『母アンナの子連れ従軍記』ベルトルト・ブレヒト/谷川道子訳(光文社古典新訳文庫)★★★★☆

 ハヤカワ演劇文庫と光文社古典新訳文庫から文庫で戯曲が出されるようになって、ずいぶんと戯曲を手に取りやすくなりました。

 この劇のなかで、運命が占いによってあらかじめ定められているのは、どういう意味があるのだろう。型といえば型なんだろうけれど。

 アンナは、アイリフには「賢くないと死への道を歩く」と言い、シュワイツェルカスには「正直でいなけりゃ、お前もあの世行きだ」と言い、カトリンには「人にやさしくしすぎるんじゃないよ/いつもそっとしているのは難しくはないはずだ」と言います。それぞれが子供たち三人の性格を表してもいるのですが、シュワイツェルカスだけは、正直でいすぎて死んでしまったのですから、厳密には予言(というかアンナの忠告)ははずれているんですよね。

 十七世紀、三十年戦争下のドイツ。軍隊に従って幌車を引きながら、戦場で抜け目なく生計を立てる女商人アンナ。度胸と愛嬌で戦争を生きぬく母の賢さ、強さ、そして愚かさを生き生きと描いた、劇作家ブレヒトの代表作を待望の新訳で贈る。母アンナはこんなにも魅力的だった!(カバー裏あらすじより)
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