『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎(光文社文庫)★★★☆☆

『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎(光文社文庫) 親本2015年刊行。文庫版2018年刊行。カバーデザイン:泉沢光雄(写真はGetty Imagesより「Stone」) 何とも微妙な作品です。伊坂幸太郎だし読んで面白いのは間違いないのですが、ディストピアの設定がい…

『詩人と狂人たち』G・K・チェスタトン/南條竹則訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『詩人と狂人たち』G・K・チェスタトン/南條竹則訳(創元推理文庫) 『The Poet and the Lunatics: Episodes in the Life of Gabriel Gale』G. K. Chesterton,1929年。「一、風変わりな二人組」(I. The Fantastic Friends,1920)★★★★☆ ――その宿屋は旭…

『ウナギの罠』ヤーン・エクストレム/瑞木さやこ訳(扶桑社ミステリー)★★☆☆☆

『ウナギの罠』ヤーン・エクストレム/瑞木さやこ訳(扶桑社ミステリー) 『Ålkistan』Jan Ekström,1967年。 長らく名のみ聞かれていたスウェーデンの密室ミステリです。 初めて知ったのは『ミステリマガジン』の小山正氏の紹介かROM叢書『失われたミステリ…

『鷺と雪』北村薫(文春文庫)★★☆☆☆

『鷺と雪』北村薫(文春文庫) ベッキーさんシリーズ最終巻。 「不在の父」(2007)★★☆☆☆ ――滝沢吉広子爵がルンペンたちに混じって歩いているのを見たと、兄から聞かされた。同じ組の桐原侯爵のお嬢様・道子さんの義理の小父様に当たる方だ。その道子さんも…

『巴里マカロンの謎』米澤穂信(創元推理文庫)★★★★☆

『巴里マカロンの謎』米澤穂信(創元推理文庫) 『The Paris Macaron Mystery』2020年。「巴里マカロンの謎」(2016)★★★☆☆ ――東京の名店パティスリー・コギが名古屋に支店を出した。テイクアウトはおこなっていないがいくつもの味を楽しみたい小佐内さんに…

『満願』米澤穂信(新潮文庫)★★★★★

『満願』米澤穂信(新潮文庫)「夜警」(2012)★★★★★ ――川藤巡査は勇敢な職務遂行を賞されて二階級特進し、警部補となった。そんなに立派な警官だったならあんな死に方はしなかった。『市内の女性から、夫の田原勝が暴れていると通報があり、現場に駆けつけ…

『カミサマはそういない』深緑野分(集英社)★★★☆☆

『カミサマはそういない』深緑野分(集英社) 神様なんていやしないと思えるような救いのない作品集。 「伊藤が消えた」(2016)★★☆☆☆ ――信太がスマートフォンに出ると、伊藤の父親からだった。「恭介がまだ帰ってこないんだ。何か知っているかと思って」「…

『円居挽のミステリ塾』青崎有吾・斜線堂有紀・日向夏・相沢沙呼・麻耶雄嵩(星海社新書)★★★★☆

『円居挽のミステリ塾』青崎有吾・斜線堂有紀・日向夏・相沢沙呼・麻耶雄嵩(星海社新書)「第0回」(2021)――第0回は、円居挽へのインタビュー。「京大ミス研に入りたいから、京大に入ったと言ったほうが正しいですかね(笑)」「『蒼鴉城』というサークル…

『天城一の密室犯罪学教程』天城一/日下三蔵編(日本評論社)★★☆☆☆

『天城一の密室犯罪学教程』天城一/日下三蔵編(日本評論社) 幾つかの作品をアンソロジーで読むしかなかった伝説的な兼業作家の、商業出版物としては初めての単著です。 何しろ乱歩の弟子世代なので、ミステリ観や小説観や政治・社会観が古すぎるきらいは…

『エステルハージ博士の事件簿』アヴラム・デイヴィッドスン/池央耿訳(河出書房新社〈ストレンジ・フィクション〉)★★★☆☆

『エステルハージ博士の事件簿』アヴラム・デイヴィッドスン/池央耿訳(河出書房新社〈ストレンジ・フィクション〉) 『The Enquiries of Doctor Eszterhazy』Avram Davidson,1975年。 「眠れる童女、ポリー・チャームズ」(Polly Charms, The Sleeping Wo…

