桜庭一樹にはこういった少女の物語が似合う。『赤朽葉家』みたいなのだと、身の丈に合っていないというか力不足というか、少女役の女優が背伸びして大人の演技してるみたいでしっくり来ないのだ。
単なる相性なのかもしれんけどね。ちゃんと痛みが伝わって来るのだ。より正確に言うと、痛み方が共感できるというか。
『砂糖菓子』と比べるとミステリ的な遊び度(人工度)が高いので、そこをそういうものだとわかって楽しむべし。少女小説風に見えて実はミステリ度が無駄に(^^)高い。そのいびつなところが未完成な心に存在する危うさ脆さっぽくて、逆に緊張感があった。でも髪の毛はゴスロリで説明がつくけれど、眼鏡の方は回収し切れてないような。
あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した……あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから――。これは、ふたりの少女の壮絶な《闘い》の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、苛酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。(カバー裏あらすじより)
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