『猫島ハウスの騒動』若竹七海(光文社文庫)★★☆☆☆

『猫島ハウスの騒動』若竹七海(光文社文庫) 初刊2006年。 猫ばかりの島、通称・猫島。高校生の虎鉄は海岸でナイフを突き立てられた猫の剥製を見つける。たまたま観光で島を訪れていた葉崎署の刑事・駒持は、猫アレルギーに苦しみながらも事件の背後に何か…

『秘密(下)』ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『秘密(下)』ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Secret Keeper』Kate Morton,2012年。 ローレルは事件について弟のジェリーに相談するとともに、ヴィヴィアンについて調査を進めてゆきます。そうして明らかになるドリーの噓、ヴィヴィ…

『秘密(上)』ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★★

『秘密(上)』ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Secret Keeper』Kate Morton,2012年。 ケイト・モートンの第四作。 一九六一年、弟ジェリーの誕生日の日、ボーイフレンドとの約束の時間を待っていた十六歳のローレルは、見知らぬ男が訪…

『九月は謎×謎修学旅行で暗号解読 私立霧舎学園ミステリ白書』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆

『九月は謎×謎修学旅行で暗号解読 私立霧舎学園ミステリ白書』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ第六作。2005年9月刊行。 タイトルに暗号解読とあるように、メインとなる謎は暗号による宝探し/人捜しですが、ほかにもアリバイ、叙述トリック、二人…

『私立霧舎学園ミステリ白書 八月は一夜限りの心霊探偵』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 八月は一夜限りの心霊探偵』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ第五作。 七月事件で知り合った久賀カメラマンに口説き落とされて漫画雑誌のグラビアを飾った琴葉だったが、撮影現場のサイパンには母親までくっついて来た…

『私がふたりいる』戸川昌子(光文社文庫)★☆☆☆☆

『私がふたりいる』戸川昌子(光文社文庫) 1977年『蒼い悪霊』の改題文庫化。 学園都市の建設に携わった職員が電車内で遭遇した、顔を白い繃帯でぐるぐる巻きにした若い女性。彼女はクローンの研究を心霊学と勘違いして、同じ人間がふたりいる証拠である手…

『さよならの手口』若竹七海(文春文庫)★★★★★

『さよならの手口』若竹七海(文春文庫) 文庫書き下ろしの葉村晶シリーズ第四作。 長谷川探偵事務所の閉鎖に伴い古本屋でアルバイトをしていた葉村は、故人の遺品の整理中、古くなっていた床板に開いた穴から落ちて怪我をしてしまう。あろうことか穴からは…

『私立霧舎学園ミステリ白書 七月は織姫と彦星の交換殺人』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 七月は織姫と彦星の交換殺人』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ四作目。 期末テスト前日、琴葉は弓絵に連れ出され、ナオキが籠っているスタジオを訪れた。そこで芸能カメラマンの仁多森が隣のマンションから墜落死した…

『私立霧舎学園ミステリ白書 六月はイニシャルトークDE連続誘拐』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★★☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 六月はイニシャルトークDE連続誘拐』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ三作目。 前作での予告(?)通り、密室・アリバイに続いて誘拐ものです。 図書委員の三年生中込椎名が琴葉に会いに来た。図書館にいつの間にか『…

『私立霧舎学園ミステリ白書 五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』霧舎巧(講談社ノベルス)★★☆☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』霧舎巧(講談社ノベルス) 霧舎学園シリーズ第二作。 各月の事件に「本格ミステリで用いられる謎を一つずつ取り上げていく」という方針に従い、四月の「密室」に続いて本書は「アリバイ崩…

『私立霧舎学園ミステリ白書 四月は霧の00《ラブラブ》密室』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆

『私立霧舎学園ミステリ白書 四月は霧の00《ラブラブ》密室』霧舎巧(講談社ノベルス)★★★☆☆ 霧舎作品を改めて読もうと思い、『四月』から読み始めました。金田一少年や名探偵コナンからミステリに興味を持った人たちへの入口になってもらいたいという意図で…