『函館水上警察』高城高(東京創元社)★★★★☆

『函館水上警察』高城高(東京創元社) 『HAKODATE WATER POLICE』Ko Kohjo,2009年。 明治時代の函館警察を舞台にした4篇+森鷗外の函館訪問作品。 「密漁船アークテック号」(2008)★★★★☆ ――函館水上警察署にはその夜、次席の五条文也警部、外勤課長の大…

『ちびの聖者 シムノン本格小説選』ジョルジュ・シムノン/長島良三訳(河出書房新社)★★★★☆

『ちびの聖者 シムノン本格小説選』ジョルジュ・シムノン/長島良三訳(河出書房新社) 『Le Petit Saint』Georges Simenon,1965年。 訳本は2008年刊行。 シムノンの非ミステリ作品シリーズ〈シムノン本格小説選〉の第2回配本。 訳者あとがきによれば、多…

『ROMMY――そして歌声が残った』歌野晶午(講談社ノベルス)★★★☆☆

『ROMMY――そして歌声が残った』歌野晶午(講談社ノベルス) 1995年初刊。現在は『ROMMY 越境者の夢』と改題文庫化されています。 カバー袖にはスタッフクレジット、裏表紙にはCDの裏ジャケットがあるのみで、あらすじの類は一切ありません。 ヴィジュアル…

『名探偵ルパン』モーリス・ルブラン/保篠龍緒訳/矢野歩編(論創社 論創海外ミステリ220)★★☆☆☆

『名探偵ルパン』モーリス・ルブラン/保篠龍緒訳/矢野歩編(論創社 論創海外ミステリ220) タイトルが素っ気ないので事情を知らないとただの傑作選に思えるかもしれませんが、実はルパン翻訳の草分け的存在である保篠龍緒による翻案小説4篇が収められてい…

『くらげ色の蜜月』戸川昌子/日下三蔵編(竹書房文庫)★★☆☆☆

『くらげ色の蜜月』戸川昌子/日下三蔵編(竹書房文庫) ちくま文庫『緋の堕胎』に続く、日下三蔵編による戸川昌子集第二弾。 短篇集『悪魔のような女』+短篇集『聖女』から4篇+文庫初収録1篇+単行本初収録作2篇で構成されています。 作風自体は幻想小…

『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ/ヘレンハルメ美穂訳(小学館文庫)★☆☆☆☆

『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ/ヘレンハルメ美穂訳(小学館文庫) 『1793』Niklas Natt och Dag,2017年。 スウェーデンの歴史ミステリという触れ込みです。舞台はタイトルにもなっている1793年。著者あとがきによれば実在の警視総監失職の年に合わ…

『無益な殺人未遂への想像上の反響 ギリシャ・ミステリ傑作選』ディミトリス・ポサンジス編/橘孝司訳(竹書房文庫)★★☆☆☆

『無益な殺人未遂への想像上の反響 ギリシャ・ミステリ傑作選』ディミトリス・ポサンジス編/橘孝司訳(竹書房文庫) 『Ελληνικά Εγκλήματα 5』επιμέλεια Δημήτρη Ποσάντζη,2019。 珍しいギリシャ・ミステリのアンソロジーではありますが、「傑作選」という…

『サン゠フォリアン教会の首吊り男』ジョルジュ・シムノン/伊禮規与美訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★☆☆

『サン゠フォリアン教会の首吊り男』ジョルジュ・シムノン/伊禮規与美訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『Le Pendu de Saint-Pholien』Georges Simenon,1931。 『サン・フォリアン寺院の首吊人』の新訳です。 刊行順では『死んだギャレ氏』と共に1番目、執筆…

『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』鈴木悦夫/高田美苗・挿絵(中公文庫)★☆☆☆☆

『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』鈴木悦夫/高田美苗・挿絵(中公文庫) 『The Blessed Family ......And the Old Dear Song』1989年。 全国の子どもにトラウマを植えつけたという触れ込みの児童文学が復刊されました。幸せな家族がテーマのCM撮影を…

