『シンカン』VOL.04 2011(朝日新聞出版)

 表紙はオガツカヅオオオタガキフミ「冬と八坂と雪催い」、オガツカヅオ「はじめましてロビンソン」、内田春菊「おずおずと魔法使い」、川原由美子「TUKIKAGEカフェ」ほか。

 オオタガキフミ「京都よしなごとシリーズ」には新キャラ登場。八木君の大学の先輩。作品世界をぶち壊さない新キャラで何より。

 オガツカヅオ「はじめましてロビンソン」は、「透明病」にかかってしまった夫婦の話。オガツカヅオ得意の反転構造。雑誌のカラーに合わせて怪奇度よりハッピー度が高い。

 川原由美子「TUKIKAGEカフェ」には、死者を呼び出してもらいたい生者のお客さんが。そして一冊の本を愛してしまった語り手の友だち。
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  『シンカン』VOL.4
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『ミステリマガジン』2011年4月号No.662【高橋葉介の夢幻世界/ジョー・ゴアズ追悼』/『S-Fマガジン』2011年4月号No.661【ベストSF2010上位作家競作】

『ミステリマガジン』には、高橋葉介デビュー前の怪奇短篇漫画「顔」、フレドリック・ブラウン「おそるべき坊や」挿し絵など。

 向井万起男の「アメリカ解剖室」では、実際に行ってみないとわからないアメリカ人の「車の運転マナー」について。

 書評で紹介されていた本で気になったのは、エリック・マコーマック『ミステリウム』、メビウス他『アンカル』、『あなたが裁く! 「罪と罰」から「1Q84」まで 名作で学ぶ裁判』、『なぜ人は砂漠で溺死するのか? 死体の行動分析学』。映画では『英国王のスピーチ』『ツーリスト』。DVD『ギルティ・コンサイエンス』はコロンボの製作者。

『S-Fマガジン』には、上田早夕里「リリエンタールの末裔」のほか、北野勇作「カメリ」新作など。「リリエンタールの末裔」は、『華竜の宮』と同じ世界を舞台に、「鉤腕」を持つ一族の一人が「翼」を捨てたあとも空を飛ぶことを夢見る。フェリクス・J・パルマセバスティアン・ミンゴランセの七つの人生(のようなもの)」は、日常のターニング・ポイントで自分が分岐していく話。SFというより森見登美彦の妄想小説のようなノリ。

 書評で紹介されているもので気になったのは以下。映画では『ファンタスティックMr.FOX』、ジャック・タチの遺作をもとにした『イリュージョニスト』。あとはP・ギアリー『ストレンジ・トイズ』、マコーマック『ミステリウム』、バラード『千年紀の民』など。

 椎名誠のエッセイは、前回に続きエスキモーの話。むくむくの服の着方とか。

 ほかに若島正「乱視読者の小説千一夜」第4回「スーザンとアイリス」や、ジェイムズ・モロウの怪獣着ぐるみものの続き(中)。




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