『ミステリマガジン』2013年12月号No.694【あまちゃんとローカル・ミステリの魅力】

 あまちゃん関係ない。。。「あまちゃんとローカル・ミステリ」ではなく、「あまちゃん」と「ローカル・ミステリ」の特集です。

「犬の生活」マイクル・イネス/宮澤洋司訳(A Dog's Life,Michael Innes,1954)
 ――ロンドン警視庁の刑事アプルビイが初休暇で訪れた田舎町の殺人事件。

「座談会 「あまちゃん」とはミステリか」円堂都司昭×日下三蔵×豊崎由美
 

「都会のブロンド、田舎のブロンド」パトリック・クェンティン/宮澤洋司訳(Town Blonde, Country Blonde,Patrick Quentin,1951)★★☆☆☆
 ――トラント警部補は二人のブロンドをじっくりと見比べた。女好きのクック氏を殺したのはこのうちの一人なのだ。

 図らずも、なのか、図ったのか、はわかりませんが、次のページから始まる佳多山大地氏のエッセイ第一段落が、この作品の結末の解説にもなっていました。
 

「鉄道で行くローカル・ミステリ・ツアー」佳多山大地

「世界推理作家会議オックスフォード大会に参加して」松坂健

「各国ミステリ事情」
 「スペイン・中南米篇」に朗報が! 『世界名探偵倶楽部』の続編、『Crímenes y jardines(犯罪と庭園)』が八月に刊行されたそうです。翻訳が待ち遠しい(してくれるのかな?)。
 

「欠け落ち」三沢陽一
 ――祖母の雛子には双子の妹がいた。襟首に火傷の痕がある美卯は父親から疎まれていたが、祖母が身を挺して美卯を守ったという。それくらい絆の深い二人の間に、やがて恋が割り込んだ。

 第3回アガサ・クリスティー賞受賞作家の第一短篇。受賞作の紹介文には「正統派本格ミステリ」とあります。この短篇も本格ミステリでこそないものの正統派といえるような端正な予期せぬ結末作品でした。
 

「追悼エルモア・レナード

「ぶちかませ!」エルモア・レナード/高見浩訳(Fire in the Hole,Elmore Leonard,2001)★★★★☆
 ――ボイド・クラウダーは出所してから宗教とめぐり合った。ボイドはネオ・ナチたちに白人優越性の原則を教え込み、黒人教会を爆破した。折りしもボイドの弟が妻に撃たれる事件が発生。保安官レイラン・ギヴンズの派遣が要請された。

 「ウェスタン調」というよりウェスタンそのもの。一人の女と、男たちの決闘。非情なのではなく、道徳律が現代とは違う時代に生きています。こんなに面白いのに、解説に書かれた続編の内容を読むと脱力と苦笑を引き起こされました。
 

アルモニカ・ディアボリカ(最終回)」皆川博子

「クライム・クラブ(368)」オットー・ペンズラー
 「サスペンス小説について知っていると思っていたことのすべてをひっくり返す」「足をすくわれることが、二度も三度もあった」ピエール・ルメートル『Alex』というのが面白そう。
 

「書評など」
ヒトラーものティムール・ヴェルメシュ『Er ist wieder da(彼は戻ってきた)』は、ドイツ国内ネタが多いらしいのが残念。

チャールズ・ボーモント『予期せぬ結末2 トロイメライ』、梓崎優『リバーサイド・チルドレン』、小鷹信光逢坂剛『ハードボイルド徹底考証読本』、山崎沙也夏『サイレーン』(1)
 

「ありがとうが言いたくて(18)」勝山海百合

「ミステリ・ヴォイス UK(72)J・K・ローリングのミステリ騒動」松下祥子

 


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