『向日葵は見ていた』西本秋(双葉文庫)★★★★☆

『向日葵は見ていた』西本秋(双葉文庫) 『Clytie was seeing』2010年。 物語は二つのパートから成っています。 博物館に勤める加納里名は、次の特別展のアイデアを探しに図書館に行き、印象的な写真集を目にします。『クリュティエは見ていた』と題された…

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫)★★★☆☆

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫) 『A Magician in Ballon Town』2000年。 『バルーン・タウンの殺人』に続くシリーズ2作目。英題は「Balloon」の誤植かと思いましたが、フランス語やオランダ語では「Ballon」であるようです。 「バル…

『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕(講談社文庫)★★★☆☆

『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕(講談社文庫) 警視庁いきもの係シリーズ第一作。 「小鳥を愛した容疑者」(2009)★★★★☆ ――重傷を負った捜査一課の須藤警部補は、退院後に内勤を薦められたが、現場復帰を望んだため、リハビリという名目で閑職をあてがわれ…

『模像殺人事件』佐々木俊介(東京創元社)★★★☆☆

『模像殺人事件』佐々木俊介(東京創元社) 2004年刊行。 1995年の鮎川賞佳作『繭の夏』に続く著者の第二作です。 元推理作家・大川戸が迷い込んだ山奥のお屋敷・木乃家では、包帯姿の男が二人対峙していました。我こそは数年前に家を出た長男の秋人だと主張…

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫)★☆☆☆☆

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫) ミステリマガジン2019年11月号の時代ミステリ特集で刑事コロンボに挑んだ作品として紹介されていたので読んでみました。 犯人の犯行場面から始まり、予期せぬ事態に余計なことをしてしまうところは、…

『錬金術師の密室』紺野天龍(ハヤカワ文庫JA)★★☆☆☆

『錬金術師の密室』紺野天龍(ハヤカワ文庫JA) 異世界ミステリかと思ってたらラノベでした。 ラノベでもいいんですけどね。密度のない薄っぺらいタイプのラノベです。 まだ何も始まってもない段階からいきなり「アワン前哨基地へ、アスタルト王立軍情報局…

『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館)★★★★☆

『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館) 乱歩賞受賞作『大いなる幻影』と第二作『猟人日記』の合本より、未読の『猟人日記』を読みました。 キーパンチャーB・G尾花けい子は、バーで知り合った低音が魅力の男と一夜限りの関係を持った…

『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ/中村保男訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★★★

『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ/中村保男訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『The False Inspector Dew』Peter Lovesey,1982年。 かのクリッペン医師を逮捕したことで知られたウォルター・デュー警部。そんなウォルター・デューの偽名を使って乗り込ん…

『分かれ道ノストラダムス』深緑野分(双葉文庫)★★★☆☆

『分かれ道ノストラダムス』深緑野分(双葉文庫) 2016年初刊。 二年前に死んでしまった同級生・基の三回忌。基の祖母から渡された日記には、事故死した両親が死なずに済んだかもしれない可能性をシミュレートした記録が残されていました。お互い好きだった…

『世界を売った男』陳浩基/玉田誠訳(文春文庫)★★★★☆

『世界を売った男』陳浩基/玉田誠訳(文春文庫) 『遗忘・刑警』陈浩基,2011年。 今や『13・67』『ディオゲネス変奏曲』ですっかり著名となった香港出身の作家による、長篇デビュー作であり、第2回島田荘司推理小説賞受賞作でもあります。 原題は『記憶喪…

『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ/吉田恒雄訳(集英社文庫)★★★☆☆

『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ/吉田恒雄訳(集英社文庫) 『Un appartement à Paris』Guillaume Musso,2017年。 フランスで一番売れている作家だそうで、確かに面白さは一級品です。 劇作家の男性と元刑事の女性が手違いから同じ家を借りてし…

『サンリオ男子 俺たちの冬休み』静月遠火(メディアワークス文庫)★★★☆☆

『サンリオ男子 俺たちの冬休み』静月遠火(メディアワークス文庫) サンリオ好きのイケメン男子が登場する女子向けアニメの小説版、らしい。 『パララバ』『ボクらのキセキ』『真夏の日の夢』『R&R』の静月遠火が担当していることからわかる通り、当然の…

『ガラスの麒麟』加納朋子(講談社文庫)★☆☆☆☆

『ガラスの麒麟』加納朋子(講談社文庫) 悪意や死や心の傷が扱われているにもかかわらず、深くは掘り下げられず、善意で安易にごまかしていると感じました。著者の作品のなかではわりと初期に当たる作品で、新境地に挑んだものの扱いきれずにそれまでの作風…

『いまさら翼といわれても』米澤穂信(角川文庫)★★★★★

『いまさら翼といわれても』米澤穂信(角川文庫) 『Last seen bearing』2016年。 「箱の中の欠落」(2016)★★★☆☆ ――生徒会長選挙で投票用紙が生徒数より四十枚多かった。投票箱を運んだ一年生が選挙管理委員長から理不尽に疑われ叱責されているのを見て、里…

『鏡は横にひび割れて』アガサ・クリスティー/橋本福夫訳(ハヤカワ・クリスティー文庫)★★★★★

『鏡は横にひび割れて』アガサ・クリスティー/橋本福夫訳(ハヤカワ・クリスティー文庫) 『The Mirror Crack'd from Side to Side』Agatha Christie,1962年。 タイトルはテニスン「シャロットの姫君」より。作中の女優が衝撃を受けたときの表情を形容した…