『教場0 刑事指導官・風間公親』長岡弘樹(小学館文庫)★★☆☆☆

『教場0 刑事指導官・風間公親』長岡弘樹(小学館文庫) 教場シリーズ三作目は、『教場』以前――風間の刑事時代の物語です。『教場2』が期待外れだったので本書を読もうか迷ったのですが、倒叙ものとあっては読むしかありません。出来不出来の差が激しい作…

『比翼』泡坂妻夫(光文社文庫)★★★☆☆

『比翼』泡坂妻夫(光文社文庫) テーマごとに四部に分けられた短篇集。職人・奇術・恋愛・ホラー・人情・謎解き等、盛り沢山です。 「一の部屋/職人気質」「風神雷神」(1996)★★★★☆ ――新田は弘子の着物にある黄色い輪に気づいた。輪ゴムが原因だった。浸…

『大いなる眠り』(5~8)レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)

『大いなる眠り』(5~8)レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『The Big Sleep』Raymond Chandler,1939年。 マーロウは近所の書店に聞き込みして、ガイガーの店の店員が古書に無知であることを再確認する。客が捨てた包みを…

『メグレと若い女の死〔新訳版〕』ジョルジュ・シムノン/平岡敦訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★★☆

『メグレと若い女の死〔新訳版〕』ジョルジュ・シムノン/平岡敦訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『Maigret et la jeune morte』Georges Simenon,1954年。 映画化に合わせての新訳です。シリーズ長篇第45作。カバーあらすじには「代表作」と書かれていますが…

『奇跡の男』泡坂妻夫(光文社文庫)★★★☆☆

『奇跡の男』泡坂妻夫(光文社文庫)「奇跡の男」(1986)★★★★☆ ――袋くじの特賞当選者が見付かった。和来友里。三十七歳の男性だ。取材に行った白岩百合子は、その男のことを思い出した。「和来さん、あなたは二月前にも奇跡の人だったんじゃありませんか?…

『教場2』長岡弘樹(小学館文庫)★★☆☆☆

『教場2』長岡弘樹(小学館文庫) 親本は2016年刊行。タイトルまんま、教場シリーズ第二作です。第一作と比べると、人間ドラマ度が薄まり、取って付け感が強まっていました。 「第一話 創傷」(2014)★★☆☆☆ ――第百期短期課程警察手帳貸与式。校長から手帳を…

『本と鍵の季節』米澤穂信(集英社文庫)★★☆☆☆

『本と鍵の季節』米澤穂信(集英社文庫)「913」(2012)★★★☆☆ ――その日の図書当番は僕と松倉詩門の二人だった。ほかの生徒の姿はなかった。返却箱に入っていた文庫本は、表紙が折れて泥だらけだった。僕たちは汚れを拭いて、分類記号「913」と著者名の頭文…

『大いなる眠り』(3~4)レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)

『大いなる眠り』(3~4)レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『The Big Sleep』Raymond Chandler,1939年。 ヴィヴィアンに呼ばれたマーロウは、将軍の依頼はラスティー探しなのではと探られるが、ヴィヴィアンの高飛車な態…

『大いなる眠り』(1~2)レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)

『大いなる眠り』(1~2)レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『The Big Sleep』Raymond Chandler,1939年。 2014年刊行。カバーデザイン:坂川栄治+坂川朱音(坂川事務所)。 創元推理文庫版は1959年初版。カバー撮影:板橋…

『リカーシブル』米澤穂信(新潮文庫)★★★★☆

『リカーシブル』米澤穂信(新潮文庫) 親本2013年刊行。 再読のはずなのですが内容をすっかり忘れていました。 中学一年の越野ハルカは家庭の事情で田舎に引っ越して来ました。新しい環境への不安、血の繫がっていない弟への苛立ち、父親の再婚相手への引け…

『死と奇術師』トム・ミード/中山宥訳(早川書房ポケミス1990)★★☆☆☆

『死と奇術師』トム・ミード/中山宥訳(早川書房ポケミス1990) 『Death and the Conjuror』Tom Mead,2022年。 ある夜、精神科医リーズ博士の家を怪しげな男が訪れ、二人きりで話をしたあと男は立ち去った。その後にかかってきた電話に博士が出たのを、使…


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