『SFショートストーリー傑作セレクション 異次元篇 次元を駆ける恋/潮の匂い』日下三蔵編/谷川千佳絵(汐文社)★★★☆☆

「次元を駆ける恋」平井和正(1965)★★★☆☆ ――トラックに轢かれて死んだ絢子のことが忘れられなくて、多元宇宙で生きている絢子のなかから絢子を選ぶべく、ぼくは次元転移した。だがたとえその次元の絢子を救ったとしても、そこにはその次元のぼくがいるのだ…

『SFショートストーリー傑作セレクション ロボット篇 幽霊ロボット/ヴォミーサ』日下三蔵編/旭ハジメ絵(汐文社)★★☆☆☆

収録作家5人中、4人が『時間篇』と重複しています。この4人は続く『異次元篇』『未来篇』でも重複していて、アンソロジーとしてはお得感がまったくありません。権利の関係でほかの作家を収録できなかったのか、黎明~黄金期にかけての日本SFはほかに収…

『SFショートストーリー傑作セレクション 時間篇 人の心はタイムマシン/時の渦』日下三蔵編/456絵(汐文社)★★☆☆☆

東雅夫編〈文豪ノ怪談ジュニア・セレクション〉の汐文社から、日下三蔵編によるSFセレクションが刊行されています。日本SF黎明~黄金期の作品はほぼ読んだことがないし、こういう機会がなければ読む気もなかったので良い機会でした。 「御先祖様万歳」小…

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オオルシャ・jr.編/平野清美編訳(平凡社ライブラリー)★★☆☆☆

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オオルシャ・jr.編/平野清美編訳(平凡社ライブラリー) 英米以外のSFの翻訳は少ないうえに、訳されたものの多くはSFというよりも幻想小説や風刺小説だったりするのですが、懸念は的中し、本書収録作も前半はそん…

『月の文学館 月の人の一人とならむ』和田博文編(ちくま文庫)★★★☆☆

『月の文学館 月の人の一人とならむ』和田博文編(ちくま文庫) 月がテーマの日本文学アンソロジー。ヒグチユウコによるカバーイラストに味があります。月の形を巻き貝という生き物で表現する発想と目の表情。姉妹編に『星の文学館』も。学者さんが編纂して…

『世界ショートショート傑作選1』各務三郎編(講談社文庫)★★★★☆

『世界ショートショート傑作選1』各務三郎編(講談社文庫) 1978年初刊。 「クライム&ミステリー」「走れ、ウィリー」ヘンリー・スレッサー/矢野浩三郎訳(Run, Willie Run,Henry Slesar,1959)★★★★★ ――ウィリーは監房の寝床に腰かけて、足を前後に動か…

『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 霊』東雅夫編/金井田英津子絵(汐文社)★★★☆☆

『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 霊』東雅夫編/金井田英津子絵(汐文社)「あれ」星新一(1975)★★★★☆ ――あるホテルの一室で、出張中の男が眠っていた。静かな真夜中。男はふと寒気を感じて目をさました。そばに人のけはいを感じる。一メートルほどはな…

『絶望図書館 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』頭木弘樹編(ちくま文庫)★★★☆☆

『絶望図書館 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』頭木弘樹編(ちくま文庫) 絶望図書館とはものすごいタイトルですが、編者によれば本書は「絶望的な物語」でも「絶望から立ち直るための物語」でもなく、「絶望して、まだ当分、立ち直…

『怪異十三』三津田信三編(原書房)★★★★☆

『怪異十三』三津田信三編(原書房) 東西の怪奇小説十三篇に編者自身の単行本未収録作を加えたもの。四つの採録基準(一、編者自身がぞっとしたもの。二、有名作以外。三、入手困難作。四、国内7&海外6&編者書き下ろし)を満たせずに、著名作も含まれ編…

『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編/中原尚哉他訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)★★★★☆

『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編/中原尚哉他訳(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) ケン・リュウが英訳して編んだ作品集の重訳なので、訳文は読みやすい。編者が序文で、政治的な読み方のような欧米視点の上から目線の読み方はやめ…

『みんなの怪盗ルパン』小林泰三他(ポプラ文庫)★★★☆☆

『みんなの怪盗ルパン』小林泰三他(ポプラ文庫) 2016年初刊。出版社&イラストつながりでしょうか、みんなの少年探偵団シリーズに続いてルパン・トリビュートも刊行されています。が、やはり当たり外れが大きかったです。 「最初の角逐」小林泰三(2016)★…

