勝山海百合の作品「落星始末」目当てで買ったのですが、読まずにいるうちに『短篇ベストコレクション 現代の小説2018』に収録されてしまったので、ほかの作品だけ読みました。……と言ってもあまり読むものがありません。『隣のずこずこ(抄)』柿村将彦 ――隣…
【特集 ミステリ狩り】「ボイルド・オクトパス」佐藤究 ――かつて筆者は「フォーマー・ディテクティヴ」というノンフィクションを連載していた。引退した元刑事の日常を取り上げた。これからお読みいただくのは、最終回を飾るはずだったエピソードである。唯…
「一壜のペリエ水」イーディス・ウォートン/小林晋訳(A Bottle of Perrier,Edith Wharton1926) ――考古学アメリカン・スクール所属のメドフォードは、変わり者のイギリス人の友人アーモドハムに会いに砂漠を訪れたが、アーモドハムは不在だった。イギリス…
「シューゲイザー」イトウアキ ――田舎の山を走り回るのが好きな月葉。一人になりたい月葉は、女子からはむっとされ男子からはクールだと憧れられていた。笑顔で山を走っているところを転校生・春雪に見られ、トレイルランニングに誘われることになった。 四…
「GHOST GOES IN THE DOOR」JON KLASSEN★★★★★「まぶたのある生きものは」ジョン・クラッセン・絵/小川洋子・文★★★★★ ――まぶたのある生きものは/一種類の世界しか見られない。/だからもし、すぐ隣に座る君に/話し掛けなかったとしても許してほしい。 文章…
買いそびれていた雑誌を購入。つばなインタビュー&対談。(当時の)つばな新連載「バベルの図書館」および、石黒&ツナミノ鼎談、99の質問、NHK・FMシアター訪問。学生時代のつばなさんが、友だちだと思って知らない人に歌を歌って引っ込みがつかずにそのま…
「食書」小田雅久仁 ★★★★☆ ――書店の横の便所の戸を開けると、女が便器の蓋を下ろし、その上に腰かけていた。本を読んでいるわけではない。女はそのページを破り取り、わしゃわしゃと丸めはじめたかと思うと、口に押しこみ咀嚼する様子だ。 本を食べて本の世…
『げんしけん 二代目』89「フェスティバル・EVOL」木尾士目 巻頭カラー。女装をやめた波戸くんが、斑目先輩をふっきるために取った行動とは――。『芸能すまいる日和』(1)十野七 新連載。四季大賞受賞者による萌オタク向け漫画。『おおきく振りかぶって…
『ゲッサン』2013年6月号 創刊4周年記念。アメコミ調の表紙で登場。『ひとりぼっちの地球侵略』15「雲上之茶会」小川麻衣子 巻頭カラー。アイラのお婆さまとの会談、は何事もなく済みましたが、凪から衝撃の一言が。『切り裂きウォルター』3「化け物の腕」…
『MASTERキートン Reマスター』5「女神とサンダル」浦沢直樹 日本に戻ってきたキートンは、昔なじみの女性・トレメイン直美を守ってほしいと太平から頼まれる。向かいの家の男が、飼い猫・サンダルが温室に忍び込んだのを恨み、猫と直美の命を狙っているとい…
水原紫苑の対談が掲載されているので購入しました。『ちはやふる』のおかげで競技かるたブームであるらしく、それにともなう百人一首特集のようです。目次の裏に百首すべて掲載されています。「百人一首の魅力 恋歌を主軸として」有吉保 百人一首の大部分を…
『月光条例』「かぐや姫(38)」藤田和日郎 ネットで話題になっていたので読んでみることに。ああ、なるほど。ルイス・キャロルが好きな人は買っておいた方がいいかもしれません。
「化石少女(4)移行殺人」麻耶雄嵩 ――廃部の危機にある叡電部は、しがらみのある嵐電部との合併を有利に進めるため、文化祭でポイントを稼ぎたがっていた。だが部員の一人がレールで頭を殴られ、製作途中の展示模型は無惨に壊されているのが見つかった。 本…
麻耶雄嵩の新作が載っていたので購入。「五十二年目の遠雷」伊予原新 ★★★★☆ ――「雷を探してくれ」探偵事務所を訪れた男性はそう言った。五十二年前に神社で起こった火災。火の気がないことから、放火か落雷が原因と思われていたが、それを改めて確かめてほし…
「夜の夢見の川」カール・エドワード・ワグナー/中村融訳(The River of Night's Dreaming,Karl Edward Wagner,1981)★★★★☆ ――護送車が転落したのに乗じて彼女は湾を泳いで逃げ出した。たどり着いたのは老婦人とそのメイドらしき娘の住む家だった。 ゴシ…
