『F THE TRiBUTE 藤子・F・不二雄トリビュート&原作アンソロジー』★★★☆☆ 2014年に『Fライフ』3号に掲載されたトリビュート作品8作に、描き下ろし8作を加え、お気に入りの原作作品とインタビューも追加した作品集。2024年11月22日発売。 てっきり描き下…
『おはしさま 連鎖する怪談』三津田信三・薛西斯・夜透紫・瀟湘神・陳浩基/玉田誠訳(光文社)『筷:怪談競演奇物語』2020年。 台湾の出版社の企画による、台湾・香港・日本の作家による「箸」がテーマのホラーミステリ競作集――のはずなのですが、あとがき…
『移動迷宮 中国史SF短篇集』大恵和実編訳(中央公論社) 中国史SFといっても、かなり歴史ネタが強いものから過去が舞台のファンタジーに近いものまで、さまざまです。「孔子、泰山に登る」飛氘《フェイダオ》/上原かおり訳(一览众山小,飞氘,2009)★★☆…
『猫のまぼろし、猫のまどわし』東雅夫編(創元推理文庫) 怪奇・幻想・ファンタジーのなかから猫が題材のものを選んだアンソロジー。似たような作品が集まるのは避けられないし、関連作品として類話や元ネタを並べてある場合もありますが、基本的に「化ける…
『短編ミステリの二百年3』マクロイ、エリン他/小森収編(創元推理文庫) 第3巻はEQMMコンテスト受賞作&受賞作家が収録されています。さすがに力作・傑作揃いでした。 「ナボテの葡萄園」メルヴィル・デイヴィスン・ポースト/門野集訳(Naboth's Vi…
『島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー』陳浩基・知念実希人・他(講談社) 2021年刊。 まるで経済成長に合わせるかのように、乗りに乗っていた中国ミステリ&SF。アジア圏ミステリの紹介では先鞭をつけていた島田荘司氏による日華競演アンソロジーが満…
『中国・アメリカ 謎SF』柴田元幸・小島敬太編訳(白水社) 『三体』やテッド・チャンやケン・リュウ以外にも、「とにかく面白い作品を書いてる新しい世代のSF作家が大勢いて、まだ日本では全然紹介されていない」ことから、編者がそれぞれ中国とアメリ…
『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』パオロ・コニェッティ他/関口英子、橋本勝雄、アンドレア・ラオス編(国書刊行会) 日本オリジナルの21世紀イタリア文学アンソロジー。 小野正嗣による序文が収録されていますが、内容にがっつり踏み込…
『幻想と怪奇』15【霊魂の不滅 心霊小説傑作選】「欧米心霊学略年譜」「モレル夫人の最後の降霊会」エドガー・ジェプスン/髙橋まり子訳(Mrs. Morrel's Last Seance,Edgar Jepson,1912)★★★☆☆ ――二年前の冬、わたしはモレル夫人の降霊会にすべて出席した…
『平成怪奇小説傑作集2』東雅夫編(創元推理文庫) 後半は『幽』やてのひら怪談作家が占めます。ということは怪談実話ブームもこの頃だったでしょうか。 「匂いの収集」小川洋子(1998)★★★★☆ ――僕は彼女に髪をといてもらうのが好きだ。彼女が触れたとたん…
『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテム編/中村融他訳(竹書房文庫) 『Zion's Fiction: A Treasury of Israeli Speculative Literature』Sheldon Teitelbaum and Emanuel Lottem ed.,2018年。 …
『ラテンアメリカ怪談集』J・L・ボルヘス他/鼓直編(河出文庫) 1990年に出ていたものの新装復刊本。編者あとがきによればラテンアメリカにはジャンルとしての怪談は(少なくとも当時)なかったらしく、あとがきもほとんどが幻想小説について割かれていま…
『revisions 時間SFアンソロジー』大森望編(ハヤカワ文庫JA) 時間SFアニメ『revisions』放映に乗っかって編まれた時間SFのアンソロジー。アニメとは内容は無関係の純粋なアンソロジーです。未知の作家と好きな作家だけ読みました。 「退屈の檻」リチ…
『世にもふしぎな動物園』小川洋子・東川篤哉他(PHP文芸文庫) 帯によると、「ペンネームに隠れた『どうぶつ』をテーマに、豪華作家陣が紡ぐ前代未聞のアンソロジー」。『どうぶつたちの贈り物』の改題文庫化です。巻末の広告ページによれば、伊坂幸「犬」…
『短編宇宙』集英社文庫編集部編(集英社文庫) 宇宙をテーマにした文庫オリジナルのアンソロジー。 「南の十字に会いに行く」加納朋子(2017)★★★☆☆ ――今朝いきなり、「七星《ななせ》、南の島へ行くぞ。石垣島だよ」とパパが言った。「なんで急に?」「い…