『プレイボーイ・スパイ2』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/井上一夫訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『プレイボーイ・スパイ2』ジェイムズ・ハドリー・チェイス/井上一夫訳(創元推理文庫) 『You Have Yourself A Deal』James Hadley Chase,1966年。 プレイボーイ・スパイのマーク・ガーランドが活躍するシリーズの第二弾。ジェイムズ・ボンド・シリーズ…

『挿絵叢書 竹中英太郎(一)怪奇』末永昭二編(皓星社)★★★☆☆

『挿絵叢書 竹中英太郎(一)怪奇』末永昭二編(皓星社) 挿絵叢書というシリーズ名からわかるとおり、「可能な限り発表当時のレイアウトに近づけ」「必ずしも傑作小説集を目指さず、あくまで挿絵の魅力を堪能しうる作品を選」んだ(「序」より)ものであり…

『怪異雛人形』角田喜久雄(講談社大衆文学館文庫コレクション)★★★★☆

『怪異雛人形』角田喜久雄(講談社大衆文学館文庫コレクション) 戦前戦後に伝奇小説・時代小説・探偵小説をものした作家の、初期捕物帳を集めた作品集。「いろはの左近」もの二篇、「女形同心」もの二篇、その他三篇から成ります。著者が平成6年まで生きて…

『創元推理(10)』1995・秋号(東京創元社)

『創元推理(10)』1995・秋号(東京創元社) 第六回鮎川哲也賞の受賞作発表号であり、大賞受賞者である北森鴻と佳作受賞者である佐々木俊介と村瀬継弥の短篇が掲載されています。また、創元推理評論賞の発表もおこなわれており、受賞者の千街晶之と佳作の田…

『悲劇への特急券 鉄道ミステリ傑作選〈昭和国鉄編Ⅱ〉』佳多山大地編(双葉文庫)★★★☆☆

『悲劇への特急券 鉄道ミステリ傑作選〈昭和国鉄編Ⅱ〉』佳多山大地編(双葉文庫) 第一集がトラベル・ミステリーの作者による傑作集だったのに対し、第二集である本書にはトラベル・ミステリー作家に限らない鉄道ミステリが集められていました。 「探偵小説…

『完全犯罪の死角 刑事花房京子』香納諒一(光文社文庫)★★★☆☆

『完全犯罪の死角 刑事花房京子』香納諒一(光文社文庫) ハードボイルド作家による倒叙ものです。 沢渡留理は父親から受け継いだ家具会社を守るために、腹違いの兄・要次と秘書である愛人・福田麻衣子を殺し、別れ話のもつれから要次が麻衣子を殺したあと階…

『モップの精は旅に出る』近藤史恵(実業之日本社文庫)★★★★☆

『モップの精は旅に出る』近藤史恵(実業之日本社文庫) キリコ・シリーズ第五作にして最終巻。以前のイラストレーター(飯田貴子)の描いたキリコの方が作中の描写に忠実だったのですが、別のかたに変わってしまいました。 「CLEAN.1 深夜の歌姫」(2014)★…

『中野のお父さん』北村薫(文春文庫)★★☆☆☆

『中野のお父さん』北村薫(文春文庫) 出版社に勤める女性編集者が、謎解きの得意な高校教師の父親に日常の謎を解いてもらう連作掌篇集です。分量から言っても内容から言ってもとにかく軽い。 円紫さんシリーズの〈私〉はまだ大学生だったので、初めて人間…

『傍聞き(かたえぎき)』長岡弘樹(双葉文庫)★★☆☆☆

『傍聞き(かたえぎき)』長岡弘樹(双葉文庫) 日本推理作家協会賞受賞作を含む純粋な短篇集です。あまりにもわざとらしすぎる構成を、巧みだと取るか大根役者だと取るかで評価は別れそうです。 「迷走」(2008)★★★☆☆ ――消防無線のアラームが鳴り、現場へ…

