『エア』ジェフ・ライマン/古沢嘉通・三角和代訳(早川書房プラチナ・ファンタジイ)★★★★☆

『Air(or, Have Not Have)』Geoff Ryman,2004年。 何か月か前にテレビで、アフリカの田舎の農村にインターネットが導入されたというニュースが報じられていました。それまでは、都市部の物価が上がっているのに仲介業者から受け取る金額は何年も同じまま…

『夏の涯ての島』イアン・R・マクラウド/浅倉久志他訳(早川書房プラチナ・ファンタジイ)★★★★☆

『90年代SF傑作選』で「わが家のサッカーボール」を読んだことがあるだけなので、ほぼ初体験のイアン・R・マクラウド。 いわゆるSFらしいSFではない。たとえていうなら人情噺か。 冒頭の「帰還」がわかりやすいんですが、これは「無限の並行宇宙への…

『英国紳士、エデンへ行く』マシュー・ニール/宮脇孝雄訳(早川書房プラチナ・ファンタジイ)★★★★★

『English Passengers』Matthew Kneale,2000年。 キューリ船長をはじめとした〈エデン行き〉のとぼけたご一行と、タスマニアのアボリジニの歴史を描いたシリアスなパートが入り乱れた一大歴史絵巻。 一攫千金を夢見て密貿易を試みるものの、やることなすこ…

『マジック・フォー・ビギナーズ』ケリー・リンク/柴田元幸訳(早川書房プラチナ・ファンタジイ)★★★★★

『Magic for Beginners』Kelly Link,2005年。「妖精のハンドバッグ」(The Faery Handbag,2004)★★★★★ ――あたしはゾフィアばあちゃんのハンドバッグを探してる。妖精のハンドバッグ。わが家代々の宝だというけれど、そんなに古く見えない。ゾフィアが十九…

『双生児』クリストファー・プリースト/古沢嘉通訳(早川書房プラチナ・ファンタジイ)★★★★☆

『The Separation』Christopher Priest,2002年。 えええっ!て感じでした。「語り=騙り」と書かれているけれど、小説としての仕掛けが解けてもなお、小説のルール自体を打ち壊すような宙ぶらりんさは残ったままなので、何か頭がくらくらします。いや、だっ…


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