『Air(or, Have Not Have)』Geoff Ryman,2004年。 何か月か前にテレビで、アフリカの田舎の農村にインターネットが導入されたというニュースが報じられていました。それまでは、都市部の物価が上がっているのに仲介業者から受け取る金額は何年も同じまま…
『90年代SF傑作選』で「わが家のサッカーボール」を読んだことがあるだけなので、ほぼ初体験のイアン・R・マクラウド。 いわゆるSFらしいSFではない。たとえていうなら人情噺か。 冒頭の「帰還」がわかりやすいんですが、これは「無限の並行宇宙への…
『English Passengers』Matthew Kneale,2000年。 キューリ船長をはじめとした〈エデン行き〉のとぼけたご一行と、タスマニアのアボリジニの歴史を描いたシリアスなパートが入り乱れた一大歴史絵巻。 一攫千金を夢見て密貿易を試みるものの、やることなすこ…
『Magic for Beginners』Kelly Link,2005年。「妖精のハンドバッグ」(The Faery Handbag,2004)★★★★★ ――あたしはゾフィアばあちゃんのハンドバッグを探してる。妖精のハンドバッグ。わが家代々の宝だというけれど、そんなに古く見えない。ゾフィアが十九…
『The Separation』Christopher Priest,2002年。 えええっ!て感じでした。「語り=騙り」と書かれているけれど、小説としての仕掛けが解けてもなお、小説のルール自体を打ち壊すような宙ぶらりんさは残ったままなので、何か頭がくらくらします。いや、だっ…