『千霊一霊物語』アレクサンドル・デュマ/前山悠訳(光文社古典新訳文庫) 『Les Mille et un fantômes』Alexandre Dumas,1849年。 角川文庫の怪奇小説アンソロジーに「蒼白の貴婦人」が単独で訳載されていたので、てっきり本書も怪奇小説短篇集だと思い込…
『ボルジア家風雲録(上・下)』アレクサンドル・デュマ/吉田良子訳(イースト・プレス) 『Crimes célèbres』「Les Borgia」Alexandre Dumas,1840 この作品には二つの特徴があります。一つには「評伝」だということ、二つ目は「ロマンスや冒険」が描かれ…
『La Tulipe noire』Alexandre Dumas,1850年。 カバーあらすじには「黒いチューリップの創造に没頭する青年コルネリウス」とありますし、あまり面白いという評判も聞かなかったので、チューリップ栽培家がひたすら研究を重ねるだけの地味〜な話なのかと思っ…
『最後の錬金術師 カリオストロ伯爵』に続いて、本書を読み返してみることに。こちらは主にジョヴァンニ・バルベリ(マルチェッロ神父)の『カリオストロの生涯と行状』を軸に、それを批判的に読んでいくといった内容でした。そもそも『生涯と行状』という書…
『The Last Alchemist: Count Cagliostro, Master of Magic in the Age of Reason』Ian McCalman,2003年。 カリオストロ伯爵ことジュゼッペ・バルサモの評伝。 果たして奇跡の魔術師だったのか? 単なる詐欺師だったのか? これまでわたしはカリオストロが…
『Les trois mousquetaires』Alexandre Dumas,1844年。 ひさびさに読み返してみました。この版はアトスたちが「〜じゃ」とかしゃべっていて困ってしまいますね。 読み返して思ったのは、ダルタニャンがバカだってことです(^^;。友情や愛情やプライドが…
『Le Capitaine Richard』Alexandre Dumas,1858年。 電子書籍販売サイト『グーテンベルク21』に有志の方が翻訳を提供されたもので、現在のところ紙媒体はありません。 ナポレオンの許で再会を果たしたポールとルイのリシャール兄弟は、運命にもてあそばれ…
NHKのテキスト小冊子。『モンテ・クリスト伯』のあらすじと、なぜ面白いのか、デュマの生涯、を四回に分けて佐藤氏が綴ったもの。ナポレオンに遺族年金を停止されて父のおさがりを着ざるを得なかったのを、「ダボダボで体のサイズに合わないことで、よけ…
『Kean』Alexandre Dumas,1836年。 戯曲。散文。イギリスが舞台の現代劇。 キーンは名の知れたシェイクスピア俳優だった。女にもモテたが、キーンが真に愛しているのはケフェルト伯爵夫人エレナだけであった。ところが財産目当ての婚約者メヰル卿との結婚式…
『吸血鬼』アレクサンドル・デュマ,1851年。 戯曲。散文。マケ共作。 スペイン山中。ロゾ親方の宿屋は娘の結婚パーティの準備でにぎわっていた。パーティの出席者で部屋があふれたため、使用人のラザールは追い出されることになった。宿を取りに来た旅人た…
『Les Mohicans de Paris』『Salvator』Alexandre Dumas et Paul Bocage,1854-1859年。 長いっ! 本書を前に真っ先に感じるのは、何よりもその長大さです。便宜的に『パリのモヒカン族』『サルヴァトール』の二部に別れていますが、本当に単なる便宜的なも…
『Marie Stuart 1587』Alexandre DUMAS,1840年。 スコットランドの「悲劇の女王」メアリー・スチュアートの評伝(小説)。 ですがなにしろ著者がデュマなので、政治的な意味がどうこうということはほとんど描かれず、あるときは恋愛、あるときは誇り、ある…
デュマ『ジョゼフ・バルサモ』の翻訳である櫻田百衛『西の洋血潮暴風』の続編に当たります。新聞からの影印本なので読みづらくってしょうがありません。取りあえず緒言と第一回を読みました。 緒言によると、櫻田死去のため自分が続きを書いたとのこと。また…