『みんなの少年探偵団2』有栖川有栖他(ポプラ文庫)★★★☆☆

『みんなの少年探偵団2』有栖川有栖他(ポプラ文庫)「未来人F」有栖川有栖(2016)★★☆☆☆ ――明智先生がアメリカに行っている間に、せっかく捕まえていた二十面相にだつごくされてしまいました。数日後、「未来人F」をなのる男がラジオにしゅつえんし、国…

『猫は宇宙で丸くなる 猫SF傑作選』中村融編(竹書房文庫)★★★☆☆

類書との重複を避けて選んだ猫SF&ファンタジー傑作選。さすがにもう過去の作品を編んだものは落穂拾いなのかも……という感想です。 「地上編」「パフ」ジェフリー・D・コイストラ/山岸真訳(Puff,Jeffery D. Kooistra,1993)★★★☆☆ ――五歳になる娘のヘ…

『幻想と怪奇』5【アメリカン・ゴシック E・A・ポーをめぐる二百年】(新紀元社)

「〈幻想と怪奇〉アートギャラリー アーサー・ラッカム」「A Map of Nowhere 05:ダーレス「深夜の邂逅」のプロヴィデンス」藤原ヨウコウ「深夜の邂逅」オーガスト・ダーレス/荒俣宏訳「アメリカン・ゴシックの瞬間」巽孝之 「夢遊病――ある断章」チャールズ…

『シャーロック・ホームズの栄冠』北原尚彦編訳(創元推理文庫)★★★☆☆

「第I部 王道篇」「一等車の秘密」ロナルド・A・ノックス(The Adventure of the First-Class Carriage,Ronald A. Knox,1947)★★★★☆ ――リューマチで仕事を辞めたヘネシー夫妻は、田舎屋敷の番小屋に住み込み、スウィシンバンク夫妻の世話をすることにな…

『7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー』文芸第三出版部編(講談社ノベルス)★★☆☆☆

新本格30周年を記念した〈名探偵〉がテーマの書き下ろしアンソロジー。シリーズ探偵を登場させたのは7人中4人。そのうえ真剣に取り組んだ作品というよりもお祭り用のやっつけ仕事が多く期待はずれでした。 「水曜日と金曜日が嫌い――大鏡家殺人事件――」麻耶…

『夜の夢見の川 12の奇妙な物語』中村融編(創元推理文庫)★★★★☆

奇妙な味を中心としたアンソロジー第2団。『街角の書店』以上に「理屈では割り切れない余韻を残す」作品を重視したとのこと。 「麻酔」クリストファー・ファウラー/鴻巣友季子訳(On Edge,Christopher Fowler,1992)★★★☆☆ ――ナッツを噛んで歯が砕けてしま…

『耳瓔珞 女心についての十篇』安野モヨコ選・画(中公文庫)★★★★★

安野モヨコ選画シリーズ第2弾。なぜか初出の記載がなくなってしまいました。 「桃のある風景」岡本かの子(1937)★★★★☆ ――肉体的とも精神的とも言い難いあこがれが、しっきりなしに自分に渇きを覚えさせた。「蝙蝠傘を出して下さい。河を渡って桃を見に行く…

『スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選』D・H・ウィルソン&J・J・アダムズ編(創元SF文庫)★★★☆☆

『Press Start to Play』Ed. by Daniel H. Wilson and John Joseph Adams,2015。 原書収録の26編から12編を厳選したもの。 「リスポーン」桜坂洋(2015)★★★★☆ ――おれが牛丼屋でバイトをしていると、強盗が現れた。大男の客が正義感を起こした。怯えた強盗…

『幻想と怪奇』4【吸血鬼の系譜 スラヴの不死者から夜の貴族へ】(新紀元社)

このタイミングで吸血鬼をテーマにしたのは別に『鬼滅の刃』にあやかったわけではなく、たまたまのようです。「A Map of Nowhere 04:ネルダ「吸血鬼」のプリンキポ島」藤原ヨウコウ 河出文庫『東欧怪談集』に邦訳のあるヤン・ネルダ「吸血鬼」より。 「パル…

