『小説新潮』2017年12月号【ファンタジー小説の現在】

勝山海百合の作品「落星始末」目当てで買ったのですが、読まずにいるうちに『短篇ベストコレクション 現代の小説2018』に収録されてしまったので、ほかの作品だけ読みました。……と言ってもあまり読むものがありません。『隣のずこずこ(抄)』柿村将彦 ――隣…

『文学ムック たべるのがおそい』vol.6【特集 ミステリ狩り】

【特集 ミステリ狩り】「ボイルド・オクトパス」佐藤究 ――かつて筆者は「フォーマー・ディテクティヴ」というノンフィクションを連載していた。引退した元刑事の日常を取り上げた。これからお読みいただくのは、最終回を飾るはずだったエピソードである。唯…

『MONKEY モンキー』vol.3【特集 こわい絵本】

「GHOST GOES IN THE DOOR」JON KLASSEN★★★★★「まぶたのある生きものは」ジョン・クラッセン・絵/小川洋子・文★★★★★ ――まぶたのある生きものは/一種類の世界しか見られない。/だからもし、すぐ隣に座る君に/話し掛けなかったとしても許してほしい。 文章…

『マンガ・エロティクス・エフ』Vol.74【不思議の国のつばな】

買いそびれていた雑誌を購入。つばなインタビュー&対談。(当時の)つばな新連載「バベルの図書館」および、石黒&ツナミノ鼎談、99の質問、NHK・FMシアター訪問。学生時代のつばなさんが、友だちだと思って知らない人に歌を歌って引っ込みがつかずにそのま…

『小説新潮』2013年9月号【特集 幻視者の系譜】

「食書」小田雅久仁 ★★★★☆ ――書店の横の便所の戸を開けると、女が便器の蓋を下ろし、その上に腰かけていた。本を読んでいるわけではない。女はそのページを破り取り、わしゃわしゃと丸めはじめたかと思うと、口に押しこみ咀嚼する様子だ。 本を食べて本の世…

『アフタヌーン』2013年8月号

『げんしけん 二代目』89「フェスティバル・EVOL」木尾士目 巻頭カラー。女装をやめた波戸くんが、斑目先輩をふっきるために取った行動とは――。『芸能すまいる日和』(1)十野七 新連載。四季大賞受賞者による萌オタク向け漫画。『おおきく振りかぶって…

『ゲッサン』2013年6月号、『アフタヌーン』2013年7月号

『ゲッサン』2013年6月号 創刊4周年記念。アメコミ調の表紙で登場。『ひとりぼっちの地球侵略』15「雲上之茶会」小川麻衣子 巻頭カラー。アイラのお婆さまとの会談、は何事もなく済みましたが、凪から衝撃の一言が。『切り裂きウォルター』3「化け物の腕」…

『MASTERキートン Reマスター』5「女神とサンダル」浦沢直樹(『ビッグコミックオリジナル』2013年5月20日号

『MASTERキートン Reマスター』5「女神とサンダル」浦沢直樹 日本に戻ってきたキートンは、昔なじみの女性・トレメイン直美を守ってほしいと太平から頼まれる。向かいの家の男が、飼い猫・サンダルが温室に忍び込んだのを恨み、猫と直美の命を狙っているとい…

『ユリイカ』1月臨時増刊号(平成24.12.25/44-16)【百人一首 三十一文字にこめられた想い】

水原紫苑の対談が掲載されているので購入しました。『ちはやふる』のおかげで競技かるたブームであるらしく、それにともなう百人一首特集のようです。目次の裏に百首すべて掲載されています。「百人一首の魅力 恋歌を主軸として」有吉保 百人一首の大部分を…

『週刊少年サンデー』2013年3月13日15号

『月光条例』「かぐや姫(38)」藤田和日郎 ネットで話題になっていたので読んでみることに。ああ、なるほど。ルイス・キャロルが好きな人は買っておいた方がいいかもしれません。

