『星降り山荘の殺人』倉知淳(講談社文庫)★★☆☆☆

『星降り山荘の殺人』倉知淳(講談社文庫) 各章の冒頭に著者の説明書きがあり、それが一種の読者への挑戦のようになっていました。ここに伏線があります、とか、この人は犯人ではありません、とか。そして当然のごとく、それが【ネタバレ*1】にもなっていま…

『不安な童話』恩田陸(新潮文庫)★★★★☆

『不安な童話』恩田陸(新潮文庫) 二十五年前に夭逝した画家で童話作家の高槻倫子の展覧会。語り手の万由子は絵を見て既視感を覚え、自分が刺し殺される幻覚を見て気を失ってしまいます。 絵を見て知らないはずの記憶が甦ってくるという、クリスティを髣髴…

『短編ミステリの二百年 1』モーム、フォークナー他/小森収編(創元推理文庫)★★★★☆

『短編ミステリの二百年 1』モーム、フォークナー他/小森収編(創元推理文庫) 『The Long History of Mystery Short Stories vol.1』2019年。 江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集(世界短編傑作集)』の続編とも姉妹編とも補遺編とも言うべきアンソロジー…

『悪魔のような女』ボアロー、ナルスジャック/北村太郎訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★☆☆

『悪魔のような女』ボアロー、ナルスジャック/北村太郎訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『Celle qui n'était plus』Boileau-Narcejac,1952年。 映画『悪魔のような女』の原作。シャロン・ストーンによるリメイク版に合わせての文庫化だったようで、表紙や袖…

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎(幻冬舎文庫)★★★★☆

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎(幻冬舎文庫) 恋愛を中心とした、各短篇に共通する人物の登場する連作短篇集です。 「アイネクライネ」(2007)★★☆☆☆ ――僕が今どきネットではなく街頭アンケートをおこなっているのは、奥さんと娘さんに逃げら…

『驚愕遊園地 日本ベストミステリー選集』日本推理作家協会編(光文社文庫)★★★☆☆

『驚愕遊園地 日本ベストミステリー選集』日本推理作家協会編(光文社文庫) 2010~2013年のあいだに発表されたミステリー短篇のなかから選ばれたアンソロジー。麻耶雄嵩による木更津もの「おみくじと紙切れ」目当てで購入しました。作家自選(の二作から編…

『敗者の告白』深木章子(角川文庫)★★☆☆☆

『敗者の告白』深木章子(角川文庫) 解説にもあるとおり、一人【ネタバレ*1】でした。この仕掛けは大がかりであればあるだけ無理が出てきますね。原典は短篇だからこそのスマートさなのだと思います。さすがに【ネタバレ*2】がいないと危なっかしくて実現は…

『本と幸せ』北村薫(新潮社)★★★☆☆

『本と幸せ』北村薫(新潮社)★★★☆☆ 自作朗読CD付き。 各種媒体に発表された短めの書評が中心となっているので、通常のエッセイ集だと思って読むと統一感もないし、内容的に物足りなさを感じる文章もありました。 それはそれとして。 北村薫の文章をいつか…

『バスカヴィル家の犬』コナン・ドイル/延原謙訳(新潮文庫)★★★☆☆

『バスカヴィル家の犬』コナン・ドイル/延原謙訳(新潮文庫) 『The Hound of the Baskervilles』Arthur Conan Doyle,1901年。 ドイルが「最後の事件」でホームズを殺してから「空家の冒険」で復活するまでのあいだに書かれた長篇作品で、「最後の事件」以…

『プラ・バロック』結城充考(光文社文庫)

『プラ・バロック』結城充考(光文社文庫) 親本は2009年初刊。2008年度の日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 創元SF文庫から出ている『躯体上の翼』が面白かったので遡って読んでみました。 喉を割かれて殺されていた殺人現場に臨場した機動捜査隊のク…

『戦時大捜査網』岡田秀文(東京創元社)★★★★☆

『戦時大捜査網』岡田秀文(東京創元社)★★★★☆ 昭和十九年十一月、B29爆撃機による三度目の空襲に東京が見舞われた直後、隅田川沿いの倉庫で猟奇死体が見つかった。腹を割かれ内臓を引き出され、胃の内容物が持ち去られていた。死体が男装した女性のものだっ…

『推理は一日二時間まで』霧舎巧(光文社)★★☆☆☆

『推理は一日二時間まで』霧舎巧(光文社) 霧舎巧の現在のところ最新作、なのかな。(コスプレゆえのトリックを除けば)設定の面白さが活かされていないし、いくら日常の謎とはいえみみっちい真相が多いのもがっかりでした。 「推理は一日二時間まで」(201…

『シャーロック・ホームズの思い出』アーサー・コナン・ドイル/延原謙訳(新潮文庫)★★★☆☆

『シャーロック・ホームズの思い出』アーサー・コナン・ドイル/延原謙訳(新潮文庫) 『The Memoirs of Sherlock Holmes』Arthur Conan Doyle,1893年。 ホームズものの第二短篇集。 「白銀号事件」(The Silver Blaze,1892)★★☆☆☆ ――名馬白銀号が厩舎から…

『米澤穂信と古典部』米澤穂信(角川書店)★★★★☆

『米澤穂信と古典部』米澤穂信(角川書店) 「〈古典部〉シリーズ15年のあゆみ」 例えば「九マイルは遠すぎる」や「十三号独房の問題」ならすぐにわかるのですが、「やるべきことなら手短に」が「チェスタトンのような逆説のつもりで書いたかな」と言われる…

『向日葵は見ていた』西本秋(双葉文庫)★★★★☆

『向日葵は見ていた』西本秋(双葉文庫) 『Clytie was seeing』2010年。 物語は二つのパートから成っています。 博物館に勤める加納里名は、次の特別展のアイデアを探しに図書館に行き、印象的な写真集を目にします。『クリュティエは見ていた』と題された…