『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』山口雅也編著(南雲堂)★★☆☆☆

自分好みの雑誌を作りあげるのは編者の特権ですが、自分語りが頻繁に顔を出すのは勘弁してほしかったところです。 「21世紀版奇想天外小説傑作選[海外篇]」「最上階に潜むもの」アーサー・モリスン/宮脇孝雄訳(The Thing in the Upper Room,Arthur Morr…

『女体についての八篇 晩菊』安野モヨコ選・画(中公文庫)★★★★☆

読書好きで知られる安野モヨコ氏によるアンソロジー第1弾。各篇に挿絵が一葉ずつ描かれています。 「美少女」太宰治(1939)★★★★☆ ――甲府市の近くの音声が皮膚病に特効を有する由を聞いたので、家内を毎日通わせることにした。ともかく別天地であるから、あ…

『文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション 呪』東雅夫編(汐文社)★★★★☆

第4巻はテーマも「呪」というだけあってか、カバーイラストも呪いそのまんまで挿絵もストレートに怖い絵になっています。 「笛塚」岡本綺堂(1925)★★★★☆ ――十一番目の男が語る。僕の国では昔から能狂言が盛んだった。武士のうちにも笛をふく者もあった。十…

『奇想天外 復刻版 アンソロジー』山口雅也編著(南雲堂)★★☆☆☆

四期にわたる雑誌『奇想天外』掲載作を抽出し、当時の体裁でまとめたアンソロジー。小説・エッセイともに、B級もしくは歴史的意味のものが大半を占めていて、いま読んで面白いものではありませんでした。。 「『奇想天外』=「謎解きが好き」 「大人になれ…

『シャーロック・ホームズの失われた災難』ジュリー・マキューラス他編/日暮雅通訳(原書房)★★★☆☆

『The Missing Misadventures of Sherlock Holmes』ed.Julie McKuras etc,2016年。 エラリイ・クイーン編『シャーロック・ホームズの災難』にさまざまな理由で収録されなかった作品を集めたものです。資料的な価値しかないのだろうなと、さして期待していな…

『謎の館へようこそ 黒 新本格30周年記念アンソロジー』はやみねかおる他(講談社タイガ)★★☆☆☆

新本格30周年記念の館ものアンソロジー第2弾です。新本格のスタートという位置づけの『十角館』にちなんでの館ものなのでしょう。同じく30周年記念の『7人の名探偵』が新本格第一世代の作家たちであるのに対して、この『謎の館へようこそ』は孫・曾孫世代…

『謎の館へようこそ 白 新本格30周年記念アンソロジー』東川篤哉他(講談社タイガ)★★★☆☆

副題にあるとおり新本格30周年を記念した、館がテーマの書き下ろしアンソロジーです。綾辻行人的な〈館〉ものもあれば、舞台となるのが文化会〈館〉なだけのものもありましたが、意外なことに一族のお屋敷ものやクローズド・サークル的な意味での〈館〉もの…

『文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション 恋』東雅夫編/谷川千佳絵(汐文社)★★★☆☆

「幼い頃の記憶」泉鏡花(1912)★★★☆☆ ――五つくらいの時と思う。船に乗って、母の乳房を摘み摘みしていたように覚えている。そばに一人の美しい若い女のいたことを、私はふと見出した。今思ってみると、十七ぐらいであったと思う。いかにも色の白い、瓜実顔…

『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 獣』東雅夫編/中川学絵(汐文社)★★★☆☆

挿絵は泉鏡花の絵本でおなじみ中川学です。 「山月記」中島敦(1942)★★★★☆ ――隴西の李徴は博学才穎であったが、賤吏に甘んずることを潔しとせず、ひたすら詩作に耽った。しかし文名は容易にはあがらず、ついに発狂したまま二度と戻ってはこなかった。翌年、…

『ボロゴーヴはミムジイ 伊藤典夫翻訳SF傑作選』高橋良平編(ハヤカワSF文庫)★★☆☆☆

副題どおり伊藤典夫がSFマガジンに訳載した作品から選ばれた作品集ですが、さすがに内容が古くさ過ぎるのは否めません。「ボロゴーヴはミムジイ」ルイス・パジェット(Mimsy were the Borogoves,Lewis Padgett,1943)★★★☆☆ ――未来の科学者の実験によって…


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