『挿絵叢書 竹中英太郎(一)怪奇』末永昭二編(皓星社) 挿絵叢書というシリーズ名からわかるとおり、「可能な限り発表当時のレイアウトに近づけ」「必ずしも傑作小説集を目指さず、あくまで挿絵の魅力を堪能しうる作品を選」んだ(「序」より)ものであり…
『アンソロジー 隠す』大崎梢他(文春文庫) 女性作家の集まり〈アミの会(仮)〉による書き下ろしアンソロジー第三弾(の文庫化)。加納朋子『少年少女飛行俱楽部』の前日譚「少年少女秘密基地」目当てで購入。好きな作家と未知の作家を読む。 「理由」柴田…
『幻想と怪奇』14【ロンドン怪奇小説傑作選】「ロンドン怪奇小説地図」「アッシュ氏の画室」H・R・ウェイクフィールド/渦巻栗訳(Mr. Ash's Studio,H. R. Wakefield,1932)★★★☆☆ ――道路工事が終わるまで、別の仕事場を借りなければ長篇小説を完成させら…
『悲劇への特急券 鉄道ミステリ傑作選〈昭和国鉄編Ⅱ〉』佳多山大地編(双葉文庫) 第一集がトラベル・ミステリーの作者による傑作集だったのに対し、第二集である本書にはトラベル・ミステリー作家に限らない鉄道ミステリが集められていました。 「探偵小説…
『時のきざはし 現代中華SF傑作選』立原透耶編(新紀元社) 『The Stairway of the Time: An Anthology of Chinese Contemporary Science Fiction』2020年。 日本オリジナル編集の中華SF傑作選。「太陽に別れを告げる日」江波《ジアン・ボー》/大久保洋…
『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆「挑戦」バッド・シュールバーグ/門野集訳(The Dare,Budd Schulberg,1949)★★★☆☆ ――ポールは海を見つめていた。モーターボートと水上スキーの娘が…
『美女と竹林のアンソロジー』森見登美彦リクエスト!(光文社文庫) 森見登美彦編纂の本書のテーマは美女と竹林。そのまんまです。森見登美彦にしか編纂できないアンソロジーではあります。 「来たりて取れ」阿川せんり(2018)★★★☆☆ ――北海道に竹林はない…
『放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー』青崎有吾・斜線堂有紀ほか(創元推理文庫) 『Highschool Detectives II』2020年。 新鋭による学園ミステリ『放課後探偵団』、10年ぶりの第2弾です。ほとんどが未読の作家でした。第一集とは違い、…
『博奕のアンソロジー』宮内悠介リクエスト!(光文社文庫) 編者リクエストによる書き下ろしアンソロジー・シリーズ第2期の1冊。 「獅子の町の夜」梓崎優(2018)★★★☆☆ ――仕事で訪れたシンガポールで、僕はバカンス中の老夫妻に出会った。シンガポールで…
『線路上の殺意 鉄道ミステリ傑作選〈昭和国鉄編〉』佳多山大地編(双葉文庫) 同じ双葉文庫から『トラベル・ミステリー聖地巡礼』を出していることからも、鉄道ミステリ好きなことが窺える佳多山大地氏による、国内傑作選です。埋もれた名作ではなく、「大…
『20世紀ラテンアメリカ傑作選』野谷文昭編訳(岩波文庫) 一番新しい作品で1991年、古いものだと今から百年以上前の1912年の作品が収録されています。テーマごとに四つの部に分けられていますが、各テーマの範囲が広すぎてテーマ別に分ける必要性が感じられ…
『幻想と怪奇』12【イギリス女性作家怪談集 メアリー・シェリーにはじまる】「A Map of Nowhere 11:メアリー・シェリー「変化」のジェノヴァ」藤原ヨウコウ 『新編怪奇幻想の文学1 怪物』より、とあります。よって今回は本文は無し。 「イギリス怪奇小説・…
『短編ミステリの二百年 1』モーム、フォークナー他/小森収編(創元推理文庫) 『The Long History of Mystery Short Stories vol.1』2019年。 江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集(世界短編傑作集)』の続編とも姉妹編とも補遺編とも言うべきアンソロジー…
『驚愕遊園地 日本ベストミステリー選集』日本推理作家協会編(光文社文庫) 2010~2013年のあいだに発表されたミステリー短篇のなかから選ばれたアンソロジー。麻耶雄嵩による木更津もの「おみくじと紙切れ」目当てで購入しました。作家自選(の二作から編…
『平成怪奇小説傑作集1』東雅夫編(創元推理文庫) 『怪奇小説傑作集』の日本版だった『日本怪奇小説傑作集』の平成版です。平成にもなると怪奇小説の幅も広がって来たのか、いわゆる純粋な怪奇小説はあまりありません。ほとんどはよくて幻想小説、下手する…