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫)★★★☆☆

『バルーン・タウンの手品師』松尾由美(創元推理文庫) 『A Magician in Ballon Town』2000年。 『バルーン・タウンの殺人』に続くシリーズ2作目。英題は「Balloon」の誤植かと思いましたが、フランス語やオランダ語では「Ballon」であるようです。 「バル…

『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕(講談社文庫)★★★☆☆

『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕(講談社文庫) 警視庁いきもの係シリーズ第一作。 「小鳥を愛した容疑者」(2009)★★★★☆ ――重傷を負った捜査一課の須藤警部補は、退院後に内勤を薦められたが、現場復帰を望んだため、リハビリという名目で閑職をあてがわれ…

『模像殺人事件』佐々木俊介(東京創元社)★★★☆☆

『模像殺人事件』佐々木俊介(東京創元社) 2004年刊行。 1995年の鮎川賞佳作『繭の夏』に続く著者の第二作です。 元推理作家・大川戸が迷い込んだ山奥のお屋敷・木乃家では、包帯姿の男が二人対峙していました。我こそは数年前に家を出た長男の秋人だと主張…

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫)★☆☆☆☆

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫) ミステリマガジン2019年11月号の時代ミステリ特集で刑事コロンボに挑んだ作品として紹介されていたので読んでみました。 犯人の犯行場面から始まり、予期せぬ事態に余計なことをしてしまうところは、…

『錬金術師の密室』紺野天龍(ハヤカワ文庫JA)★★☆☆☆

『錬金術師の密室』紺野天龍(ハヤカワ文庫JA) 異世界ミステリかと思ってたらラノベでした。 ラノベでもいいんですけどね。密度のない薄っぺらいタイプのラノベです。 まだ何も始まってもない段階からいきなり「アワン前哨基地へ、アスタルト王立軍情報局…

『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館)★★★★☆

『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館) 乱歩賞受賞作『大いなる幻影』と第二作『猟人日記』の合本より、未読の『猟人日記』を読みました。 キーパンチャーB・G尾花けい子は、バーで知り合った低音が魅力の男と一夜限りの関係を持った…

『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ/中村保男訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★★★

『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ/中村保男訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『The False Inspector Dew』Peter Lovesey,1982年。 かのクリッペン医師を逮捕したことで知られたウォルター・デュー警部。そんなウォルター・デューの偽名を使って乗り込ん…

『分かれ道ノストラダムス』深緑野分(双葉文庫)★★★☆☆

『分かれ道ノストラダムス』深緑野分(双葉文庫) 2016年初刊。 二年前に死んでしまった同級生・基の三回忌。基の祖母から渡された日記には、事故死した両親が死なずに済んだかもしれない可能性をシミュレートした記録が残されていました。お互い好きだった…

『世界を売った男』陳浩基/玉田誠訳(文春文庫)★★★★☆

『世界を売った男』陳浩基/玉田誠訳(文春文庫) 『遗忘・刑警』陈浩基,2011年。 今や『13・67』『ディオゲネス変奏曲』ですっかり著名となった香港出身の作家による、長篇デビュー作であり、第2回島田荘司推理小説賞受賞作でもあります。 原題は『記憶喪…

『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ/吉田恒雄訳(集英社文庫)★★★☆☆

『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ/吉田恒雄訳(集英社文庫) 『Un appartement à Paris』Guillaume Musso,2017年。 フランスで一番売れている作家だそうで、確かに面白さは一級品です。 劇作家の男性と元刑事の女性が手違いから同じ家を借りてし…

『サンリオ男子 俺たちの冬休み』静月遠火(メディアワークス文庫)★★★☆☆

『サンリオ男子 俺たちの冬休み』静月遠火(メディアワークス文庫) サンリオ好きのイケメン男子が登場する女子向けアニメの小説版、らしい。 『パララバ』『ボクらのキセキ』『真夏の日の夢』『R&R』の静月遠火が担当していることからわかる通り、当然の…

『ガラスの麒麟』加納朋子(講談社文庫)★☆☆☆☆

『ガラスの麒麟』加納朋子(講談社文庫) 悪意や死や心の傷が扱われているにもかかわらず、深くは掘り下げられず、善意で安易にごまかしていると感じました。著者の作品のなかではわりと初期に当たる作品で、新境地に挑んだものの扱いきれずにそれまでの作風…

『いまさら翼といわれても』米澤穂信(角川文庫)★★★★★

『いまさら翼といわれても』米澤穂信(角川文庫) 『Last seen bearing』2016年。 「箱の中の欠落」(2016)★★★☆☆ ――生徒会長選挙で投票用紙が生徒数より四十枚多かった。投票箱を運んだ一年生が選挙管理委員長から理不尽に疑われ叱責されているのを見て、里…

『鏡は横にひび割れて』アガサ・クリスティー/橋本福夫訳(ハヤカワ・クリスティー文庫)★★★★★

『鏡は横にひび割れて』アガサ・クリスティー/橋本福夫訳(ハヤカワ・クリスティー文庫) 『The Mirror Crack'd from Side to Side』Agatha Christie,1962年。 タイトルはテニスン「シャロットの姫君」より。作中の女優が衝撃を受けたときの表情を形容した…

『月曜日の水玉模様』加納朋子(集英社文庫)★★☆☆☆

『月曜日の水玉模様』加納朋子(集英社文庫)「月曜日の水玉模様」(1995)★★☆☆☆ ――いつも電車で見かける青年は、スーツとネクタイを決まったサイクルで組み合わせていた。以前までは早い駅で降りていた青年が同じ駅で降りるようになり、会社の近くでも見か…


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