『心のなかの冷たい何か』若竹七海(創元推理文庫)★★☆☆☆

『心のなかの冷たい何か』若竹七海(創元推理文庫) 『Something Cold in My Heart』1991年。 若竹七海の第二作。『ぼくのミステリな日常』と同じく作者と同名の若竹七海が主人公のシリーズです。 女同士の友情から事件の真相を明らかにしようと奮闘する姿は…

『群青のタンデム』長岡弘樹(ハルキ文庫)★★★☆☆

『群青のタンデム』長岡弘樹(ハルキ文庫)★★★☆☆ 警察学校同期でライバルだった戸柏耕史と陶山史香の二人の、つかず離れず共に歩んだ警察官人生を描いた連作長篇。初出は『月刊ランティエ』2010年4月号〜2012年5月号。 「第一話 声色」★★★☆☆ ――パナマ帽の老…

『線の波紋』長岡弘樹(小学館文庫)★★☆☆☆

『線の波紋』長岡弘樹(小学館文庫) 誘拐事件と殺人事件を巡る四篇を収めた連作長篇です。 「談合」★★☆☆☆ ――県庁に勤める白石千賀は再婚して以来たびたび疑問を抱いてしまう。三つ年下の哲也はこんなくたびれた中年女に本当に愛情を抱いているのだろうか。…

『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆ 『Cue for Murder』Helen McCloy,1942年。 解説にも書かれているようにサスペンス派という印象の強かったマクロイですが、本書は至極まっとうな謎解きものでした。 刃物研磨店に夜…

『殺さずにはいられない 小泉喜美子傑作短篇集』小泉喜美子(中公文庫)★★★☆☆

『殺さずにはいられない 小泉喜美子傑作短篇集』小泉喜美子(中公文庫)★★★☆☆ 同題の短篇集に単行本未収録だったショートショート集を収録して復刊したものです。『痛みかたみ妬み』が好評だったための復刊第二弾とのこと。編者による解説と、山崎まどかによ…

『文学少女対数学少女』陸秋槎/稲村文吾訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★☆☆☆

『文学少女対数学少女』陸秋槎/稲村文吾訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『文学少女对数学少女』陆秋槎,2019年。 これまでの二作と比べて訳が格段に読みやすくなっています。訳者の腕が上がったのか、高校生同士の会話劇だと訳しやすいのか。 ただ内容はこれ…

『あと十五秒で死ぬ』榊林銘(東京創元社 ミステリ・フロンティア)★★★☆☆

『あと十五秒で死ぬ』榊林銘(東京創元社 ミステリ・フロンティア) ミステリーズ!新人賞佳作「十五秒」を筆頭に、何らかの形で「あと十五秒で死ぬ」状況にある作品4篇が収録された短篇集です。そのため「たのしい学習麻雀」は収録されていません。 「十五…

『幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集』柴田錬三郎(創元推理文庫)★★★★☆

『幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集』柴田錬三郎(創元推理文庫) 『A Ghost Gentleman/Bizarre Tales』1960年/1961年。 幽霊紳士を狂言回しにしたミステリ集『幽霊紳士』と、奇譚集『異常物語』の合本です。『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選』は…

『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆「挑戦」バッド・シュールバーグ/門野集訳(The Dare,Budd Schulberg,1949)★★★☆☆ ――ポールは海を見つめていた。モーターボートと水上スキーの娘が…

『夏休みの拡大図』小島達矢(双葉文庫)★★☆☆☆

『夏休みの拡大図』小島達矢(双葉文庫) 印象的なタイトルは、登場人物の一人であるちとせの一言「夏休みって人生の縮図だと思うんだ」(p.185)と、それに対する語り手・百合香のアンサー「だって夏休みが終わったらさ、二学期が始まるじゃない」(p.279)…


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