『読楽』2013年3月号

「化石少女(4)移行殺人」麻耶雄嵩 ――廃部の危機にある叡電部は、しがらみのある嵐電部との合併を有利に進めるため、文化祭でポイントを稼ぎたがっていた。だが部員の一人がレールで頭を殴られ、製作途中の展示模型は無惨に壊されているのが見つかった。 本…

『小説新潮』2013年2月号【推理小説的日常《ミステリーライフ》】

麻耶雄嵩の新作が載っていたので購入。「五十二年目の遠雷」伊予原新 ★★★★☆ ――「雷を探してくれ」探偵事務所を訪れた男性はそう言った。五十二年前に神社で起こった火災。火の気がないことから、放火か落雷が原因と思われていたが、それを改めて確かめてほし…

『ナイトランド』Vol.3 2012年9月【異界への扉/追悼レイ・ブラッドベリ】

「夜の夢見の川」カール・エドワード・ワグナー/中村融訳(The River of Night's Dreaming,Karl Edward Wagner,1981)★★★★☆ ――護送車が転落したのに乗じて彼女は湾を泳いで逃げ出した。たどり着いたのは老婦人とそのメイドらしき娘の住む家だった。 ゴシ…

『東西ミステリーベスト100』週刊文春臨時増刊1月4日号

何気なく購入したところ、北村薫と折原一の対談と、前回ベスト100時の瀬戸川猛資の座談会が掲載されていました。前回の「あらすじ」「うんちく」のどれを北村氏と折原氏が書いたのかが明らかにされています。あと瀬戸川氏がどれを書いたのかも、後輩がい…

『読楽』2012年11月号

『化石少女』(3)「自動車墓場」麻耶雄嵩 ――考古学部の合宿にやって来たまりあと彰。化石の発掘現場でスコールに降られて合宿所に戻る途中、廃車のなかに、来るときにはなかった死体を発見した。 今回は今までにも増して説得力のないまりあの推理いいがかり…

『GUNSLINGER GIRL』最終話(『電撃大王』2012年11月号)

『GUNSLINGER GIRL』が第100話をもって最終回を迎えました。タイトルは「希望」。 長い長いエピローグもこれにて終了。あれから数年後が描かれた、ほんとうのエピローグです。でも「その後」が描かれていない人たちがまだまだいます。クラエスはそれまでどお…

『ナイト・ランド NIGHT LAND』vol.2【ネクロノミコン異聞/モンスター・ゾーン】

【ネクロノミコン異聞】「シムーンズの紅の書」マイクル・ファンティナ/夏来健次訳(The Red Book of Simoons,Michael Fantina,2010)★★★☆☆ ――旧友のエプスフィールドが、かの稀覯書『死霊秘法《ネクロノミコン》』のなかの八ページを所有していて、それ…

『小説新潮』2012年9月号【Fantastic Fantasy】

「鳥語不同」勝山海百合 ――欧相岩が遠い異郷の珍しい風物や習慣について書き記した『鳥語不同録』――書かれている場所の多くは「二度は行かれぬ在郷」だ。女ばかりの村、よそ者との接触を忌避している村……。 『さざなみの国』番外編。「イチコさん」で新境地…

『小説すばる』2012年8月号【ノスタルジック怪談】

【ノスタルジック怪談】「遠い夏の記憶」朱川湊人 ――「十日ばかりヒショに行かへんか」。行く先で死んだ子の代わりをしてほしい。オヤジに頼まれ、訪れた家で俺は楽しく過ごしていた。あの夜が来るまでは。(袖コピーより) 金縛りが物体化・視覚化されてい…

『読楽』2012年7月号

「化石少女 第二話 真実の壁」麻耶雄嵩 ――まりあと彰が文化祭に向けてエディアカラ生物群のジオラマを作っていると、落雷とともに停電が起こった。照明が回復すると同時に、向かいの体育館の壁に人影が浮かび上がった。女子と思われる人影に短髪の男らしき人…

