今月号の特集は初音ミク。SFマガジン的にはラディカルなのか内向きなのか。ヴォーカロイドというのも未来的なガジェットですが、それよりもいつの間にかグーグル画像検索が「絵そのもの」で検索できるようになっていることに、さっき気づいて驚きました。
「いま集合的無意識を、」神林長平 は、伊藤計劃への間に合わなかった手紙であり、著者のSF作家としての決意表明でもある「フィクション」。かなり生の声(に思われるもの)が剥き出しの形で記されていますが、雨後の竹の子のような「自分こそが伊藤計劃のよき理解者」コーラスとは一線を画した、真摯な作品です。
「MEDIA SHOWCASE」
◆『モンスターズ/地球外生命体』は低予算映画。怪獣の「出現の設定と、二人の主人公の微妙な関係に妙味があった」「半ドキュメント・タッチのロードムービー風作品」。
「書評など」
◆城平京『虚構推理 鋼人七瀬』、マルセル・ブリヨン『旅の冒険 マルセル・ブリヨン短篇集』の二作は、『ミステリマガジン』でも紹介されていました。『名探偵に薔薇を』著者の新作と、幻想小説集です。
「ほらホウキ星が氷を売りにきたよ」椎名誠のニュートラル・コーナー(26)
「天使」ピーター・ワッツ/石亀渉訳(Malak,Peter Watts,2011)は、無人軍用機の視点(?)で書かれた、戦闘の様子。感知したものをプログラムにしたがって判定するその行動原理は、もちろん人間とはまったく異なります。おそらくは一瞬にしておこなわれているのであろう処理が、引き締まった文体のなかに凝縮されています。
「現代SF作家論シリーズ(7) J・G・バラード「上海」という胎児の夢」安藤礼二
「乱視読者の小説千一夜(8) 本を書きすぎた男」若島正
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『S-Fマガジン』2011年8月号
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