何気なく購入したところ、北村薫と折原一の対談と、前回ベスト100時の瀬戸川猛資の座談会が掲載されていました。前回の「あらすじ」「うんちく」のどれを北村氏と折原氏が書いたのかが明らかにされています。あと瀬戸川氏がどれを書いたのかも、後輩がい…
『化石少女』(3)「自動車墓場」麻耶雄嵩 ――考古学部の合宿にやって来たまりあと彰。化石の発掘現場でスコールに降られて合宿所に戻る途中、廃車のなかに、来るときにはなかった死体を発見した。 今回は今までにも増して説得力のないまりあの推理いいがかり…
『GUNSLINGER GIRL』が第100話をもって最終回を迎えました。タイトルは「希望」。 長い長いエピローグもこれにて終了。あれから数年後が描かれた、ほんとうのエピローグです。でも「その後」が描かれていない人たちがまだまだいます。クラエスはそれまでどお…
【ネクロノミコン異聞】「シムーンズの紅の書」マイクル・ファンティナ/夏来健次訳(The Red Book of Simoons,Michael Fantina,2010)★★★☆☆ ――旧友のエプスフィールドが、かの稀覯書『死霊秘法《ネクロノミコン》』のなかの八ページを所有していて、それ…
「鳥語不同」勝山海百合 ――欧相岩が遠い異郷の珍しい風物や習慣について書き記した『鳥語不同録』――書かれている場所の多くは「二度は行かれぬ在郷」だ。女ばかりの村、よそ者との接触を忌避している村……。 『さざなみの国』番外編。「イチコさん」で新境地…
【ノスタルジック怪談】「遠い夏の記憶」朱川湊人 ――「十日ばかりヒショに行かへんか」。行く先で死んだ子の代わりをしてほしい。オヤジに頼まれ、訪れた家で俺は楽しく過ごしていた。あの夜が来るまでは。(袖コピーより) 金縛りが物体化・視覚化されてい…
「化石少女 第二話 真実の壁」麻耶雄嵩 ――まりあと彰が文化祭に向けてエディアカラ生物群のジオラマを作っていると、落雷とともに停電が起こった。照明が回復すると同時に、向かいの体育館の壁に人影が浮かび上がった。女子と思われる人影に短髪の男らしき人…
「遠野文化友の会会報」とあります。勝山海百合の短篇目当てに購入。遠野文化研究センター設立へのメッセージも寄稿されてました。「マヨヒガの犬」勝山海百合 ――東条が店の前で牛乳を飲んでいると、犬が吠えた。梵天、駄目だ、とリードを引いた男が犬を叱っ…
「化石少女」麻耶雄嵩 ――部員が神舞まりあ先輩と桑島彰の二人しかいない古生物部は、廃部の危機に陥っていた。そんな折り、新聞部部長が殺されて、古生物部にあったシーラカンスのかぶりものをかぶった犯人の姿が目撃されていた。変人のまりあ先輩は、事件を…
「収束」麻耶雄嵩 ★★★★★ ――後に連続射殺事件としてマスコミを賑わすことになる洋館に、メルカトルと私が訪れたのは、九月も半ばのことだった。現在の所有者は小針満英。五年前、突如宗教家に転身し、今は彼を信奉している五人の若者と二人の使用人とともに、…
高橋源一郎との対談、古川日出男との対談、岸本佐知子との対談、世界文学の冒頭だけたくさん翻訳、ヒレア・ベロック&エドワード・ゴーリー「子供のための教訓物語」、川上弘美ほか寄稿エッセイ、ノーマン・ロック『雪男たちの国』一部訳、翻訳書リスト、英…
桜庭一樹が選ぶ「人生の100冊」と江國香織×川上弘美「私の好きな恋愛小説」というのを新聞広告で発見して購入。◆「東野圭吾×福山雅治対談」 「ガリレオ」主演の福山雅治と原作者の対談◆「宮部みゆきの“頭の中”を大公開!」 二ページのインタビュー。主に新作…
『変愛小説集』出版記念の、川上弘美×岸本佐知子の対談が掲載されています。飲み友だちであるらしい。 川上さんがSFの話になると(文字だけ読んでも)目の色が変わったように感じられるのが何だか可笑しい(^^)。字面の感じでは二人ともいちばん盛り上…
特集自体も魅力的なんだけど、高野文子の対談が掲載されていたので迷わず購入。来月号には高野文子論が載るそうです。 「長篇小説はどこからきてどこへゆくのか」丸谷才一インタビュー 長篇小説とは何かを考えるとっかかりとして、文学賞で選考するときの基…
「初めにことばがあった」柳父章 確かに「初めに言葉ありき」ってのはピンと来なかったんですよね、わたしは。「ロゴス」=「言葉」でいいの?って。だけどなるほどキリスト教の宣教と翻訳というのは、他宗教と比べると異質なのですね。これが一つの真相かど…