCloy,1965年。 「まえがき」ブレッド・ハリデイ「東洋趣味《シノワズリ》」今本渉訳(Chinoiserie,1946) 米澤穂信編『世界堂書店』で今本訳を、『EQミステリマガジン』1956年12月号No.006で田中西二…

『朝霧』北村薫(創元推理文庫)★★★★☆

「山眠る」★★★★☆ ――駅のホームで小中学生のころの同級生と一緒になった。鷹城君という本屋の子だ。鷹城君はちょっと複雑な顔をしたあと、「本屋やってて、やなこともあるぜ」と言った。「本郷の親父さん、校長先生をしていたろう。ずっと一人で、堅物という…

『怪盗ニック全仕事1』エドワード・D・ホック/木村二郎訳(創元推理文庫)★★★☆☆

怪盗ニックのシリーズはこれまでハヤカワ文庫のオリジナル編集で出されていましたが、ハヤカワ版に未収録の作品も含めて全作品を年代順に網羅しようという試みの、第一集です。邦題が「〜を盗め」に統一されました。 「斑の虎を盗め」(The Theft of the Clo…

『いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集』ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『Don't Look Now and Other Stories』Daphne du Maurier,1971年。 解説にも紹介文にもいっさい説明がありませんが、むかし三笠書房から出ていた『真夜中すぎでなく』の新訳版という位置づけになるようです。 「いま見てはいけない」(Don't Look Now,1966…

『夜の床屋』沢村浩輔(創元推理文庫)★★★☆☆

単行本『インディアン・サマー騒動記』改題文庫化。 「夜の床屋」★★★☆☆ ――僕と高瀬は草深い山道を歩いていた。道に迷ったままたどり着いたのは、無人駅だった。それでも野宿に比べれば天国だ。十一時過ぎ。トイレに行った高瀬が信じられないものを見た。廃屋…

『街角で謎が待っている がまくら市事件』秋月涼介他(創元推理文庫)★★★☆☆

『晴れた日は謎を追って』に続き、『蝦蟇倉市事件2』の文庫化です。 「さくら炎上」北山猛邦 ★★★☆☆ ――桜の下に陽子を見つけた。驚かせようとこっそり近づいたとき、駆け寄ってくる男に気づいた。私と陽子が通う蝦蟇倉大学付属高校の生徒だ。二人はどんな関…


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