『月曜日の水玉模様』加納朋子(集英社文庫)★★☆☆☆

『月曜日の水玉模様』加納朋子(集英社文庫)「月曜日の水玉模様」(1995)★★☆☆☆ ――いつも電車で見かける青年は、スーツとネクタイを決まったサイクルで組み合わせていた。以前までは早い駅で降りていた青年が同じ駅で降りるようになり、会社の近くでも見か…

『日時計』クリストファー・ランドン/丸谷才一訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『日時計』クリストファー・ランドン/丸谷才一訳(創元推理文庫) 『The Shadow of Time』Christopher Landon,1957年。 誘拐犯から送られてきた被害者の写真に写っている影から居所を突き止めるというあらすじだけは知っていたのですが、実際に読んでみる…

『陽気なギャングは三つ数えろ』伊坂幸太郎(祥伝社文庫)★★★★☆

『陽気なギャングは三つ数えろ』伊坂幸太郎(祥伝社文庫) 『A cheerful gang Count three.』2015年。 陽気なギャングシリーズの第三作です。 シリーズを読むのは始めてですがまったく問題はありませんでした。それぞれ得意な能力を持つ四人のアウトローとい…

『虚構推理 スリーピング・マーダー』城平京(講談社タイガ)★★★★☆

『虚構推理 スリーピング・マーダー』城平京(講談社タイガ) 『Invented inference Sleeping Murder』2019年。 高校生のころの岩永琴子がミステリ研究会に勧誘されるという「岩永琴子は高校生だった」、六花を追って自殺者の続くアパートを訪れる「六花ふた…

『ひとりで歩く女』ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄訳(創元推理文庫)★★★★☆

『ひとりで歩く女』ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄訳(創元推理文庫) 『She Walks Alone(Wish Yous Were Dead)』Helen McCloy,1948年。 誰かがわたしを殺そうとしています――という一文から始まる手記。 西インド諸島に滞在していた語り手は、いとこのルパー…

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン/高沢治訳(創元推理文庫) 『The White Priory Murders』Carter Dickson,1934年。 新訳を機に再読しました。 カー/ディクスンの作品には、トリックだけは覚えているものも多いのですが、本書もそのひとつでした。…

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』城平京(講談社タイガ)★★★★☆

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』城平京(講談社タイガ) 小説家としては超寡作家の著者が『虚構推理 鋼人七瀬』を刊行したのが2011年。それが2018年になって突然続編が刊行されました。文庫版にはあとがきの類がいっさいないのですが、そのあたりの事情は…

『恋牡丹』戸田義長(創元推理文庫)★★★★☆

『恋牡丹』戸田義長(創元推理文庫) 『The Casebook of Detective Toda Sozaemon』2018年。 第27回鮎川哲也賞最終候補作。英題はさしずめ『同心戸田惣左衛門捕物帳』でしょうか。現代においてはベタ過ぎる恋愛観を、江戸時代を舞台にした大河ドラマに移植す…

『ふたりの距離の概算』米澤穂信(角川文庫)★★★★☆

『ふたりの距離の概算』米澤穂信(角川文庫) 『It walks by past』2010年。 入部希望者はなぜ千反田に怒り入部を取りやめたのか――マラソン大会の最中に奉太郎が走りながら時系列に沿って回想し、実行委員の里志、追い抜いてゆく伊原、千反田に一つずつ質問…

『戦場のコックたち』深緑野分(創元推理文庫)★★★★☆

『Armed with Skillets』2015年。 世間の波に押されるようにして従軍した主人公ティム・コールは、幼い言動からキッドと呼ばれてからかわれていました。味音痴のコック、エド・グリーンバーグからその食いっぷりを見込まれ、もともと料理に興味のあったティ…

『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水(創元推理文庫)★★★★☆

『The Melancholy of Lupinus Detective』2007年。 『ルピナス探偵団の当惑』の続編です。『当惑』から数年後、探偵団の一人である摩耶の葬儀という衝撃的な場面から幕を開けます。探偵の最後の事件を描いた作品は過去にもいくつもありましたが、文字通り最…

『罪と祈り』貫井徳郎(実業之日本社)★★★★☆

2017~2019年連載。2019年刊行。 元警官の濱仲辰司が溺死体で発見され、頭には殴られた痕があった。事件を担当するのは、実の父親の死後、辰司が父親同然に世話し、辰司に憧れて刑事になった芦原賢剛だった。正義漢が強く、絵に描いたような下町のお巡りさん…

『遠まわりする雛』米澤穂信(角川文庫)★★★☆☆

『Little birds can remember』2007年。 古典部シリーズ第四作は初の短篇集。すべて奉太郎の一人称に戻っています。英題はクリスティ『象は忘れない』のもじりですね。 「やるべきことなら手短に」(2007)★★★☆☆ ――里志からひとりでに鳴るピアノの怪「神山高…

『屍人荘の殺人』今村昌弘(創元推理文庫)★★★★☆

『Murders at the House of Death』2017年。 各種ベスト10で四冠を達成したという、驚異のデビュー作です。第27回鮎川哲也賞受賞。 まずは映画研究部の合宿に届けられた脅迫状という、古式ゆかしい舞台が用意されていました。語り手・葉村の先輩である明智…

『よろず屋お市 深川事件帖』誉田龍一(ハヤカワ時代ミステリ文庫)★★★☆☆

2019年9月に新創刊されたハヤカワ時代ミステリ文庫の第一弾。 ミステリマガジン2019年11月号の著者インタビューで、『女には向かない職業』を偏愛する著者が「江戸のコーデリア・グレイ」に挑んだというので読んでみました。 両親を殺された8歳の少女が飼い…


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