『ハムレット デンマークの王子』シェイクスピア戯曲の仏訳、韻文。 アンドレ・モーロワ『アレクサンドル・デュマ』のなかに、「これは、デュマが脚色した、おかしな「ハムレット」だった。彼はこの芝居をハッピー・エンドにするために、シェクスピアのよう…
『アンリ三世とその宮廷』、戯曲(散文)。 時は三アンリの時代。カトリーヌ・ド・メディシスが占星術師ルジェーリのもとを訪れていた。アンリ三世に対する自らの影響力を持ち続けるためには、王の寵臣サン=メグランとカトリック同盟ギーズ公が邪魔だったの…
『Le trou de l'enfer』Alexandre DUMAS,1851年。 千八百十年五月十八日の夜のこと、二人の旅人が嵐の中オーデルワントの險しい峡谷を旅してゐた。彼等はハイデルベルヒ大學の學生である。「……飛んだ目に遇ふもんだな。サミエル。」突然、馬が恐怖の叫びを…
アレクサンドル・デュマ『ジョゼフ・バルサモ』の翻案。原作の第二十章まで。単行本化名『西洋血潮小暴風』。 訳文は講談風の名調子。 序章に当たる部分はかなり原作に忠実に翻訳されています。冒頭の風景描写まできっちり訳されているのには驚きました。山…
『Le Chevalier de Maison-Rouge』Alexandre Dumas,1845〜46年。 タンプル塔に幽閉されているマリ=アントワネット救出作戦と、ひょんなことから事件にかかわることになったモオリス・ランデイの恋を描いた作品です。 時系列的には『ある医師の回想』四部作…
『Catherine Blum』Alexandre DUMAS,1854年。 帯には「フランス初の推理小説」「名探偵登場!!」とありますが、正直そんなに期待してはいませんでした。ところが読んでびっくり、意外と面白かったです。 劇作家だったころの初期作品というわけでもないのに…
『Les Trois Dumas』André Maurois,1957年。 原題『三人のデュマ』が示すとおり、三代にわたるアレクサンドルの伝記です。デュマ・ペールの父であるトマ=アレクサンドルについてはほんの少ししか書かれていませんが。 大デュマと小デュマは活躍した時期が…
『Pauline』Alexandre DUMAS,1838年。 語り手が友人から聞かされる話という枠物語形式、しかもそのきっかけは友人と謎の美女を語り手が目撃したことに始まり、その内容は囚われの美女を救う話、殺人紳士の裏の顔、病身(毒だけど)の恋人との悲恋、植民地で…
デュマの原作を半分に縮めたダイジェスト版。デュマを凝縮したらめちゃくちゃ面白くなるような気がするんですが、意外とそうでもありませんでした。親切なつもりの「あらすじ」部分がかえって物語を寸断しています。思い切ってばっさり切るなり翻案してくれ…
『La Dame de Monsoreau』Alexandre DUMAS,1845年。 メロドラマと歴史を掛け合わせるのがほんとうにうまいデュマの歴史小説。日本人にはビュッシーもモンソロー夫人も馴染みがないためタイトルだけではピンと来ないものの、実はデュマの代表作の一つだそう…
いよいよ首飾り事件も核心に迫ってきました。ボージールたちによる計画でワンクッション置かれているのが、相変わらず上手いです。いかにもフィクションめいたはったりの楽しいコンゲームに気を取られていると、すとんと史実に接合されたのでびっくりしまし…
『Le collier de la reine』Alexandre DUMAS,1849年。 第一部『ジョゼフ・バルサモ』を訳している関係上、第二部である本書も久しぶりに読み返してみました。 序章のはったりかましたようなかっこよさは記憶に残っていたのですが、『ジョゼフ・バルサモ』と…
パリの子爵アルベールとフランツは、月旅行中に、モンテ・クリスト伯と名乗る謎めいた男に出会った。伯爵はアルベールの命を助け、地球での再会を約す。 後日、アルベールは婚約者のユージェニーやフランツたちを招いてパーティを開いていた。そこへ約束通り…