『マヨヒガ』vol.1

「遠野文化友の会会報」とあります。勝山海百合の短篇目当てに購入。遠野文化研究センター設立へのメッセージも寄稿されてました。「マヨヒガの犬」勝山海百合 ――東条が店の前で牛乳を飲んでいると、犬が吠えた。梵天、駄目だ、とリードを引いた男が犬を叱っ…

『読楽』2012年4月号

「化石少女」麻耶雄嵩 ――部員が神舞まりあ先輩と桑島彰の二人しかいない古生物部は、廃部の危機に陥っていた。そんな折り、新聞部部長が殺されて、古生物部にあったシーラカンスのかぶりものをかぶった犯人の姿が目撃されていた。変人のまりあ先輩は、事件を…

『メフィスト』2010年VOL.3

「収束」麻耶雄嵩 ★★★★★ ――後に連続射殺事件としてマスコミを賑わすことになる洋館に、メルカトルと私が訪れたのは、九月も半ばのことだった。現在の所有者は小針満英。五年前、突如宗教家に転身し、今は彼を信奉している五人の若者と二人の使用人とともに、…

『文藝』2009年春【特集・柴田元幸】

高橋源一郎との対談、古川日出男との対談、岸本佐知子との対談、世界文学の冒頭だけたくさん翻訳、ヒレア・ベロック&エドワード・ゴーリー「子供のための教訓物語」、川上弘美ほか寄稿エッセイ、ノーマン・ロック『雪男たちの国』一部訳、翻訳書リスト、英…

『CREA(クレア)』2008年9月号【読書の快楽!】

桜庭一樹が選ぶ「人生の100冊」と江國香織×川上弘美「私の好きな恋愛小説」というのを新聞広告で発見して購入。◆「東野圭吾×福山雅治対談」 「ガリレオ」主演の福山雅治と原作者の対談◆「宮部みゆきの“頭の中”を大公開!」 二ページのインタビュー。主に新作…

『IN★POCKET』2008年7月号【対談 川上弘美×岸本佐知子】

『変愛小説集』出版記念の、川上弘美×岸本佐知子の対談が掲載されています。飲み友だちであるらしい。 川上さんがSFの話になると(文字だけ読んでも)目の色が変わったように感じられるのが何だか可笑しい(^^)。字面の感じでは二人ともいちばん盛り上…

『考える人』2008年春号No.24【海外の長篇小説ベスト100】★★★★★

特集自体も魅力的なんだけど、高野文子の対談が掲載されていたので迷わず購入。来月号には高野文子論が載るそうです。 「長篇小説はどこからきてどこへゆくのか」丸谷才一インタビュー 長篇小説とは何かを考えるとっかかりとして、文学賞で選考するときの基…

『國文學』2008年5月号【翻訳を越えて】

「初めにことばがあった」柳父章 確かに「初めに言葉ありき」ってのはピンと来なかったんですよね、わたしは。「ロゴス」=「言葉」でいいの?って。だけどなるほどキリスト教の宣教と翻訳というのは、他宗教と比べると異質なのですね。これが一つの真相かど…

『英語青年』2008年5月号No.1991号【『レベッカ』とデュ・モーリア】

『レベッカ』特集とはいっても一篇は映画『レベッカ』論なので、実質三篇。鴻巣友希子「『レベッカ』追想」は、名前のない語り手に焦点を当てたエッセイだけど、特に鋭い指摘とかはない。新井潤美「「お嬢様作家」としてのデュ・モーリア」は、当時のイギリ…

『別冊文藝春秋』2008年1月号

「プリンセス・トヨトミ」万城目学 ――会計検査院第六局副長松平元の身分は、公務員である。受験した全四万人のなかでの、トップ合格者だった。「どうしてウチに入ったのか?」と訊ねられ、「検査がしたかったからです」と簡潔に答えた。 連載第一回。初めて…


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